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[Village battle Ⅲ(村の攻防戦)]
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敵の前衛部隊が村の入り口に辿り着くと、直ぐに激しい銃撃戦が始まった。
先頭のM4戦車は村の入り口に辿り着く直前に狙いすました7.5 cm PaK 40の砲撃により見事に破壊され、炎上した戦車を回避するために横を見せた2輌目も履帯を被弾して行動不能になったがその2両目が放った戦車砲により7.5 cm PaK 40が隠れていた建物の上部が破壊され、その後は沈黙している。
もしも7.5 cm PaK 40が使用不能になっていた場合、残る対戦車兵器は各分隊に2門ずつ配られたパンツァーファウスト60だけになる。
これは初期型のパンツァーファウストパトローネの倍の射程(60m)を有するが、発射時の反動で弾道が狂いやすいうえに初速が遅く放物線を描いて飛んで行くため、動く戦車を仕留める場合はどうしても極力距離を詰めて当てに行くしかない。
装甲貫通力が非常に高いので一旦当たれば、どの連合軍戦車の、どこの装甲も撃ち抜いてしまう。
強力で誰でも簡単に扱える武器なのだが、効果を発揮させるにはそれなりの条件が必要な武器でもある。
目先の見えにくい街の市街戦であれば有効なタンクキラーとなり得るが、家々の間隔が比較的広いこの村の様な場所では歩兵の援護無しで戦車が単独で突っ込んでこない限り使い勝手は悪い。
もう少し初速が早くて反動が小さければ、恐ろしい武器になるのは間違いないのだが……。
サイロの上部では既に機関銃の射撃が始まっているが、俺たちはまだマイヤーがKar98kで狙撃しているだけで、俺も様子を見ながら光学照準器を装着したFG42で時折狙撃をするのみだが、時間と共に敵の部隊が俺たちのもとにやって来るのは確実だろう。
大破して炎上した戦車と履帯をやられて動けなくなった戦車に道を塞がれたM4戦車1輌が、迂回してこっちにやって来た。
まだ果樹園を走行しているから大丈夫だが、随伴している歩兵からサイロの上から射撃している機関銃を潰すように指示するのは確実だから、俺は一旦納屋を離れて敵の銃弾が時折飛んで来る中をサイロに向かって走った。
「コーエン!時間だ、撤収しろ‼」
「まだ行けます!」
「馬鹿!戦車が止まれば確実に砲撃に合う。お前がそこを離れないと、サイロの下に居る部下たちも瓦礫の下敷きになってしまうんだぞ!」
「了解!撤収します‼」
「下は乾草だ、重い荷物は全て投げ落とせ!」
機関銃や弾薬を持ったまま梯子はしごを降りると間に合わなくなる。
こういう時は鮮やかに素早く逃げ出す事が重要だ。
たとえ武器や弾薬がそれで使い物にならなくなろうとも、人の命には代えられない。
コーエンたちは武器を投げ落として、自分たちも飛び降りる様にサイロから降りた。
「一旦サイロの裏に離れて待機しろ!」
「でもそれでは持ち場が」
「大丈夫だ、サイロが丸ごと消えてなくなるわけではない。瓦礫と化した後もサイロは堅牢な石造りの城壁として使える」
「了解‼みんな一旦離れるぞ‼」
コーエンたちの分隊がサイロから離れ、俺が再び納屋に戻る直前にドーンと激しい爆発音が響きサイロは崩れ去った。
一瞬でも撤収が遅れていればコーエンの部隊はおろか、指示をしに行った俺まで命はなかっただろう。
俺の命など惜しくはないが、死んでしまっては部下の命を守る事が出来ないから死ぬわけにはいかない。
サイロが崩れた事が分かると、敵の部隊が一斉にこっちになだれ込んで来た。
「撃て!撃て!撃て!」
ここが正念場。
コーエンの分隊はまだ完全に配置に着いては居ないだろうから、敵の流れを止めなければ俺たちの生きのこる術はない。
このことは村全体の守備にも大きく影響を及ぼす。
ここを突破されれば、敵はここを起点に迂回して国防軍の側面や背面を突いて来る。
そうなれば前後挟み撃ちになるばかりか、退路さえも阻まれる。
もうひとつ問題なのはサイロを潰したあのM4戦車の存在。
こいつも少ない人数ながら歩兵を伴っているから、迂回することを許すわけにはいかない。
各自がフルに銃弾を敵歩兵に叩き込んで、流れを止めた。
しばらくは膠着状態だが、その膠着状態を崩すカギは、サイロを潰したあのM4戦車が握っている。
「ロス!暇なうちに一旦指揮を預ける」
「軍曹、何所に行かれるんですか⁉」
「左翼の戦車を潰しに行く」
「1人で??」
「まさか。ホルツを連れて行く」
納屋にあった2本の“ほうき”の先をナイフで短くカットしてホルツに渡し俺は壁板を1枚とロープを用意して付いて来るように言った。
ホルツに1門のパンツァーファウストと2本のほうきを持たせて、俺のパンツァーファウストは板に括りつけた。
そしてコーエンの分隊に俺たちの援護をさせてM4戦車に向かう。
僅かな歩兵を連れただけの単独で俺たちの側面から背後を突こうとする大胆な奴だが、対戦車兵器を意識してして常に200m以上の距離を置くところはナカナカ用心深さも持っている。
この距離だと当然パンツァーファウストは届かないし、パンツァーシュレックを持っていたとしても届くことは無い。(※パンツァーシュレック:ドイツ版のバズーカ砲で、射程は約200m)
仮に3.7 cm PaK 36を持っていたとしても、M4の側面装甲(45mm)を撃ち抜くには100m以内に近付かなくてはならない。
先頭のM4戦車は村の入り口に辿り着く直前に狙いすました7.5 cm PaK 40の砲撃により見事に破壊され、炎上した戦車を回避するために横を見せた2輌目も履帯を被弾して行動不能になったがその2両目が放った戦車砲により7.5 cm PaK 40が隠れていた建物の上部が破壊され、その後は沈黙している。
もしも7.5 cm PaK 40が使用不能になっていた場合、残る対戦車兵器は各分隊に2門ずつ配られたパンツァーファウスト60だけになる。
これは初期型のパンツァーファウストパトローネの倍の射程(60m)を有するが、発射時の反動で弾道が狂いやすいうえに初速が遅く放物線を描いて飛んで行くため、動く戦車を仕留める場合はどうしても極力距離を詰めて当てに行くしかない。
装甲貫通力が非常に高いので一旦当たれば、どの連合軍戦車の、どこの装甲も撃ち抜いてしまう。
強力で誰でも簡単に扱える武器なのだが、効果を発揮させるにはそれなりの条件が必要な武器でもある。
目先の見えにくい街の市街戦であれば有効なタンクキラーとなり得るが、家々の間隔が比較的広いこの村の様な場所では歩兵の援護無しで戦車が単独で突っ込んでこない限り使い勝手は悪い。
もう少し初速が早くて反動が小さければ、恐ろしい武器になるのは間違いないのだが……。
サイロの上部では既に機関銃の射撃が始まっているが、俺たちはまだマイヤーがKar98kで狙撃しているだけで、俺も様子を見ながら光学照準器を装着したFG42で時折狙撃をするのみだが、時間と共に敵の部隊が俺たちのもとにやって来るのは確実だろう。
大破して炎上した戦車と履帯をやられて動けなくなった戦車に道を塞がれたM4戦車1輌が、迂回してこっちにやって来た。
まだ果樹園を走行しているから大丈夫だが、随伴している歩兵からサイロの上から射撃している機関銃を潰すように指示するのは確実だから、俺は一旦納屋を離れて敵の銃弾が時折飛んで来る中をサイロに向かって走った。
「コーエン!時間だ、撤収しろ‼」
「まだ行けます!」
「馬鹿!戦車が止まれば確実に砲撃に合う。お前がそこを離れないと、サイロの下に居る部下たちも瓦礫の下敷きになってしまうんだぞ!」
「了解!撤収します‼」
「下は乾草だ、重い荷物は全て投げ落とせ!」
機関銃や弾薬を持ったまま梯子はしごを降りると間に合わなくなる。
こういう時は鮮やかに素早く逃げ出す事が重要だ。
たとえ武器や弾薬がそれで使い物にならなくなろうとも、人の命には代えられない。
コーエンたちは武器を投げ落として、自分たちも飛び降りる様にサイロから降りた。
「一旦サイロの裏に離れて待機しろ!」
「でもそれでは持ち場が」
「大丈夫だ、サイロが丸ごと消えてなくなるわけではない。瓦礫と化した後もサイロは堅牢な石造りの城壁として使える」
「了解‼みんな一旦離れるぞ‼」
コーエンたちの分隊がサイロから離れ、俺が再び納屋に戻る直前にドーンと激しい爆発音が響きサイロは崩れ去った。
一瞬でも撤収が遅れていればコーエンの部隊はおろか、指示をしに行った俺まで命はなかっただろう。
俺の命など惜しくはないが、死んでしまっては部下の命を守る事が出来ないから死ぬわけにはいかない。
サイロが崩れた事が分かると、敵の部隊が一斉にこっちになだれ込んで来た。
「撃て!撃て!撃て!」
ここが正念場。
コーエンの分隊はまだ完全に配置に着いては居ないだろうから、敵の流れを止めなければ俺たちの生きのこる術はない。
このことは村全体の守備にも大きく影響を及ぼす。
ここを突破されれば、敵はここを起点に迂回して国防軍の側面や背面を突いて来る。
そうなれば前後挟み撃ちになるばかりか、退路さえも阻まれる。
もうひとつ問題なのはサイロを潰したあのM4戦車の存在。
こいつも少ない人数ながら歩兵を伴っているから、迂回することを許すわけにはいかない。
各自がフルに銃弾を敵歩兵に叩き込んで、流れを止めた。
しばらくは膠着状態だが、その膠着状態を崩すカギは、サイロを潰したあのM4戦車が握っている。
「ロス!暇なうちに一旦指揮を預ける」
「軍曹、何所に行かれるんですか⁉」
「左翼の戦車を潰しに行く」
「1人で??」
「まさか。ホルツを連れて行く」
納屋にあった2本の“ほうき”の先をナイフで短くカットしてホルツに渡し俺は壁板を1枚とロープを用意して付いて来るように言った。
ホルツに1門のパンツァーファウストと2本のほうきを持たせて、俺のパンツァーファウストは板に括りつけた。
そしてコーエンの分隊に俺たちの援護をさせてM4戦車に向かう。
僅かな歩兵を連れただけの単独で俺たちの側面から背後を突こうとする大胆な奴だが、対戦車兵器を意識してして常に200m以上の距離を置くところはナカナカ用心深さも持っている。
この距離だと当然パンツァーファウストは届かないし、パンツァーシュレックを持っていたとしても届くことは無い。(※パンツァーシュレック:ドイツ版のバズーカ砲で、射程は約200m)
仮に3.7 cm PaK 36を持っていたとしても、M4の側面装甲(45mm)を撃ち抜くには100m以内に近付かなくてはならない。
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