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第三章 具体的には、何をする?
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さて、早いもので学園生活はすでに半年が経過した。
相変わらず成績トップスリーは変わらずだ。
王子、ミア様、私の順番ね!
他のことレベルを合わせた運動能力には調整できるようになったけど、そこはまあね、偉い人への忖度ってやつですよ。
トップスリーでも十分すごいからね! 目的には十分だ。
(まあ他の貴族出身の子たちにも気を遣ってあげるべきなのかもしれないんだけどさあ)
平民のくせに生意気っていう感じのことはちらほら聞こえるんだよなあ。
ただ私の? 美貌を前にすると? 直接は言えない見たいですけどね!
ふふん!!
……まあ多分、ジャミィルとハルトヴィヒが私の周りをうろちょろしているので、そのせいもあるんだろうけど。
「セーンセッ」
「おやウィクリフくんどうしたのかな?」
にこーっと笑う我らが郷土史研究部の顧問、カレンデュラ先生とはすっかり意気投合……とまでは言わないけど秘密の共有的な、良い相談相手になって貰っている。
まあね、エルフは割と人間族に好意的に見られているし生きた歴史書みたいなところがあるから重宝されているらしいことは私も知っている。
私みたいに吸血鬼だとそれは難しいけど、エルフは私たちの境遇を知っているからその辺を隠していることについて困っているだろうこと、大変だろうことを労ってくれるのはとてもありがたいのだ。
結局私は馬術部と郷土史研究部を兼部することにして、なかなか日々充実している。
(ただまあ、ジャミィルとハルトヴィヒのせいで異性との交流が上手くいってない気はするけどね……)
だからってあの二人となんかいい感じになってるのか?って聞かれるとそんなことはないのだ。
むしろ男子生徒からはあいつらがうるさいから……みたいに敬遠されるし、女生徒からはイイオトコ二人も侍らしやがってという嫉妬からの嫌悪を向けられるか、花が一本ミツバチ二匹の恋愛模様を楽しむ傍観者たちの視線で色んな意味で遠い目しちゃうわ!
「……例の件、なんかわかりました?」
「そうだねえ」
それに加えて、私は少し今、どうすべきかを考えている。
気になることが、今町中で起きているのだ。
そう、それは私が入学する少し前から起きている〝行方不明〟が、半年経った今も尚続いているということ。
これまで学術都市では受験期の人の流れでそういったことは珍しくなかった……のだけれど、入学式以降も同じ程度行方不明者が出ていることには警戒を強めている。
「まあ、今のところは何もって感じかな。キミの友人たちの方が詳しいんじゃないかとすら思うけど」
「彼らに聞けるわけないでしょ? 仕方ないから夜にでも私行動しようかなあ」
「ははは、ほどほどにしないとキミが標的にされてしまうよ。色んな意味でね」
「まあ、その辺は気をつけますよ」
続く行方不明者に、学園でも注意喚起がされている。
学内には掲示板に張り紙だってされている。
夕暮れ時に一人にならないこと、裏路地に行かないこと。
妙な噂が流れているが、それに踊らされて吹聴しないこと。
最高学府の一員としてそれに適した行動をとるように……って感じのね。
「マリカノンナちゃん!」
「イナンナ」
「先生のところに行ってたの?」
「うん。先生から資料室の鍵を借りたから返却にね。イナンナは帰り道? 一緒にかえろ」
「うん! 良かったあ、図書室行ったら遅くなっちゃって。今は町中もピリピリしてるからね……でも、あの噂、怖いよねえ」
「……うん」
「吸血鬼が現れたなんてね。まあ、デマだろうけど!」
あははと笑うイナンナに、私も笑みを返す。
そうだよ、それはデマだよ。
吸血鬼は、人攫いなんかしないからね!
まったくいい迷惑なんだよこっちは!!
相変わらず成績トップスリーは変わらずだ。
王子、ミア様、私の順番ね!
他のことレベルを合わせた運動能力には調整できるようになったけど、そこはまあね、偉い人への忖度ってやつですよ。
トップスリーでも十分すごいからね! 目的には十分だ。
(まあ他の貴族出身の子たちにも気を遣ってあげるべきなのかもしれないんだけどさあ)
平民のくせに生意気っていう感じのことはちらほら聞こえるんだよなあ。
ただ私の? 美貌を前にすると? 直接は言えない見たいですけどね!
ふふん!!
……まあ多分、ジャミィルとハルトヴィヒが私の周りをうろちょろしているので、そのせいもあるんだろうけど。
「セーンセッ」
「おやウィクリフくんどうしたのかな?」
にこーっと笑う我らが郷土史研究部の顧問、カレンデュラ先生とはすっかり意気投合……とまでは言わないけど秘密の共有的な、良い相談相手になって貰っている。
まあね、エルフは割と人間族に好意的に見られているし生きた歴史書みたいなところがあるから重宝されているらしいことは私も知っている。
私みたいに吸血鬼だとそれは難しいけど、エルフは私たちの境遇を知っているからその辺を隠していることについて困っているだろうこと、大変だろうことを労ってくれるのはとてもありがたいのだ。
結局私は馬術部と郷土史研究部を兼部することにして、なかなか日々充実している。
(ただまあ、ジャミィルとハルトヴィヒのせいで異性との交流が上手くいってない気はするけどね……)
だからってあの二人となんかいい感じになってるのか?って聞かれるとそんなことはないのだ。
むしろ男子生徒からはあいつらがうるさいから……みたいに敬遠されるし、女生徒からはイイオトコ二人も侍らしやがってという嫉妬からの嫌悪を向けられるか、花が一本ミツバチ二匹の恋愛模様を楽しむ傍観者たちの視線で色んな意味で遠い目しちゃうわ!
「……例の件、なんかわかりました?」
「そうだねえ」
それに加えて、私は少し今、どうすべきかを考えている。
気になることが、今町中で起きているのだ。
そう、それは私が入学する少し前から起きている〝行方不明〟が、半年経った今も尚続いているということ。
これまで学術都市では受験期の人の流れでそういったことは珍しくなかった……のだけれど、入学式以降も同じ程度行方不明者が出ていることには警戒を強めている。
「まあ、今のところは何もって感じかな。キミの友人たちの方が詳しいんじゃないかとすら思うけど」
「彼らに聞けるわけないでしょ? 仕方ないから夜にでも私行動しようかなあ」
「ははは、ほどほどにしないとキミが標的にされてしまうよ。色んな意味でね」
「まあ、その辺は気をつけますよ」
続く行方不明者に、学園でも注意喚起がされている。
学内には掲示板に張り紙だってされている。
夕暮れ時に一人にならないこと、裏路地に行かないこと。
妙な噂が流れているが、それに踊らされて吹聴しないこと。
最高学府の一員としてそれに適した行動をとるように……って感じのね。
「マリカノンナちゃん!」
「イナンナ」
「先生のところに行ってたの?」
「うん。先生から資料室の鍵を借りたから返却にね。イナンナは帰り道? 一緒にかえろ」
「うん! 良かったあ、図書室行ったら遅くなっちゃって。今は町中もピリピリしてるからね……でも、あの噂、怖いよねえ」
「……うん」
「吸血鬼が現れたなんてね。まあ、デマだろうけど!」
あははと笑うイナンナに、私も笑みを返す。
そうだよ、それはデマだよ。
吸血鬼は、人攫いなんかしないからね!
まったくいい迷惑なんだよこっちは!!
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