2 / 4
中
しおりを挟む
翌日。
まさか本当に来るとは思っていませんでした。
正装のイスハーク・ヴァヤジャダン将軍が、町の洋裁店に来るとか誰も思わないじゃん……?
誰だよこの人の容貌が恐ろしいって。もしかして美貌が過ぎて恐ろしいってこと? それなら同意するわ!
青と黒が入り交じった髪、顎髭は綺麗に剃り落とされたらもうナイスミドルのお出ましですよ。それがパリッとした軍服に身を包んでいて……多分体格が良いんだろう。服に着られているっていうか、その服の下はさぞかし逞しいんでしょうねって雰囲気が……嫌私は痴女か。
そんな男性が花束を持って立っていた挙げ句に私を見てぱっと笑顔を見せるとか!
なんだあの恋する男の目! そうですね、求婚されてたんだった!
ドアを開けた瞬間、閉めそうになったよね!!
それを堪えた私、偉いと思うんだ……。
あと鼻血が出なかった点も褒められていいと思うんだ……。
そこからはあれよあれよと話が進んで、なんと両親は私の嫁入りに大賛成。
えっ、ちょっとまってバツが三つもついてる男に嫁がせるのをなんの躊躇いもナシってどういうことなの両親よ。
我、汝らが愛する娘ぞ?
父の「いやー、そんなにまで情熱的にこんな平凡なうちの娘を求めていただけるなんて!」とか、母の「女は求められてこそっていうけれど、こんな素敵な方に平凡なうちの娘が見初められるだなんて……!」とかちょっと待てオイって三度見したわ。
夫婦揃って平凡っていうんじゃない!
自分が一番平凡ってわかってるけど、親の口から聞くとかダメージひどすぎるわ!!
私の意見など殆ど聞かれずに嫁入りの段取りを話す両親を止めたのは、なんとヴァヤジャダンさまだった。
好感度爆上がりしますよ……でもまだほら、初恋もまだなのに嫁入りはしたくないっていうかですね。
そんな私を見て、彼は微笑んだ。
「セリナ嬢の気持ちもありましょう、まずは互いに親交を深めたいと思います。どうかご両親には手間をおかけいたしますが、我が家にて歓待をさせていただきたい」
ヴァヤジャダンさまのその言葉に、うちの両親は一も二もなく賛成した。
そしてその日のうちに私は豪邸に招かれたのだ。
(私の意見は、どこへ……?)
それでもまあ、ヴァヤジャダンさまはとても紳士だった。間違いなく、紳士。
昨日の唐突な求婚はともかく、ちゃんと無理強いすることなく翌日正装でご挨拶に来てくれて手土産の花束も忘れず、身分差もあるのにうちの両親に対しても礼節をもって接してくれた。
そして私に視線を向けては甘ったるく微笑むことも忘れない。ヒゲのせいでよくわかんないけども。
(その日のうちに嫁いでこいと命令することだって許される身分なのに、私の気持ちを考えて親交を深めよう、だなんて)
悪い人じゃないのかも知れない。そう思った。
だってこの世界、親が決めた結婚相手がいたなら子どもの意見なんて無視だ。
恋愛結婚だって認められているけど、親が反対されたら駆け落ちするしかない。でも駆け落ちしたカップルが見知らぬ土地で受け入れられるってこともない。
そういう意味では大変閉鎖的なのだ。
今まで両親は私が『子どもだから』『跡継ぎだから』ということでまだ結婚相手を探していなかっただけで、もうちょっと修行が進んだら婿を見つけてきてたんだろうなと頭では理解している。
(……それなら、お母さんが言っていたように『求められてこそ』の方がいいのかな。なんでかはよくわかんないけど、好いてくれているみたいだし)
豪邸の中には使用人がちゃんといて、私たちはよくわからないテーブルマナーに四苦八苦しながらも食べたこともないような豪勢な料理に舌鼓を打ち、見たこともないような美術品に目を丸くして……大体一週間くらい過ごした気がする。
その間もヴァヤジャダンさまは、ずっと両親と私に話を振ってくれたり、不自由がないか案じてくれたりしてくれた。
演技とは到底思えなくて、私もチョロいなって自分で思いつつ彼の人柄に惹かれていった。
気がつけば、イスハークさまって呼ぶようになっていた。
(この人なら、いいかも)
だってそうじゃない?
将軍職にあるから危険は隣り合わせだろうけど、隣国との諍いも落ち着いた今はそう出陣だってないはずだし、そう思えば国家公務員で食いっぱぐれはなさそう。
噂だと随分畏れられているみたいだけれど、そのおかげかこの家で過ごす分には静かで来客も少なそうだし……社交界ってやつとも縁遠いとなれば、庶民出身の私としては願ったり叶ったりだ。
つまり、理想的な夫なのでは……?
となると、問題はやはり今までの結婚相手だ。
なにかしら嫌なことがあったりしたから離縁しているのだと思う。
夫婦になるのだとしたら、私だって避けられない。
「イスハークさま」
「セリナ嬢」
「今日は、どうしてもお話ししたいことがあって」
「なにかな?」
小娘を前におどおどとする大男というのはなんとも笑いを誘うんだけど、そこはぐっと我慢した。
だってほら、私にとっても大事なことだからね?
「ここ数日、共に過ごさせていただいて、イスハークさまのお人柄を知りました。それで、結婚を受けても良いかと思ったのです」
「おお……!」
「ですが!」
喜んで両手を広げ、私を抱きしめようとするのを手を前に出して突っぱねる。
いや、なんだ大型犬か? 可愛いな?
でもまだダメだ! ステイでお願いします!!
「ご結婚、なさってたんですよね。前の奥さまたちの話を、聞きたいんです」
「ま、えの、妻……ですか。それは……」
「行方不明だとか、イスハークさまが処断したのだとか、そんな噂があることも知っていますが違うと思っています。ですから、どうして離婚したのかを知っておきたいのです」
「……なぜか、聞いても」
「だって」
離婚理由によってはそれって私にもあるかもしれないことじゃない?
例えば性格の不一致とか、好みの不一致とか。
浮気とかなら論外だがな!
イスハークさまが奥さんに満足できず浮気して、それを次の妻にした……とかだったら申し訳ないけど私もお断り申し上げる。
(あっ、でもそれなら普通教えないか。私の大馬鹿野郎!)
信じてるからって言われて真実を告げる必要はないんだよ!
どうしてそこに思い至らなかった……!!
私は動揺を必死に飲み込んで、そっとイスハークさまを見上げた。
「……最初の妻は、戦から戻る俺が恐ろしい、と言って去りました」
「え……」
「二人目の妻は、調停を結んだ後も小競り合いが絶えず、それに駆り出されあまり帰れずにいたところ、別れを切り出されました」
「ええ……」
「そして、三人目は」
イスハークさまが、言葉を続けようとして飲み込んだのを見て私も思わず息をのみました。
彼は辛そうな表情から深々と溜め息を吐き出して、地を這うような声を出しました。
「……金を持って、情夫と逃げたのです……!」
「えええ……」
ちょっと思ったよりも酷い内容だな?
まだ浮気とかの方が良かったな? いや、三人目は浮気だった。
「いずれも、紹介されるままに結婚したゆえに互いに思い入れがなかったことが起因しているのだろうとは思ったし、一人目と二人目に関しては俺が悪かったのだろうと反省もしている。だから、今度は……愛し、愛される関係になりたいと、思って」
しょんぼりとする大男。
ああ、これが嘘でもきゅんとしちゃった以上、私はチョロインと呼ばれても構わない!
「……私と一緒で、あなたが幸せになれるなら」
「幸せになれる。セリナは、俺の身を案じてくれる優しさを持っていた。何者かも知らずとも、大勢に疎まれた俺に笑顔を向けてくれた、そんなセリナと共に幸せになりたい……!」
「イスハークさま」
こうして、私はイスハーク・ヴァヤジャダンの妻となったのだ。
結婚してからも、彼は満点の夫だった。
私の実家への融資をしてくれたことも大変ありがたかった。跡取りは弟子を雇ってそこから見つけるらしい。
大店にいきなりしないあたりは、父も堅実なのか小心者なのか……後者だな、多分。
おはようからおやすみまで彼は大変紳士だった。
彼を畏れる人たちが理解できないくらいに、まるで蜂蜜漬けの生活だ。
いや、新婚なんだからこのくらい当然?
でも、そんなある日のこと。
「すまない、どうしても外せない用があるんだ。三日程度で帰ってくるから……家の、特別な部屋の鍵は君に預けていこう。用事はいつも通り使用人にやってもらうんだよ」
「はい、イスハーク」
「ああ、それと。この鍵束の中に一つだけ小さい金色の鍵があるだろう? それは決して使ってはいけないよ」
「……? わかりました」
あれ?
なんか私、似たようなことを聞いたことがあるような……。なんだっけ?
それじゃ、と急ぎ足で出て行った夫の背中を見送って、私は首を傾げたのだった。
まさか本当に来るとは思っていませんでした。
正装のイスハーク・ヴァヤジャダン将軍が、町の洋裁店に来るとか誰も思わないじゃん……?
誰だよこの人の容貌が恐ろしいって。もしかして美貌が過ぎて恐ろしいってこと? それなら同意するわ!
青と黒が入り交じった髪、顎髭は綺麗に剃り落とされたらもうナイスミドルのお出ましですよ。それがパリッとした軍服に身を包んでいて……多分体格が良いんだろう。服に着られているっていうか、その服の下はさぞかし逞しいんでしょうねって雰囲気が……嫌私は痴女か。
そんな男性が花束を持って立っていた挙げ句に私を見てぱっと笑顔を見せるとか!
なんだあの恋する男の目! そうですね、求婚されてたんだった!
ドアを開けた瞬間、閉めそうになったよね!!
それを堪えた私、偉いと思うんだ……。
あと鼻血が出なかった点も褒められていいと思うんだ……。
そこからはあれよあれよと話が進んで、なんと両親は私の嫁入りに大賛成。
えっ、ちょっとまってバツが三つもついてる男に嫁がせるのをなんの躊躇いもナシってどういうことなの両親よ。
我、汝らが愛する娘ぞ?
父の「いやー、そんなにまで情熱的にこんな平凡なうちの娘を求めていただけるなんて!」とか、母の「女は求められてこそっていうけれど、こんな素敵な方に平凡なうちの娘が見初められるだなんて……!」とかちょっと待てオイって三度見したわ。
夫婦揃って平凡っていうんじゃない!
自分が一番平凡ってわかってるけど、親の口から聞くとかダメージひどすぎるわ!!
私の意見など殆ど聞かれずに嫁入りの段取りを話す両親を止めたのは、なんとヴァヤジャダンさまだった。
好感度爆上がりしますよ……でもまだほら、初恋もまだなのに嫁入りはしたくないっていうかですね。
そんな私を見て、彼は微笑んだ。
「セリナ嬢の気持ちもありましょう、まずは互いに親交を深めたいと思います。どうかご両親には手間をおかけいたしますが、我が家にて歓待をさせていただきたい」
ヴァヤジャダンさまのその言葉に、うちの両親は一も二もなく賛成した。
そしてその日のうちに私は豪邸に招かれたのだ。
(私の意見は、どこへ……?)
それでもまあ、ヴァヤジャダンさまはとても紳士だった。間違いなく、紳士。
昨日の唐突な求婚はともかく、ちゃんと無理強いすることなく翌日正装でご挨拶に来てくれて手土産の花束も忘れず、身分差もあるのにうちの両親に対しても礼節をもって接してくれた。
そして私に視線を向けては甘ったるく微笑むことも忘れない。ヒゲのせいでよくわかんないけども。
(その日のうちに嫁いでこいと命令することだって許される身分なのに、私の気持ちを考えて親交を深めよう、だなんて)
悪い人じゃないのかも知れない。そう思った。
だってこの世界、親が決めた結婚相手がいたなら子どもの意見なんて無視だ。
恋愛結婚だって認められているけど、親が反対されたら駆け落ちするしかない。でも駆け落ちしたカップルが見知らぬ土地で受け入れられるってこともない。
そういう意味では大変閉鎖的なのだ。
今まで両親は私が『子どもだから』『跡継ぎだから』ということでまだ結婚相手を探していなかっただけで、もうちょっと修行が進んだら婿を見つけてきてたんだろうなと頭では理解している。
(……それなら、お母さんが言っていたように『求められてこそ』の方がいいのかな。なんでかはよくわかんないけど、好いてくれているみたいだし)
豪邸の中には使用人がちゃんといて、私たちはよくわからないテーブルマナーに四苦八苦しながらも食べたこともないような豪勢な料理に舌鼓を打ち、見たこともないような美術品に目を丸くして……大体一週間くらい過ごした気がする。
その間もヴァヤジャダンさまは、ずっと両親と私に話を振ってくれたり、不自由がないか案じてくれたりしてくれた。
演技とは到底思えなくて、私もチョロいなって自分で思いつつ彼の人柄に惹かれていった。
気がつけば、イスハークさまって呼ぶようになっていた。
(この人なら、いいかも)
だってそうじゃない?
将軍職にあるから危険は隣り合わせだろうけど、隣国との諍いも落ち着いた今はそう出陣だってないはずだし、そう思えば国家公務員で食いっぱぐれはなさそう。
噂だと随分畏れられているみたいだけれど、そのおかげかこの家で過ごす分には静かで来客も少なそうだし……社交界ってやつとも縁遠いとなれば、庶民出身の私としては願ったり叶ったりだ。
つまり、理想的な夫なのでは……?
となると、問題はやはり今までの結婚相手だ。
なにかしら嫌なことがあったりしたから離縁しているのだと思う。
夫婦になるのだとしたら、私だって避けられない。
「イスハークさま」
「セリナ嬢」
「今日は、どうしてもお話ししたいことがあって」
「なにかな?」
小娘を前におどおどとする大男というのはなんとも笑いを誘うんだけど、そこはぐっと我慢した。
だってほら、私にとっても大事なことだからね?
「ここ数日、共に過ごさせていただいて、イスハークさまのお人柄を知りました。それで、結婚を受けても良いかと思ったのです」
「おお……!」
「ですが!」
喜んで両手を広げ、私を抱きしめようとするのを手を前に出して突っぱねる。
いや、なんだ大型犬か? 可愛いな?
でもまだダメだ! ステイでお願いします!!
「ご結婚、なさってたんですよね。前の奥さまたちの話を、聞きたいんです」
「ま、えの、妻……ですか。それは……」
「行方不明だとか、イスハークさまが処断したのだとか、そんな噂があることも知っていますが違うと思っています。ですから、どうして離婚したのかを知っておきたいのです」
「……なぜか、聞いても」
「だって」
離婚理由によってはそれって私にもあるかもしれないことじゃない?
例えば性格の不一致とか、好みの不一致とか。
浮気とかなら論外だがな!
イスハークさまが奥さんに満足できず浮気して、それを次の妻にした……とかだったら申し訳ないけど私もお断り申し上げる。
(あっ、でもそれなら普通教えないか。私の大馬鹿野郎!)
信じてるからって言われて真実を告げる必要はないんだよ!
どうしてそこに思い至らなかった……!!
私は動揺を必死に飲み込んで、そっとイスハークさまを見上げた。
「……最初の妻は、戦から戻る俺が恐ろしい、と言って去りました」
「え……」
「二人目の妻は、調停を結んだ後も小競り合いが絶えず、それに駆り出されあまり帰れずにいたところ、別れを切り出されました」
「ええ……」
「そして、三人目は」
イスハークさまが、言葉を続けようとして飲み込んだのを見て私も思わず息をのみました。
彼は辛そうな表情から深々と溜め息を吐き出して、地を這うような声を出しました。
「……金を持って、情夫と逃げたのです……!」
「えええ……」
ちょっと思ったよりも酷い内容だな?
まだ浮気とかの方が良かったな? いや、三人目は浮気だった。
「いずれも、紹介されるままに結婚したゆえに互いに思い入れがなかったことが起因しているのだろうとは思ったし、一人目と二人目に関しては俺が悪かったのだろうと反省もしている。だから、今度は……愛し、愛される関係になりたいと、思って」
しょんぼりとする大男。
ああ、これが嘘でもきゅんとしちゃった以上、私はチョロインと呼ばれても構わない!
「……私と一緒で、あなたが幸せになれるなら」
「幸せになれる。セリナは、俺の身を案じてくれる優しさを持っていた。何者かも知らずとも、大勢に疎まれた俺に笑顔を向けてくれた、そんなセリナと共に幸せになりたい……!」
「イスハークさま」
こうして、私はイスハーク・ヴァヤジャダンの妻となったのだ。
結婚してからも、彼は満点の夫だった。
私の実家への融資をしてくれたことも大変ありがたかった。跡取りは弟子を雇ってそこから見つけるらしい。
大店にいきなりしないあたりは、父も堅実なのか小心者なのか……後者だな、多分。
おはようからおやすみまで彼は大変紳士だった。
彼を畏れる人たちが理解できないくらいに、まるで蜂蜜漬けの生活だ。
いや、新婚なんだからこのくらい当然?
でも、そんなある日のこと。
「すまない、どうしても外せない用があるんだ。三日程度で帰ってくるから……家の、特別な部屋の鍵は君に預けていこう。用事はいつも通り使用人にやってもらうんだよ」
「はい、イスハーク」
「ああ、それと。この鍵束の中に一つだけ小さい金色の鍵があるだろう? それは決して使ってはいけないよ」
「……? わかりました」
あれ?
なんか私、似たようなことを聞いたことがあるような……。なんだっけ?
それじゃ、と急ぎ足で出て行った夫の背中を見送って、私は首を傾げたのだった。
21
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
藤壺の女御に転生したので光源氏をフルボッコにする
白雪の雫
ファンタジー
時は桐壺帝の御代。
先帝の皇女として生を受けた幼い女四の宮は前世の記憶を取り戻す。
元女子プロレスラーだったクリムゾン一花(リングネーム。本名は藤沢 愛美)という日本人として生きていた前世を。
「え~っと・・・今の時代の帝は桐壺帝だっけ?で、私は先帝の四女・・・。つー事は私って後の藤壺!?」
桐壺の更衣の代わりとして入内して光源氏と密通。結果、冷泉帝を産んじゃうあの藤壺の女御に生まれ変わっている事に気が付いた愛美は蒼褪める。
マザコンを拗らせて藤壺に対する想いを募らせてしまった光源氏は、彼女の身代わりとなる女性を求めて数多の女性を渡り歩くのだ。
(光源氏のせいで不幸になった人って確か・・・六条の御息所、葵の上、朧月夜。そして何と言っても最大の被害者は紫の上と朱雀帝、弘徽殿大后、女三の宮、柏木、頭中将だよな)
某少女漫画で源氏物語のストーリーを知った愛美こと女四の宮は、自分ひいては彼女達の身に起こる悲劇を回避するべくこれから取るべき行動を考える。
・桐壺帝への入内が避けられないとしたら、光源氏が成人してから入内すればいい
・六条の御息所に光源氏を相手にしないようにと訴える
・物語では紫の上と呼ばれる事になる少女を養女として引き取って将来有望な公達の元に嫁がせる
・光源氏の魔の手から右大臣家の六の君こと朧月夜を守りつつ東宮の女御として入内させる
・六条の御息所の娘である斎宮を朱雀院の女御として入内させる
・朱雀帝と異母妹の娘である女三の宮を不思議ちゃんではなく立派な淑女にする
やるべき事は色々あると思うけど、まずは男から身を護る術を身に付ける事が最優先だ。
だが、平安時代の女性は家に閉じ籠っているのが通常運転である。
どうすれば光源氏に弄ばれる女達を護れるのだろうか?
(そうだ!劉備の奥方となった孫夫人は武芸の誉れが高かったはず。それに神功皇后!!)
彼女達に憧れていると訴えたら母后と女房達も自分が身体を鍛えたり、武術を身に付ける事に対して文句など言わないだろう。
本当は女の敵である光源氏をフルボッコにする為に鍛錬をしていたのだが、孫夫人と神功皇后を前面に出した事により女四の宮の行動は称賛され、やがて都の女性達を強くしていく。
深く考えた話ではないので設定はゆるふわ、源氏物語に出てくる女性達が藤壺に感化されてプロレス技や柔道、空手や某暗殺拳で光源氏を撃退してしまうという実にご都合主義です。
昔読んでいた某少女漫画を最近になってスマホで読んだ事で思い付いた話です。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
夫婦で異世界に召喚されました。夫とすぐに離婚して、私は人生をやり直します
もぐすけ
ファンタジー
私はサトウエリカ。中学生の息子を持つアラフォーママだ。
子育てがひと段落ついて、結婚生活に嫌気がさしていたところ、夫婦揃って異世界に召喚されてしまった。
私はすぐに夫と離婚し、異世界で第二の人生を楽しむことにした。
【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
聖女はこの世界に未練がない
菜花
ファンタジー
ある日、聖女として異世界に呼ばれた理穂。けれど、召喚された先ではとっくに聖女がいると言われた。だがそれは偽者らしく、聖女なら出来るはずの瘴気の浄化は不十分だった。見るに見かねて理穂は聖女の仕事を始めるが、偽聖女周りの人間には疑われて暴言まで吐かれる始末。こんな扱いされるくらいなら呼ばれない方が良かった……。でも元の世界に帰るためには仕事はしないといけない。最後には元の世界に戻ってやる!あんたらは本物の聖女を疑った人間として後世に語られるがいいわ!カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる