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噂は広がる
しおりを挟む「ほら、そんだけ食べたら喉渇くだろ。」
そう言って屋台のおっちゃんは水の入ったお皿を出してくれた。
「もごもご(ありあと)」
「喉に詰まらせんなよ~。」
ふわぁ~美味しかった。森にいた時は主に果物を主食として食べていたから久しぶりの味の濃いお肉最高!
にまぁ
ああ、顔がニヤけちゃう。‥‥はっ!全部食べちゃったけどこれって商品だよね?
お金必要だよね?どーしよ!持ってないよ!ブンブンと機嫌よく振られていた尻尾は内側に丸まって耳はペションと垂れてしまう。
「おい、どうした?あんなに機嫌良さげだったのに‥‥。何オロオロしてんだ?ーーもしかして金の心配してんのか?ははっ、面白れぇな。お前さんのおかげで今日は繁盛したんだ。もともとお前さんから金を取る気もなかったからな。奢りだ奢り。こっちこそ助かったからありがとな!」
なんで優しいんだ!
「わっふ!(ありがと!)」
「嬉しそうなとこ悪いが口周り拭かなきゃな。ベトベトだぞ。」
?!
鏡がないから見えないけどなんだか口周りがベタベタする。いやだ!
前足で拭ったら前足が茶色くなった。汚れが広がっちゃった‥‥。
「ちょいと大人しくしてろよ。ーーうし、これで綺麗になったぞ。」
「わふ!(ありがと!)」
大きな手からは想像できないほど繊細に丁寧に拭いてくれた。
「それにしても綺麗な毛並みだなぁ。お前さん何者だ?お?従魔の首輪がねぇな。あー、お前さん主人はいるのか?場所はわかるか?」
「??」
「こりゃダメだな。えーと従魔は首輪をつけないといけない決まりでな。主人もそばにいないなら一度ギルドに行かなきゃならん。俺はまだ夕方用の仕込みと販売があるからなぁ。夜まで大人しくここで待ってられるか?」
「わっふん!(任せて!)」
キリッとした顔で答える。
「腹減ったり喉乾いたら合図出せよ。」
夜の1番売れ時の時間になるとまた串を外して食べやすくしたものをくれたんだ!はぁ~本当に美味しい。
白い魔物が美味しそうに食べる姿は噂になり夕方はさらに繁盛した。
「ふぅ~、いつもよりだいぶ売れたな。ありがとな。それにしてもちゃんと大人しく待ってられて偉いなぁ。」
わっしゃわしゃと撫で回される。あぁ~気持ちいい。そこそこ。
「うし!ギルドへ行くか。着いてこいよ。」
「わふ!(了解!)」
大柄な屋台のおっちゃんの痕を短い足を懸命に動かしながら着いていく。
ギルドかぁ。やっぱりあるんだね。楽しみだなぁ!
「何あれめっちゃ可愛い!」
「あれが噂の精霊様?」
「ダグラスのやつずりぃ!」
「はわぁ!ふわふわ!」
「想像よりちっこいな!」
「あれで強いんだもんね。見た目で侮ったら返り討ちにあうらしいよ。」
「尻尾をフリフリ。いやぁ!かわいい!!」
「撫でたい!触りたい!もふりたい!」
ーーそうして噂は広がっていく。
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