もふもふ転生〜能天気な子犬の異世界冒険譚〜

抜け道

陽光が柔らかく辺りを照らす。雪が溶け、色とりどりの花が咲く時期がやってきた。

様々な生き物が春の暖かさに誘われて冬眠から目を覚ます。

キラキラと太陽の光を受けて光る蝶々がすごく綺麗なの！夢中になって追いかけてたら随分と遠くまで行ってしまったこともあるけど、なんだっけ‥‥んーとそうだ！帰巣本能？のおかげでちゃんと帰れたんだよ！すごいでしょ！

前世はなんだかとっても方向音痴だった気がするんだけどねぇ。

あの冒険者のブライトを助けてからもね、いろんな人に会ったよ！迷子の子どもを送ってあげたり魔物に襲われている人から魔物を引き剥がしてあげたり！

やっぱり人といるのが1番だね。1人でずっと森にいると寂しくなっちゃうの。

わしゃわしゃって撫でてくれるのがすごく気持ちいいんだぁ。

今日はね、ちょっと街の近くまで来てみちゃったの！

ん～、やっぱり壁が高いなぁ。街に行きたいなぁ。もうね、そう思ったら止められなくなっちゃって。

どうにか街の中に入れないかなぁ？

ぐるぐると2、3周街壁を回って確認する。すると一箇所、一箇所だけ小さな本当に小さな穴が空いていたんだ。

人間は絶対に通れない小さな穴。

ねえ、もしかして僕なら通れるんじゃない？！

そう思ってたこともありました。現在穴に頭が嵌った状態です。ふぇ～ん、動けないよぉ。

側から見たら可愛いお尻がフリフリ揺れてる謎の壁の出来上がり。あら、やだ大変。

行けると思ったんだけどなぁ。

ふりふり
フリフリフリフリッ

むー！抜けない！

頭を無理やりねじ込んだら前にも後ろにも進まなくなっちゃった。

ここは人通りもほとんどないところだから助けてもらえない。うぇーん、どうしよう。

もっと小さかったら入ったのに。小さく‥‥小さくなぁれ。小さくなーれ！

なんちゃって‥‥？！

え？体がゾワゾワむずむずして少ししたら淡い光を放ちながら小さくなっちゃった！

ふぁっ？！なんてこった。これももしかして魔法なのかな？

さらに愛らしさが増した小さな子犬は穴を抜けて街へ繰り出した！

わぁ～！すごい！すごい！！

これぞtheファンタジーって感じの街だ！

歩いている人々の服装も街並みもRPGでよく見てたのにそっくり！

一応人に見つからないように物置の下に隠れてるんだよ！騒ぎになっちゃったら大変だもんね！

くんくん

あっなんだろ？ものすごく美味しそうな匂いがする。匂いに釣られてふらりと歩き出す。

人に見つからないように歩いていると途中でまたなんだかむずむずしてきた。お腹の奥の方が熱くなるような？そんな感覚。

またしても淡く光出して元の大きさに戻っちゃた。

こっちの方がやっぱりいいなぁ！さあ！街の中を探検だ！！