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お引越し

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あの子は無事に家族に会えたかな?幸せでいてほしいな。

あの日、あの子を送り届けてから夢をみる。あの人のことが忘れられない。どうしてだろう?あの子にどこか似ている団長?さん。

きらきらしててかっこよかった。それだけ‥‥それだけのはずなのに。会いたい。また会いたい!その想いが日に日に強くなる。

でもあの子を探しにきただけならもうここには来ないよね?そう考えると悲しくなる。

あの場所に行けば会えるかと思ったけどいっせいに向けられた鈍く光る剣を思い出して怖くなった。

あの人たちは僕を魔物と言った。きっとあの時の熊も魔物なんだよね。あの子があの熊を血熊ブラッティベアって呼んでた。

ここは魔法のある世界で魔物もいる。そして騎士がいる。もしかしなくても僕は異世界に来たんだね。僕は魔物なのかなぁ?

魔物は人間の敵。それは嫌だなぁ。最近人恋しくて仕方がない。

誰も何もないのってものすごく寂しいんだ。

もう少し遠くまで足を伸ばしてみようかな?

思い立ったが吉日。人を探して歩き出す。途中で街道を見つけたのでそれに沿って歩いてみることに。

しばらく歩いていると城壁で囲まれた街を見つけた。遠くから見てみると門のところに人が並んでて何かを確認しているみたい。身分証とかかな?

鎧をつけていたり剣を持っている人がいる。やっぱり異世界だなぁ~。

門の前には武装している人がいるので出て行ったら攻撃されそうなのでやめておいた。

それでも人がいるってだけで心強い。街の近く、けれど人はあまり来ないところにいい感じの洞穴を見つけたので拠点をここに移す!

お気に入りのベッドもちゃんと運ぶ。

ずず‥‥ずずず‥‥

ベッドを咥えて引き摺りながら移動する。なかなかにシュールな光景。人がいたら二度見するレベルだ。

誰にも見られず無事?にお引越し完了!ベッドは数段小さくなってしまった。ここにくるまでに少しずつ欠けていったのだ。しゅん

また暖かくなったらベッド用の草を集めよう。

集めていた果物も一個ずつ丁寧に運んでいく。人間みたいに一度に大量に運べないんだよねぇ~。

ふぇ~、疲れたぁ。何度も何度も往復してやっとお引越し完了!丸一日もかかってしまった。

でもお引越しの途中でなんか綺麗なお花を見つけたから気分は上々!真っ白で仄かに淡い光を放っているの。新しいお家に持っていくんだ!むふふっ

これを巣に持ち込んだらぼんやりと明るくなった。いい感じ!嬉しくて引っ越しが終わってからずっと眺めていた。ほわぁ~きれーい!気づくとあたりは真っ暗だ。

時間が経っていることにも気づかないくらいお花を眺めていたみたい。だってほんとに綺麗なんだもん!!

洞穴の中だから元々少し暗かったけど太陽が沈むと何も見えないくらい真っ暗になってしまう。それでも洞穴の中はこのお花のおかげでほんのり明るい。これなら夜でも怖くないね!

ふわぁ~~今日はたくさん動いたからねむぃなぁ。おやすみぃ~。

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