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三章 異世界verの中東戦争

167話 ホテル

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 広くて長く、陽気な音楽が掛かり、様々な飲み物がスーツの人達に提供される。
 運転手は一切よそ見をせず、真剣に運転。
 初めて乗るリムジンの感想は、大富豪になれた気分だ。
 数十分の時間を要し、エメリカの高級住宅街の外れにあるホテルに着く。
 ホテルの圧巻の外観を受けて、もはや言葉を発することはできなかった。
 砂岩で編まれた外壁。
 広大な庭。
 鮮やかなガラスのドーム型の天井。
 透き通った水が一面に張るプール。
 その土地に足を踏み入れりことすら恐れ多い。 
 アヴァカンは貴族だしレベッカも王族の末裔だからまだしも、俺に関してはただの平凡な転移者だ。入っていいのかいけないのか、戸惑ってしまう。

 「セル坊! 入ろうよ!」 

 背中を軽くアヴァカンに叩かれ、俺は言葉に表すことのできない感情を抱えたままホテルへと入った。
 受付でチェックを完遂すると鍵を渡され、専用の部屋にロボットが案内してくれた。作業の自動化が進んでいるとなると、21世紀との見分けがつかない。
 与えられた部屋は生活感溢れるもので、備品も豪華だ。
 テレビもあるし、冷蔵庫もあるし、一昔前のやつだがゲーム機だってある。
 極めつけは窓から見える光景だ。
 太陽に飾られた昼のエメリカは壮大で獰猛で美しい。
 汚れ一つ見当たらない窓から街を展望していると、レベッカがテレビの下に置かれているゲーム機をじっと眺めていた。

 「セルゲイ君、これは何でしょう?」

 近付いてゲーム機を確認。

 「ああ、これは確か――――俺のいた世界で40年前に発売されたフレンドコンピューター、通称フレコンだ」
 「面白いのですか?」
 「私も気になるわね」

 アヴァカンも食いついて来た。だったら遊んでみるか。
 ゲーム機の横にあった箱にカセットがいくつか込められていた。その中からファイティングマリオという世界で最も有名なゲームソフトを抜き取った。
 フレコンの上部にある穴にそれを挿し込むと、テレビの液晶にゲームのホーム画面が映った。
 爽快なBGMが流れ出す。
 コントローラーの使い方を彼女達に教えると、ゲームをついに始めた。
 このゲームは横にスクロールしていくタイプで、ブロックを潰したり敵を避けたりと動作そのものは簡単なのだが――――

 「あっ! また負けちゃった!」

 モンスターに数で攻められ負けたり、

 「ああもう……穴に落ちて死にましたね」

 うっかりミスでゲームオーバーになったりもする。
 俺は昔にファイティングマリオを四六時中プレイしていたので、最後の場面まであっさりとゴールできた。
 レベッカとアヴァカンと遊ぶのは初めてだが、とても充実した時間で楽しい。
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