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三章 異世界verの中東戦争

161話 少しの打撃

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 棚が沢山で、その中には液体が溜まった大小様々な瓶がすし詰め状態となって保管されている。
 空間に充満する匂いも不愉快ではないが、中々強烈なものだ。
 そんな自分は積み上げられた木箱の裏側に隠れ、サタンの動向を観察する。

 「もうこんなに……」

 肩にぐるぐるに撒いたズボンの布は緩み始め、すっかり血に汚れていた。
 早い内にちゃんとした処置をしないと、本当にヤバそうだ。

 「出ておいで、転移者のセルゲイ君」

 サタンの声だ。奴は温厚ながらも狂気が張り詰めた様子で俺を血眼になって探す。しかし倉庫は薬品の香りで満たされているためか、ご自慢の嗅覚を駆使しても俺を見つけ出せずにいた。
 それにしてもアイツの嗅覚はとても厄介だ。今は瓶に入った薬品達のおかげで何とか上手いこと隠れられているが、このままでは時間の問題である。
 棚から落ちそうになっている瓶を発見する。透明な容器には帝国語で「硫酸」と書かれたラベルが貼ってあった。
 硫酸を人体に使用するのは極めて危険な行為だが、これを活用すれば奴を黙らせられるかもしれないと思った俺は、咄嗟に瓶をポーチにぶち込んだ。

 「分かった……そこかっ!」

 彼はようやく俺の居場所を特定したらしい。
 弾は棚を貫通し、瓶を割りながらこちらに向かってくる。後ろの壁に命中した。

 「弾が切れたか……」

 サタンは機嫌悪く呟くと、茶色の革製のポーチから弾を抜き取って銃に装填し始めた。
 薬物を摂取しているためか彼は一切身を隠していない。無敵だと思い込んでいるのだろう。
 だがどんな薬物でも不死身になれるという訳ではない。あくまでも痛み止めにすぎないのだ。
 物陰から転がるように飛び出ると照準を奴の鼻に合わせ、ガバメントを弾く。

 「ぐあっ!? は、鼻がぁ!」

 直撃こそしなかったが、弾は肉を掠りサタンは鼻を押さえ喘ぐ。これで嗅覚による索敵は不可能になった。
 ではあとは奴を単純に仕留めるだけだが――――

 「調子乗ったことしてくれるねぇ……!」 

 嗅覚は潰せても体力までは潰せず。
 装填を終えたライフルから銃弾が飛び掛かる。

 「ぐっ……! 痛いなぁ」

 弾丸は左肘を抉りながら背後の棚まで通り過ぎる。肩に放たれた弾の痛みよりかは断然我慢できる。
 負けてたまるかと、こちらも何発か発砲を繰り返すが、やはり薬物の作用が強いためか効かない。

 「どうなってんだよこのオクスリは……!」

 サタンの腹部には数発の風穴が空いているのに倒れる気配は皆無だ。
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