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二章 異世界ライフ
117話 ペルシャの最高指導者
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ペルシャの首都を果たす市街――――テヘラン魔導区は異世界の文明を覆す地であった。
空にはドラゴンではなく、ドローンやヘリ、ジェット戦闘機が飛び回り、道路では装甲車が道路を走行する。そしてアラブの伝統的な衣装を纏った人々が笑顔を浮かべ楽しそうな様子で行き交う。
建築物も砂岩で組まれており、中東の雰囲気は抜群だ。間違っているかもしれないが、アラビアっぽい音楽だって流れている。
「カセム、どこまで行くんだ?」
「宮殿だ、そこで最高指導者にまずは会うんだ」
巨漢の兵士カセムはハンドルを握りながら淡々と答える。
「最高指導者とは何だいそりゃ?」
「そうだな……他国でいえば、大統領とか総理大臣みたいな人の事だな。ほら、着いたから降りる」
車が停車し、ドアをパタンと開けて降りる。
眼前に聳えるは、太陽の下で白の輝きを放つ宮殿。ドーム状の屋根からはアラビア語が書かれた横断幕が吊るされている。
「これが指導者の家だ。多分執務室に居るだろう」
宮殿の派手だが下品ではない外観に心を奪われていると、カセムとザッハールが歩み出したので俺達も我に返りその背中を追った。
ペルシャの王が住まう宮殿に足を踏み入れた途端、厳かな雰囲気が意識を支配した。
立っている近衛兵らもまるで装飾品の如くピタリと動きを静止させ、息すらも極力抑えているように見える。
「これが宮殿かぁ……」
ガラス張りの天井やペルシャの神秘が詰まった絨毯を眺めながら前に進む。
何歩歩いたかすらも忘れた時、カセムとザッハールの二人が歩行を止めた。
「この部屋が指導者の居る所だ」
ハッと顔を上げてみれば金の飾り付けがなされた扉が目前に構えていた。
「ここにその王が居ると……」
未承認国家とはいえ一国の統治者がすぐそこに存在しているためか、気高いレベッカは顔が引き攣っていた。
「そんなに怖がらなくて大丈夫――――指導者はとても優しくて面白い人だから」
ザッハールは微笑みながら安心させてくれようとしたが、やはり国家のトップと対面するのはかなりの緊張感を覚える。
「じゃ、お二人さん行ってこい!」
「うおっとっとっ」
「ちょっ、いきなりすぎますっ!」
油断していたのが悪かったらしく、俺とレベッカは屈強な体格のカセムに執務室の中へと強制的に入室させられた。
指導者が居座る間に転がり入る。
「いてて……全くもう」
「強引すぎますよねあの人達……」
互いに文句を言いながらも立ち上がる。
まさしく国を治める者に等しい部屋だ。
床には高質なペルシャ絨毯が辺り一面に広がっている。中央には大理石が使用されたテーブルと革張りの茶色いソファが堂々と置かれており、その奥に――――ペルシャの統治者と思われる人物がこちらに背を向けて座っていた。
圧倒的なカリスマ性と威圧感が肌に染み込み、俺達二人はその人物を直視する事すらままならない。
椅子を回転させ、こちらに体を向ける。
「――――君達が、亡命者……いや、逃亡者か?」
緑のベレー帽と階級章やら勲章やらが沢山取り付けられた軍服、そして薄い黒が浸透したサングラスを体に飾った厳かな男が、そう問い詰めて来た。
「私はペルシャの最高指導者、バッシャール・フセインだ。そちらは?」
フセイン……名前がもうトップのそれに相応しいな。
こちらも自分達の名前を言い渡すと、ソファに座るよう命令された。
「それで、改めて聞くが、何故逃げて来たんだ?」
フセインさんは煙草をふかしながら尋ねる。俺は諜報部に追われている理由を素直に話し、報復攻撃に参加した経緯も正直に説明。
「なるほど、な……」
煙草を灰皿に擦り付け、静かに頷くフセインさん。
「災難だったな」
「ええ、本当大変でしたよ……一時的にそのせいで解雇されましたし」
レベッカはどこか暗い表情で語った。
「まあ確かに災難でしたけど、結局悪いのは聖騎士の女の人をいじめた国防軍の中佐野郎ですよ」
中佐の悪事を思い出す。それにしてもあの復讐方法は今までに見た中で最も凄まじいものだった。ロケット弾数百発を豪邸に撃ち込むなど、ヒズベラにしかできない所業だ。
「それはそうだな。とにかく帝都での侵攻が終わるまではここを離れるんじゃない。そして何かあったら……」
その時、扉が勢いよく開き、アラブの怪人と砂漠の向日葵が双方共に笑みを浮かべながらゆっくりと入って来た。
「俺が」
「私が」
言葉を互いに合わせて。
「死守してやる!」
「私も死ぬ気でエッラーと共に援護するわ」
輝かしく頼もしい笑顔で守護の宣言を致したのだった。
空にはドラゴンではなく、ドローンやヘリ、ジェット戦闘機が飛び回り、道路では装甲車が道路を走行する。そしてアラブの伝統的な衣装を纏った人々が笑顔を浮かべ楽しそうな様子で行き交う。
建築物も砂岩で組まれており、中東の雰囲気は抜群だ。間違っているかもしれないが、アラビアっぽい音楽だって流れている。
「カセム、どこまで行くんだ?」
「宮殿だ、そこで最高指導者にまずは会うんだ」
巨漢の兵士カセムはハンドルを握りながら淡々と答える。
「最高指導者とは何だいそりゃ?」
「そうだな……他国でいえば、大統領とか総理大臣みたいな人の事だな。ほら、着いたから降りる」
車が停車し、ドアをパタンと開けて降りる。
眼前に聳えるは、太陽の下で白の輝きを放つ宮殿。ドーム状の屋根からはアラビア語が書かれた横断幕が吊るされている。
「これが指導者の家だ。多分執務室に居るだろう」
宮殿の派手だが下品ではない外観に心を奪われていると、カセムとザッハールが歩み出したので俺達も我に返りその背中を追った。
ペルシャの王が住まう宮殿に足を踏み入れた途端、厳かな雰囲気が意識を支配した。
立っている近衛兵らもまるで装飾品の如くピタリと動きを静止させ、息すらも極力抑えているように見える。
「これが宮殿かぁ……」
ガラス張りの天井やペルシャの神秘が詰まった絨毯を眺めながら前に進む。
何歩歩いたかすらも忘れた時、カセムとザッハールの二人が歩行を止めた。
「この部屋が指導者の居る所だ」
ハッと顔を上げてみれば金の飾り付けがなされた扉が目前に構えていた。
「ここにその王が居ると……」
未承認国家とはいえ一国の統治者がすぐそこに存在しているためか、気高いレベッカは顔が引き攣っていた。
「そんなに怖がらなくて大丈夫――――指導者はとても優しくて面白い人だから」
ザッハールは微笑みながら安心させてくれようとしたが、やはり国家のトップと対面するのはかなりの緊張感を覚える。
「じゃ、お二人さん行ってこい!」
「うおっとっとっ」
「ちょっ、いきなりすぎますっ!」
油断していたのが悪かったらしく、俺とレベッカは屈強な体格のカセムに執務室の中へと強制的に入室させられた。
指導者が居座る間に転がり入る。
「いてて……全くもう」
「強引すぎますよねあの人達……」
互いに文句を言いながらも立ち上がる。
まさしく国を治める者に等しい部屋だ。
床には高質なペルシャ絨毯が辺り一面に広がっている。中央には大理石が使用されたテーブルと革張りの茶色いソファが堂々と置かれており、その奥に――――ペルシャの統治者と思われる人物がこちらに背を向けて座っていた。
圧倒的なカリスマ性と威圧感が肌に染み込み、俺達二人はその人物を直視する事すらままならない。
椅子を回転させ、こちらに体を向ける。
「――――君達が、亡命者……いや、逃亡者か?」
緑のベレー帽と階級章やら勲章やらが沢山取り付けられた軍服、そして薄い黒が浸透したサングラスを体に飾った厳かな男が、そう問い詰めて来た。
「私はペルシャの最高指導者、バッシャール・フセインだ。そちらは?」
フセイン……名前がもうトップのそれに相応しいな。
こちらも自分達の名前を言い渡すと、ソファに座るよう命令された。
「それで、改めて聞くが、何故逃げて来たんだ?」
フセインさんは煙草をふかしながら尋ねる。俺は諜報部に追われている理由を素直に話し、報復攻撃に参加した経緯も正直に説明。
「なるほど、な……」
煙草を灰皿に擦り付け、静かに頷くフセインさん。
「災難だったな」
「ええ、本当大変でしたよ……一時的にそのせいで解雇されましたし」
レベッカはどこか暗い表情で語った。
「まあ確かに災難でしたけど、結局悪いのは聖騎士の女の人をいじめた国防軍の中佐野郎ですよ」
中佐の悪事を思い出す。それにしてもあの復讐方法は今までに見た中で最も凄まじいものだった。ロケット弾数百発を豪邸に撃ち込むなど、ヒズベラにしかできない所業だ。
「それはそうだな。とにかく帝都での侵攻が終わるまではここを離れるんじゃない。そして何かあったら……」
その時、扉が勢いよく開き、アラブの怪人と砂漠の向日葵が双方共に笑みを浮かべながらゆっくりと入って来た。
「俺が」
「私が」
言葉を互いに合わせて。
「死守してやる!」
「私も死ぬ気でエッラーと共に援護するわ」
輝かしく頼もしい笑顔で守護の宣言を致したのだった。
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