【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~

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 あれからあの日以降なかなか時間ができずランカ帝国のことを調べられていない。

 そんないつもと変わらない日々を過ごすなかで今日は学園で大きな変化があった。
 噂の留学生が今日から学園に通うことになったのだ。
 ランカ帝国の貴族だと思っていたのだが実際に留学生としてやってきたのはランカ帝国の第二皇子だった。
 いつから通うことになるかは生徒達に知らされていなかったこともあり学園内は大騒ぎ。どうやら王太子殿下も知らなかったようでとても驚いていた。
 皇子殿下は私や王太子殿下と同じクラスになった。


「テオハルト ・フォン・ランカだ。 今日からよろしく」


 みんなの前で簡単に挨拶し席に着く。ちなみに私の隣の席が空いていたのでそこの席を指定されていた。

 皇子殿下が席に着く前に私と目が合ったのだが


「これからよろしく」


 ととても優しい表情で声をかけてくれた。


「!こ、こちらこそよろしくお願いします」


 私も慌てて返事をして軽く頭を下げた。まさか声をかけられるとは思わなかったので驚いた。

 それから授業が始まったのだがどうしても気になりそっと隣を見るとまた皇子殿下と目が合ってしまった。


「っ!」


 私の席は一番後ろなので周りには気づかれていないが盗み見ようとした本人に気づかれてしまった。ただ皇子殿下は笑っているようで怒ってはいなさそうだ。


 (…笑った顔があの子に似てる)


 ふと皇子殿下の笑った顔を見て八年前に別れた友達を思い出した。

 髪の色や瞳の色も全く違うし、ましてや同じ孤児院いた子が大国の皇子殿下に似ているなど不敬にもほどがあるがなぜかそう思ったのだ。

 皇子殿下は燃えるような赤い髪に金色の瞳をしている。この色がランカ帝国の皇族の色だというのは有名な話だ。この間見た本にも書いてあった。
 ちなみに私の友達は茶髪に茶色の瞳とよく見かける色だった。


 (どうして似てるなんて思ったんだろう。そもそも皇子と孤児なんて天と地の差じゃない。まぁ口に出さなければ不敬にはならないでしょうけど…。…元気にしているかしら)
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