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しおりを挟むあれから私はすぐ家族に手紙を送った。一度そちらに帰ることとその時に紹介したい人がいることを記して。
すると返事は思っていた以上に早くに来た。手紙には二通入っていたのでまず一通目の中身を確認すると、物々しい雰囲気の文字で『待っている』とだけ書かれていた。
そして二通目は母が書いた手紙のようで、要約すると父と兄は私が紹介したい人に一刻も早く会いたいそうで領内で暴れまわっているそうだ。もちろん母も会いたいと記されていたがおそらく意味合いが違うだろう。
イシス様との結婚を認めてもらうためにも気合いを入れていかなければならないようだ。
一応イシス様にも事情を伝えたところ「認めてもらえるまで諦めない」と言ってくれた。私達はお互いの予定を調整し、十日後に挨拶に行くことに決めた。
◇◇◇
十日とはあっという間に過ぎるもので今日が挨拶に行く当日だ。できれば馬車に乗りゆっくり観光しながら向かえればよかったのだが、あいにくお互い忙しく時間が取れなかったので今回は転移魔法でオーガスト家の前まで向かう。私の転移魔法は数人までなら一緒に転移ができるのだ。
「じゃあ発動します。目は閉じておいてくださいね」
「ああ、頼む」
私は転移魔法を発動しオーガスト家へと向かった。
「…イシス様、着きましたのでもう目を開けても大丈夫です」
「転移魔法とはすごいな。本当に一瞬で移動できてしまうなんて」
「ふふ、便利でしょう?」
「ああ、さすがルナだな。…そしてここがオーガスト辺境伯家か」
「ロイガート公爵家に比べたら見劣りしますがこれでもセントミル国では名門貴族家なんですよ」
「いや、見劣りなんてしないさ。ただここがルナの育った場所だと思うと感慨深くてな」
「まぁ育ったと言っても八歳までなんですけどね」
それでも私には思い出多い場所であることに間違いない。
「それではいいですか?」
「ああ、行こう」
そして私とイシス様は共にオーガスト家の門をくぐったのだった。
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