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34 ベルフィーナ視点
しおりを挟む「お父様っ!」
私はあの店から急いで家に帰り、父のいる執務室へと駆け込んだ。普段は駆け込んだりなどしないのだが今は急を要する。少しでも早く父と話がしたかったのだ。
「ベ、ベルフィーナ!?」
「お父様!今お時間よろしいですか?」
「…!分かった。そこに座りなさい」
執務室にあるソファに父と向い合わせで座る。
「お父様に確認したいことがありましてこのように突然押しかけてしまいました。申し訳ございません」
父とはいえ何の約束もなしに執務室へと押しかけたことは、貴族令嬢としてはしたないことだと分かっているので先に謝罪を述べた。
「いや、いい。ベルフィーナにとってとても大切なことがあったんだろう?」
「!…はい。以前お話した王太子殿下とのことでお父様の考えをもう一度確認したいのです」
「確認?」
「ええ。…お父様は私に『好きにしなさい』と仰いましたが、それは王太子殿下の心を繋ぎ止めることができなかった私に失望されたからですか?」
このように直接的な言い回しは貴族らしくないことは分かっている。だけどここで間違えてしまっては意味がないのだ。
私の言葉を聞き父の表情が変わった。
「なっ!?そんなわけないだろう!私がベルフィーナに失望するなんてあるわけない!」
「っ!お父様…」
「もしかして最近元気がなかったのはそのせいなのか!?私の言葉がベルフィーナを傷つけていただなんて…!」
(ああ、ルナさんの言う通りだったわ…)
今ならあの言葉が私を想って言ってくれていたことがよく分かる。ただあの時の私が素直に受け入れることができなかっただけだ。
「お父様のせいではないです。私の心が弱いばかりにお父様の気遣いに気づくことができなかったのです」
「ベルフィーナ…」
「今ならお父様のあの時の言葉をちゃんと受け入れることができます」
「…ではどうするか決めたのか?」
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