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しおりを挟むそれからも魔物討伐の依頼を受けに地方へ行き、王都に戻っては店を開くという生活が続いた。団長様は変わらず毎回店を開く度に来てくれている。そして帰り際にまた会いたいとだけ言い残して帰っていく。
私はあれから全く進展しない関係にやきもきしていた。
(…もう認めるしかない。私は団長様のことが好き。…うん!うじうじしているのは私らしくないわ!進展がないのなら自分から進展させればいいだけよ!)
もう当たって砕けろである。そもそも私は恋愛初心者なのだ。駆け引きをしようとしても上手くいくはずがない。それならハッキリと言いたいことを言ってスッキリした方がいい。それが例え当たって砕けたとしてもだ。
今日の営業も無事に完売で終わり、お店にいるのは私と団長様だけになった。そして団長様も帰ろうと席を立ったところで私から切り出した。
「団長様は本当に私のことが好きなのですか?」
「なっ、な!と、突然どうした!?」
「だって、す、好きって言ってくれた後も団長様の態度が全く変わらないから、あの言葉は本当だったのかどうか分からなくて…」
「あ、あの言葉に嘘偽りはない!」
「じゃあどうして?」
「…ルナ殿は私のことを一人の客としてしか見ていないだろう?だからまずは私を一人の男として見て意識してほしいと思ったんだ。だからあの後も今までと変わらない態度でいるように心掛けてきた」
「…それなら団長様の作戦勝ちですね」
「っ!それはほ、本当か?」
「はい。私、団長様のことを一人の男性として意識しちゃってます。…ダメ、ですか?」
「ダメなわけない!ル、ルナ殿が私のことを…!」
どうやら私は当たって砕けずに済んだようだ。しかし貴族である団長様と平民である私はどのような関係を築いていくべきなのだろうか。
「でも私達ってあんまりお互いのことをよく知らないと思うんです」
「…確かにその通りだ」
「ですからまずはお友達から始めませんか?」
「友達?」
「はい。友達って色んなことを話したりするです。私もっと団長様のことを知りたいんです」
「っ!私のことを…?」
「それにもしも、もしもですよ?お、お付き合いするとしたらお互いの立場があるじゃないですか」
「立場?」
「団長様は貴族様ですが私は平民でしょう?貴族様と平民が付き合うって簡単なことじゃないと思うんです」
「私は立場など気にしない!貴族や平民など関係ない!ルナ殿がいいんだ!」
「だ、団長様!…そんなに想ってもらえる私は幸せものですね。でもこの問題は避けては通れないはずです」
「だが…」
「だからまずはお友達としてたくさん話し合いませんか?」
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