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「ルナリア!」
「ルナちゃん!」
「ルナ!」


 転移した先のオーガスト家で熱烈な出迎えを受けた私は三人を落ち着かせてから今日の出来事を伝えた。


「それじゃあルナリアは賭けに勝ったんだな。それも最高の結果で」

「はい!それで以前お願いしたことを実行してもらいたいんです」

「ルナちゃんが王妃にならなくて済むのは嬉しいけど出ていっちゃうのはやっぱり寂しいわ…」

「やっぱ俺もルナと一緒に…」

「お母様、お兄様落ち着いてください。私のお願い事を叶えてくれるって約束しましたよね?」

「「そうだけど…」」

「家を出ていったら私はもう家族ではなくなるのですか?」

「っ!そんなわけないじゃない!」
「ルナはいつまでも大切な家族だ!」

「ふふっ、そう言ってもらえて嬉しいです。それに出ていったとしてもたまには帰ってくるつもりです。だから今は快く送り出してくれませんか?」


 そう、私が以前にしたもう一つのお願い事とは婚約破棄されたら私を貴族籍から抜いて欲しいということ。貴族籍から抜けばもしもの時に家族に迷惑をかけずに済むと思ったからだ。ただおそらくあの茶番では家族に責任が問われることはないだろう。だけど念には念をいれておくに越したことはない。


「ああ、約束したからな。それにルナリアの実力ならどこでもやっていけるだろう。ただ困ったことがあればいつでも私達を頼りなさい」

「ありがとうございます!」


 これからは私は貴族令嬢ではなく冒険者として生きていくつもりだ。
 冒険者登録は五歳の時に済ませてある。冒険者デビューのお祝いとして両親から貰った鞄を持っていくことにした。この鞄は空間魔法がかけられているとても貴重なものだ。これからの生活に大いに役立つだろう。

 そうして私は急ぎ家を出る用意を済ませた。
 この家には八歳までしかいなかったがたくさんの思い出がたくさんある。今日自分の夢を叶えるために家を出ていくがやっぱり少し寂しい。だけど自分で決めたことだ。それに家族も後押ししてくれた。私は笑顔で家から出ていくのだ。

 家族と使用人達に見送られながら転移魔法を発動する。


「みんなまたね!」


 そして私の姿は屋敷から消えたのだった。


 婚約破棄された私はこうして家を出た。
 次にこの家に戻ってくるのは夢を叶えてからと決めてある。

 私は夢に向かって歩み始めたのだった。
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