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しおりを挟む--婚約してから一年
この一年はレナルド様が私をとても大切にしてくれていることを感じることができた。
手紙や贈り物もマメにいただいたし、二人で出掛けることも沢山あった。
これなら大丈夫だろうと婚約を継続することに決めた。
--婚約してから二年
変わらず手紙も贈り物もくれるしお出掛けにも連れていってくれる。
二年目にしてお互いを名前で呼ぶようになった。
ただ会うたびに疲れているのでは?と思うことが増えてきた。
--婚約してから三年
レナルド様は二十五歳にして宰相になった。若くして大出世である。
しかし忙しさからかこの頃から次第に交流が減っていった。
--婚約してから四年
この一年は手紙も贈り物もほとんどなくなっていた。
めずらしく手紙を貰っても『忙しくてすまない』という内容に終始する。
二人で出掛けることもなくまともに顔も合わせることがなくなっていた。
そうして迎えた結婚式。
レナルド様は式が始まる直前にやってきて無事に結婚式は挙げることができた。
しかし式が終わると「すまない」とだけ言い残して仕事へと戻っていってしまった。
そして初夜もレナルド様は戻ってくることはなく、一人夫婦の寝室に残されたのだった。
普通なら嫌われているのでは?とか他に好きな女性が?とか思うかもしれないが、私はこれっぽっちも心配していなかった。
両親は「婚約をやめるべきだ」といい、ミラスティ侯爵夫妻は「息子を信じてほしい」と頭を下げてきたりと色々あったが、私は十八歳の時にレナルド様と結婚したのだった。
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