私に無関心の宰相様と結婚しました~無関心だと思っていたら、どうやら違うようです

Na20

文字の大きさ
上 下
7 / 12

レナルド視点

しおりを挟む

「で、さっきのはなんだったんだ?」


 私は今ラシード殿下の執務室にいる。そして先ほどのことを聞かれている最中だ。
 先ほどよりは落ち着いたがまだ心臓がバクバクしている。


「…私にもよく分からないんだ。令嬢と目が合った瞬間身体中に衝撃が走って、それに心臓もすごい速さで動いてて…」

「はぁー。…いいかレナルド、それはおそらく一目惚れだ」

「ヒトメボレ…?」

「そうだ。それならお前の言う症状に合致する」

「…」


 女性が苦手である私が一目惚れだなんてあり得ないと頭で否定してみるものの、ふとした瞬間に先ほどの少女を思い出すと心臓がうるさくなるし顔も熱くなる。
 それに少女のことをもっと知りたいと思っている自分がいる。
 これは一目惚れだと認めるしかないのだろう。


「まさかあのレナルドがシアに一目惚れとはな…」

「…ラシード殿下。あのご令嬢はどこのご令嬢なんですか?」

「あぁ、レナルドの名前はシアに教えたけどシアの名前はレナルドに教えてなかったね。彼女はオルレシア・バレンティノ。バレンティノ公爵令嬢だ」

「!バレンティノ公爵家のご令嬢…。公爵家に
 私達より少し年下のご令嬢がいるとは知りませんでした」

「ん?少し年下?レナルド何か勘違いしてないか?確かにシアは大人びて見えるがまだ十歳だぞ?ちなみに私のいとこだ」

「は?十歳…!?」


 まさか十歳だとは思いもしなかったのですごく驚いた。所作や話し方で十四、五歳かと思っていたのだ。


「…十歳と十八歳はダメか?」

「おーい、レナルド?」

「……」


 私はこの後どうやって帰ったか思い出せないが気づいたら自分の部屋にいた。


「八歳、八歳…。十歳と十八歳だからイケナイような気がするのか?じゃあ十八歳と二十六歳なら……っ!」


 不思議と同じ年齢差でも年齢が上がるとイケナイ雰囲気が和らぐことに気づいた私は部屋から飛び出し父のもとへと向かった。


 (今の時間なら父上は母上と一緒にいるはずだからちょうどいいな)


 そして目的の部屋にたどり着いた私は勢いのまま扉を開けた。


「父上母上!婚約したい人ができたので協力してください!」



 --パリーン


「は?」


 父は驚きのあまりカップを落とし固まり、


「きゃあ~!」


 母は喜び叫ぶのだった。








 その後全員が落ち着いてから改めて話をして無事に両親の協力を得ることができた。
 また後日ラシード殿下から教えてもらったのだが、バレンティノ嬢に婚約者はいないそうだ。
 それに王太子妃になるのでは?との噂については絶対にないらしい。


「ほら、この間も言ったけど僕たちはいとこなんだ。僕の母とシアの母は姉妹でね。だから昔から付き合いはあるけど、どっちの母親もいとことの結婚はさせたくないって言ってるんだ。父もバレンティノ公爵もそれで納得しているから僕とシアの結婚はあり得ないさ。それに私には愛する婚約者がいるからね。そもそも婚約者がいるのにそんな噂が出るのがおかしな話なのさ」


 あははは、とラシード殿下は笑って話していた。
 ラシード殿下の話が本当であれば私にもチャンスがあるはずだ。
 ただ今すぐに婚約を打診するのではなくしばらくは準備期間にしたほうがいいだろう。
 侯爵家の嫡男といえど格上の公爵家に婚約を申し込むのだ。私の価値を高めてからタイミングを見計らって婚約を打診したほうがいいだろう。


 今後の方向性が決まってから私は今まで以上に努力した。
 そのおかげかいつの間にか次期宰相と言われるまでになっていた。


 そして四年後、私が二十二歳の時に十四歳のオルレシア・バレンティノ嬢との婚約が整ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

【完結】契約結婚だったはずが、冷徹公爵が私を手放してくれません!

21時完結
恋愛
公爵家の没落を救うため、冷徹と名高い公爵ヴィンセントと契約結婚を結んだリリア。愛のない関係のはずが、次第に見せる彼の素顔に心が揺れる。しかし契約の期限が近づく中、周囲の陰謀や彼の過去が二人を引き裂こうとする。契約から始まった偽りの結婚が、やがて真実の愛へと変わる――。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

ストーカーはもうしません!

エヌ
恋愛
ス、トー...カー? 自分の行為がストーカーかもしれないと気づき自重する令嬢と無表情無反応されるがままとみせかけたヤンデレ令息のお話。

【完結】没落令嬢の結婚前夜

白雨 音
恋愛
伯爵令嬢アンジェリーヌは、裕福な家で愛されて育ったが、 十八歳のある日、突如、不幸に見舞われた。 馬車事故で家族を失い、その上、財産の全てを叔父家族に奪われ、 叔父の決めた相手と結婚させられる事になってしまったのだ。 相手は顔に恐ろしい傷を持つ辺境伯___ 不幸を嘆くも、生きる為には仕方が無いと諦める。 だが、結婚式の前夜、従兄に襲われそうになり、誤ってテラスから落ちてしまう。 目が覚めると、そこは見知らぬ場所で、見知らぬ少年が覗き込んでいた___  異世界恋愛:短編(全8話)  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

処理中です...