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12 侍女
しおりを挟む「あう、うー」
「お嬢様お待たせしました。ミルクですよ~」
「あーう!」
「ふふっ、さぁどうぞ召し上がれ」
空色の瞳をキラキラさせながら夢中でミルクを飲むかわいい赤子。公爵様とユリア様のお子である。
結婚から三年後、無事に誕生したお嬢様はそれはそれは可愛らしい。将来は美人になること間違いなしだ。お嬢様はたくさんの人に可愛がられながらすくすくと成長している。
公爵様の想いがユリア様に届いたのは結婚から二年後のことだった。
その間には色々なことがあった。オルト様がユリア様を家に連れて帰ろうとしたり、前公爵夫妻が旅行から戻ってきたり、ユリア様が男性に言い寄られたり…。公爵様はめげずに毎日ユリア様に愛を伝えていたのだが、一度そうだと思い込んでしまったユリア様にはなかなか伝わらず、公爵様の想いが伝わるのに結局二年もかかってまった。だが今では公爵様とユリア様は仲睦まじい夫婦である。
ちなみにユリア様は今でも司書の仕事を続けている。公爵様の想いを受け入れる際に、司書の仕事をまだ続けたいとお願いしたのだ。出産前後はお休みしていたが、最近復帰を果たしている。あと数年は続けたいとユリア様は言っていた。
私としてはユリア様が幸せならばそれでいいと思っている。ユリア様の幸せを側で見守るのが私の幸せだ。そして今はこの幸せに腕の中で眠る天使も含まれている。
「すぅすぅ…」
「あら、眠ってしまったわ。さぁおねんねしましょうね」
お腹が満たされ気持ち良さそうに眠る赤子の頭を撫でた。赤子が次に目を覚ます頃には大好きなパパとママに会えるだろう。それまでは私がしっかりと見守るのだ。
「おやすみなさい。いい夢を」
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