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出会い
しおりを挟む朝は日が登り始める前に起きて身支度を整え、朝食の準備をする。セドルはまだ夢の中だ。
朝食はパンとスープ、それとセドルの大好物のベーコンエッグが定番だ。ベーコンエッグを焼きながらセドルの喜ぶ顔をを思い浮かべていると、美味しそうな匂いに釣られてセドルが起きてくる。
「おはよう」
「ママ、おはよう…」
まだ眠い目を擦りながら朝の挨拶を交わす。セドルの身支度を整え、一緒に朝食を食べる。朝食を食べる頃にはセドルの目も完全に覚め、元気いっぱいだ。
朝食を終え片付けをしてから仕事に向かうまでセドルと遊ぶ。遊んでいるとレミアとケビンがうちにやって来るので、二人にセドルを頼み仕事に向かう。
仕事は朝から昼過ぎまでで、終われば家に帰り遅めの昼食を食べる。その後は薬草の採取と市場への買い出しにみんなで出掛け、日が沈む前に家に帰る。
レミアと一緒に夕食を作り四人で食卓を囲み、片付けが終わるとレミアとケビンは隣の家に帰っていく。
セドルと一緒にお風呂に入り、お風呂上がりにセドルの柔らかい髪を乾かしたら二人でベッドに潜り、お互いに今日の出来事を話す。うとうとし始めたセドルを寝かせた後、採取した薬草の処理を済ませたら再びベッドに戻り、眠りに就く。
そしてまた朝が始まるのだ。
◇◇◇
それはある日のこと。店で薬の調合をしていると一人の客がやってきた。
「ここは薬屋であってるか?」
店に入ってきた男性が、店内を見回しながら聞いてきた。
(知らない顔…。冒険者かな?)
店に来る常連さんの顔は覚えている。知らない顔ということは冒険者の可能性が高い。店には回復薬などを求めてやってくる冒険者も多いのだ。
「はい。何かお求めですか?」
「冒険者ギルドでここの薬はよく効くって評判を聞いてな」
やはりこの男性は冒険者のようだ。
「そうだったんですね。…あのすみません、あと少しで作業が終わりますのでお待ちいただけますか?」
「ああ、かまわない」
「ありがとうございます」
私は急ぎ調合を終わらせマスクとエプロンを外し、服装を整えてから店内を見ている男性に声をかけた。
「お待たせしました」
「いや、大丈…っ!」
「お客様?」
「……」
「あの、どうかしましたか?」
「…あ、いや!な、なんでもない」
「そうですか?」
「あ、ああ」
振り向き様に突然動きを止めた男性を心配したが、なんでもないと言うので気にしないことにした。
「今日は何かお求めですか?」
「…回復薬を一つお願いしたいのだが」
「回復薬ですね。……はい。こちらになります」
「助かる。…また来てもいいか?」
「もちろんです。実際に使ってみてお気に召しましたら是非ともまたいらしてくださいね」
「…また買いにくる」
「お待ちしてます」
冒険者の男性は薬を受け取り、また来るとの言葉を残し店から出ていった。
(新しいお客さんになってくれるかな?)
そんなことを期待しながら私は再び調合を始めるのだった。
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