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前世
しおりを挟む「これオススメだから一回やってみて!」
仕事帰り、久しぶりに会った親友に勧められたのがきっかけだった。
「えー。前もそう言ってたけど微妙だったし…」
「今回のやつにはオススメのキャラがいるの!ほら、前に言ってたでしょ?」
「ん?私なんか言った?」
「もー!忘れちゃったの?前にオススメしたやつの感想聞いた時に、メインヒーロー以外パッとしないって言ってたじゃん」
「ああ、そういえばそんなこと言ったね」
「そう!それで、その中でも『公爵子息』は一番選びたくない~って言ってたでしょ?」
「まぁだって?メインヒーローの『王太子』を選べば王太子妃になれるし、メインヒーロー以外のヒーローは何かしら特化した才能を持っていたじゃない?その中で『公爵子息』は平凡っていうか面白味がないっていうか」
「まぁ言いたいことはわかるけどさー」
「でしょ?」
「でも安心して!今回のはその『公爵子息』がいい感じなの!」
「いい感じって、説明適当すぎない?」
「まぁまぁ。ここで言っちゃったらつまらないでしょ?ねっ!やってみてよー!」
「はぁ。わかったわかった。やってみるけど面白くなかったらすぐにやめるからね」
「うん!」
「で、その乙女ゲームの名前はなんて言うの?」
「えっとね、『君と共に歩む道』。略して“キミトモ”!」
「ああこれね。……はい。インストールしたよ」
「じゃあクリアしたら感想聞かせてね!」
「はいはい」
それから親友と別れ家に帰った私は、お風呂を済ませ冷蔵庫から冷えたビールを取り出した。
「ぷはー!今日も一日頑張ったぞ、私」
毎日の楽しみである晩酌をしながらテレビを見ていると親友から連絡が来た。
“もうやってみた?面白いでしょ?”
「あ、忘れてた」
先ほどインストールしたゲームのことなどすっかり忘れていた。
「うーん…。面倒だけどせっかくインストールしたしやってみるかな。それにあの子に感想言うって約束しちゃったし」
私はスマホから“キミトモ”を開いた。
「えーっと、攻略対象は『王太子』『公爵子息』『騎士団長子息』『天才魔法使い』『大商会の跡取り』か…」
最初はメインヒーローである『王太子』を選ぶ人が多いだろうが、私は親友がオススメだという『公爵子息』を選んだ。貴重な晩酌タイムを使うのだから、ぜひとも私の固定概念を覆してほしいものだ。
「まぁ少しだけやったら寝よっと」
そう決めてゲームを始めたのだが、『公爵子息』の攻略に夢中になり、気づけば外が明るくなっていた。
「よし、クリアー!……ふわぁ。あー明日も仕事だからそろそろ寝なきゃ…って嘘!?もうこんな時間!?」
慌てて時計を見るとまもなく起床時間だった。これではもう寝れないと諦めた私は一睡もせず仕事へと向かうことになる。
「…今日帰ったら感想言わないとな」
親友に感想を伝えるのは仕事から帰ってきてからにしようと決め、私は眠い目を擦りながら仕事へと向かった。しかしその道のりで私は事故に遭い、親友に感想を伝えられぬままこの世を去ってしまうのである。
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