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王太子視点
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俺は先ほど学園から届いた手紙を床に投げ捨てた。
「くそっ!どうして俺が退学なんだ!」
俺はこの国の王太子、アバカルド・カルディナ。
この国で二番目に偉いはずの俺が退学だと?
そんなのあり得ないのになにがどうなっているのか。
あの生意気な婚約者と平民の婚約者候補との試合の後、なぜかリュシアンと学園の衛兵に拘束され城に連れていかれたのだ。
王太子である私に許可無く触れるなどあり得ない。
あの衛兵達は後で不敬罪で捕まえてやる。
それにリュシアンは俺を裏切った。
あの生意気な女のことを守ろうとしたのだ。
俺はあの試合であの女に怪我をさせるつもりだった。
傷がつけば嫁の貰い手がなくなり、そこに優しい俺があの女を側妃にしてやる計画だったのだ。
そうすればあの女は泣いて感謝して俺に尽くすはず。
あの女は仕事だけは早いので俺の代わりに仕事をしてもらうつもりだった。
まぁ見た目も悪くはないからたまになら遊んでやってもいいかなと思っていたのだが、なぜ俺が学園を退学しなければならないのか全く理解できない。
「俺の婚約者なんだからどう扱おうが俺の勝手だろう?なぁリュシア…、ああ、あいつはクビにしたんだったな」
あいつは俺を裏切ったからクビにしてやった。
そういえばクビにする前に俺に会いに来たがそのまま追い返してやったんだったな。
なにやら手紙を置いていったようだが、どうせあの時の言い訳が書いてあるだけだろうからそのまま破って捨ててやった。
あいつが俺を裏切るだなんて思いもしなかった。
今までは従順なヤツだったから側に置いてやっていたのに。
まぁ俺が王になる前に裏切り者だと分かって良かったかもしれないな。
俺の言うことを聞くヤツが俺の側に仕えるべきなのだからな。
「それにあの平民。よくも俺の計画の邪魔をしやがって!あいつが変な魔法を使わなければ計画は成功したはずなんだ!」
――そもそも王太子は忘れている。その平民が聖魔力を持っていることを。もしも婚約者が怪我をしたとしても回復魔法で治してしまうということを――
「全員父上に言いつけてやる!」
俺は父上のいる部屋へと向かった。
この時間なら母上とお茶を飲んでいるかもしれないな。
父上には父上の代わりに仕事をしてくれるやつらがいるから仕事に追われることなくのんびり過ごしていることが多い。
俺も将来父上のような立派な国王になりたいと思う。
そのためには優秀な側近を探さなければな。
「父上!俺です!」
目的の部屋に着き扉の中に飛び込んだ。
「!おぉ!我が息子よ。どうかしたのか?」
「あら、アバちゃんどうしたの?」
「父上、母上!俺の邪魔をしたやつらをこらしめてください!」
「何があったのか教えてくれ」
「実は…」
俺は退学の手紙が届いたことと退学させられた原因を話した。
「退学だと!?わしは何も聞いてないぞ!おい、誰か来い!」
父上が呼びかけると少し時間が経ってから身なりの良い男性が一人部屋に入ってきた。
はて、こいつは誰だったか?
「陛下いかがいたしましたか」
「遅いぞ!王太子が退学になったとはどういうことだ!わしは何も聞かされていないぞ」
「…二日前に学園から陛下宛に手紙が届いております」
「なぜわしに言わないんだ!」
「陛下宛の手紙はわざわざ伝えずに執務室の机の上に置いておくように、との陛下のご命令でしたので従ったまでです」
「っ!そ、そんな命令をした覚えはない!この役立たずめ!お前はクビだ、クビ!」
「そうですか。分かりました。あぁ、宰相室に陛下の仕事が残っておりますので城から出る前に陛下の執務室に戻しておきます。陛下も早めに対応した方ほうがいいですよ。では私は失礼します」
「なっ!」
そういって男性は部屋から出ていった。
「父上!今の無礼な男は誰なのですか?」
「お前は知らんかったか?あいつは王妃の兄のロドリー侯爵だ。宰相の任は今解いてやったがな」
「あぁあれが王妃の…。通りで無礼なはずですね。あの女にそっくりだ」
「ええその通りよ!あんな男さっさとクビにしてしまえば良かったのよ。ついでにあの女も城から追い出してほしいくらいだわ」
「まぁそう言うな。あの男は仕事だけはできたからな。それに王妃はロドリー侯爵の妹だ。ロドリー侯爵は隣国の姫を娶ったからな。追い出すのは得策ではないのだ。分かっておくれ、わしの愛する妻よ」
「もう仕方ないですわねっ!」
俺の目の前で父上と母上がイチャイチャし始めたが今はそれどころではないのだ。
「父上っ!早くあいつらをこらしめてくださいよ!」
「お、おお、すまぬな。そうだな…、よしパーティーを開くぞ」
「パーティーですか?」
「あぁ、王家主催のな。王家主催なら貴族は全員参加しなくてはならぬからな。その場にそやつらを招待して皆の前で罰を下してやろう。バーマイヤの小娘には婚約破棄と国外追放、娘の管理をできなかったバーマイヤ公爵には婚約破棄の慰謝料をもらうことにしよう。レイコールドのガキは我が息子を裏切ったからな。二度と裏切れないように奴隷にしてやるか。それとレイコールド公爵にも慰謝料をもらわないとな」
「さすが父上!」
「それと平民の娘だったな。あの娘は聖魔力を持っているからな。パーティーの場でお前との結婚を発表しよう。そして一生を王家のために仕えるように教育するのだ。そうすれば貴重な聖魔力はわしら王家のもの。息子よ、しっかり教育するのだぞ?」
「はい!俺に逆らえないように教育してやります」
「あぁ好きにするといい。王家には聖獣の加護があるからな。誰もわしらに手出しすることはできずに従うしかないのさ」
確か何代か前の国王が聖獣から加護を与えられたと聞いているが、それのおかげで誰も俺たちに逆らうことができないなんて本当に便利な力だ。
本当にいるかどうかもわからない聖獣だが一応感謝でもしてやるか。
あぁ、今からパーティーの日が待ち遠しい。
「くそっ!どうして俺が退学なんだ!」
俺はこの国の王太子、アバカルド・カルディナ。
この国で二番目に偉いはずの俺が退学だと?
そんなのあり得ないのになにがどうなっているのか。
あの生意気な婚約者と平民の婚約者候補との試合の後、なぜかリュシアンと学園の衛兵に拘束され城に連れていかれたのだ。
王太子である私に許可無く触れるなどあり得ない。
あの衛兵達は後で不敬罪で捕まえてやる。
それにリュシアンは俺を裏切った。
あの生意気な女のことを守ろうとしたのだ。
俺はあの試合であの女に怪我をさせるつもりだった。
傷がつけば嫁の貰い手がなくなり、そこに優しい俺があの女を側妃にしてやる計画だったのだ。
そうすればあの女は泣いて感謝して俺に尽くすはず。
あの女は仕事だけは早いので俺の代わりに仕事をしてもらうつもりだった。
まぁ見た目も悪くはないからたまになら遊んでやってもいいかなと思っていたのだが、なぜ俺が学園を退学しなければならないのか全く理解できない。
「俺の婚約者なんだからどう扱おうが俺の勝手だろう?なぁリュシア…、ああ、あいつはクビにしたんだったな」
あいつは俺を裏切ったからクビにしてやった。
そういえばクビにする前に俺に会いに来たがそのまま追い返してやったんだったな。
なにやら手紙を置いていったようだが、どうせあの時の言い訳が書いてあるだけだろうからそのまま破って捨ててやった。
あいつが俺を裏切るだなんて思いもしなかった。
今までは従順なヤツだったから側に置いてやっていたのに。
まぁ俺が王になる前に裏切り者だと分かって良かったかもしれないな。
俺の言うことを聞くヤツが俺の側に仕えるべきなのだからな。
「それにあの平民。よくも俺の計画の邪魔をしやがって!あいつが変な魔法を使わなければ計画は成功したはずなんだ!」
――そもそも王太子は忘れている。その平民が聖魔力を持っていることを。もしも婚約者が怪我をしたとしても回復魔法で治してしまうということを――
「全員父上に言いつけてやる!」
俺は父上のいる部屋へと向かった。
この時間なら母上とお茶を飲んでいるかもしれないな。
父上には父上の代わりに仕事をしてくれるやつらがいるから仕事に追われることなくのんびり過ごしていることが多い。
俺も将来父上のような立派な国王になりたいと思う。
そのためには優秀な側近を探さなければな。
「父上!俺です!」
目的の部屋に着き扉の中に飛び込んだ。
「!おぉ!我が息子よ。どうかしたのか?」
「あら、アバちゃんどうしたの?」
「父上、母上!俺の邪魔をしたやつらをこらしめてください!」
「何があったのか教えてくれ」
「実は…」
俺は退学の手紙が届いたことと退学させられた原因を話した。
「退学だと!?わしは何も聞いてないぞ!おい、誰か来い!」
父上が呼びかけると少し時間が経ってから身なりの良い男性が一人部屋に入ってきた。
はて、こいつは誰だったか?
「陛下いかがいたしましたか」
「遅いぞ!王太子が退学になったとはどういうことだ!わしは何も聞かされていないぞ」
「…二日前に学園から陛下宛に手紙が届いております」
「なぜわしに言わないんだ!」
「陛下宛の手紙はわざわざ伝えずに執務室の机の上に置いておくように、との陛下のご命令でしたので従ったまでです」
「っ!そ、そんな命令をした覚えはない!この役立たずめ!お前はクビだ、クビ!」
「そうですか。分かりました。あぁ、宰相室に陛下の仕事が残っておりますので城から出る前に陛下の執務室に戻しておきます。陛下も早めに対応した方ほうがいいですよ。では私は失礼します」
「なっ!」
そういって男性は部屋から出ていった。
「父上!今の無礼な男は誰なのですか?」
「お前は知らんかったか?あいつは王妃の兄のロドリー侯爵だ。宰相の任は今解いてやったがな」
「あぁあれが王妃の…。通りで無礼なはずですね。あの女にそっくりだ」
「ええその通りよ!あんな男さっさとクビにしてしまえば良かったのよ。ついでにあの女も城から追い出してほしいくらいだわ」
「まぁそう言うな。あの男は仕事だけはできたからな。それに王妃はロドリー侯爵の妹だ。ロドリー侯爵は隣国の姫を娶ったからな。追い出すのは得策ではないのだ。分かっておくれ、わしの愛する妻よ」
「もう仕方ないですわねっ!」
俺の目の前で父上と母上がイチャイチャし始めたが今はそれどころではないのだ。
「父上っ!早くあいつらをこらしめてくださいよ!」
「お、おお、すまぬな。そうだな…、よしパーティーを開くぞ」
「パーティーですか?」
「あぁ、王家主催のな。王家主催なら貴族は全員参加しなくてはならぬからな。その場にそやつらを招待して皆の前で罰を下してやろう。バーマイヤの小娘には婚約破棄と国外追放、娘の管理をできなかったバーマイヤ公爵には婚約破棄の慰謝料をもらうことにしよう。レイコールドのガキは我が息子を裏切ったからな。二度と裏切れないように奴隷にしてやるか。それとレイコールド公爵にも慰謝料をもらわないとな」
「さすが父上!」
「それと平民の娘だったな。あの娘は聖魔力を持っているからな。パーティーの場でお前との結婚を発表しよう。そして一生を王家のために仕えるように教育するのだ。そうすれば貴重な聖魔力はわしら王家のもの。息子よ、しっかり教育するのだぞ?」
「はい!俺に逆らえないように教育してやります」
「あぁ好きにするといい。王家には聖獣の加護があるからな。誰もわしらに手出しすることはできずに従うしかないのさ」
確か何代か前の国王が聖獣から加護を与えられたと聞いているが、それのおかげで誰も俺たちに逆らうことができないなんて本当に便利な力だ。
本当にいるかどうかもわからない聖獣だが一応感謝でもしてやるか。
あぁ、今からパーティーの日が待ち遠しい。
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