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出撃No.015 見知った転校生
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先生は教卓の横に2人を立たせて紹介する。
「では紹介します。垢城望愛さん」
「よろしく」
「そしてこちらが、翠河彩さんです」
「みんなよろしくね~」
2人の少女が一礼をし教室は歓喜に包まれる。
「じゃあ2人に自己紹介をしてもらいます。まず垢城さんから」
「海外からきました。よろしくお願いします」
いやいや、お前は海外っていうより島だろ! ばっりばりの島少女だろうが。
「翠河です! みんなよろしくね~。同じく帰国子女だよ!」
男子の大半はどちらかというと、この翠河という人に票を投じているようだ。
髪の毛は深い緑色で肩までかかる長さで綺麗なストレートだが、首から下はウェーブがかかっている。
スレンダーなモデル体形で身長は同年代ではやや高めだ。
アーモンド形の眼と控えめな緑色の瞳、制服の上からでも分かる膨らみがある。非常に顔立ちが良く騒ぐ理由もわかる。
クラスの女子からも、望愛はお人形さんみたいと例えられ、翠河さんはモデルさんみたいと例えられている。それに望愛と会った時と同じで、翠河さんも知っているような気がする。
望愛と一緒にいるという事は、翠河さんも関係していると見て間違いないだろう。
「じゃあ2人共空いている席に座ってくれ」
何だろう、転校生2人が同時に僕に目線を移した。やめてくれ、見ないでくれると嬉しい。
「おい流星! 2人とも俺を見ていないか? これはあれかな! 都市伝説のモテ期かな?」
僕も是非それであってほしい。
「先生、あたしあの席がいいです」
望愛は僕の右横の席を指差している。
「じゃあ~うちはあの席かな」
翠河さんも俺のひとつ前の席を指差した。なんだ? これは逆サプライズか。しかし席を選択できるわけがない、君らの試みは失敗だ。
「2人共席は空いている所にしてくれ。もう座っている人が」
そうそう先生の言う通りだ。さあ僕のそばから離れてくれ。
「先生! 俺、望愛さんに席を譲ります!」
「俺も俺も!」
何を言っているのだ! 男子生徒AにB! 君らはそこでこそ輝くのだぞ。
「そうか、じゃあ席を替わってあげてくれ」
まさかの先生受け入れた! まてまて止めろよ! 協調性の大切さを説けよ。
「ありがとう」
「あっいえいえ」
男子生徒Aよ、望愛に対しての下心が見え見えだ。
「じゃあホームルームを再開する」
先生の話は全然頭に入ってこない。この2人が何かしないか不安でしょうがないからだ。
1時限に入る前のつかの間の休息、2人は男女問わず人気を手にしている。もちろん竜輝も2人の所に行き、モテポイントを稼ごうと必死になっている。
隣と前に着た割には話しかけてくるわけでもなく、僕は少し安心し始めていた。
だが御昼休みになってその時はやってきた。
「お前また中庭で食べるのか?」
「ああ、お気に入りなんだ」
嘘をついてはないが教室にはいたくない。2人は一緒に昼飯を食べようとする生徒に囲まれている今がチャンスだ。安心して教室を出て行こうとした時だった。
「待って」
誰かが僕の上着の背中を引っ張る。
「ねえ、一緒にご飯食べようよ~」
翠河さんだ。周りの動揺と男子の殺気がもの凄い。
「えっと、僕は中庭で食べるから、君はみんなと食べてなよ……」
「中庭? いいねいいね。案内してよ。望愛~行くよ~」
望愛も頷いている。止めてくれ。
「ほらほら~」
翠河さんはそのまま僕を押して強引に教室から出ていく。背中にとてつもない殺気を感じるが変わってくれるなら変わってほしい。
そのままグイグイと押されて廊下を歩き続けるが、階段を上らせようとしてくるところで中庭に向かっていないことに気づく。
どういう事かと思い立ち止まって振り返る。
「どうしたの~?」
「いや、中庭に行くんじゃないのか?」
「行かないよ~、だって流星君と誰にも邪魔されずに話すために屋上に行くんだから」
助けを求めて望愛を見るが黙って頷くだけだ。
「屋上は鍵がしまってるから入れないよ」
「大丈夫! 大丈夫~」
今度は翠河さんに手を引かれて屋上まで階段を昇り、望愛は僕の袖を掴んで後を着いてくる。この2人でなければ喜ぶべき状況なんだろうが、これは完全に逃げないようにされている。
屋上のドアの前まで来ると、翠河さんがピッキングツールを取り出して鍵をこじ開けてしまう。
最近の女子高生ってこんなことまで出来るのか。凄いな。。。ははは。。。
どうしてこうなってしまったのか。いやいやその前に美少女と肩を並べてお弁当を食べるというのは、楽しくワクワクするものではないのか? なぜ僕は幸せではなく冷や汗に浸っているのだろう。
屋上に出てフェンスに持たれかかりながら座る僕の左に翠河さん、右に望愛が座る。
「ねえねえ~、流星君の顔をもっと見せてよ」
「えっと翠河さん……なぜでしょうか」
「あ~あ~警戒しちゃってるね。ちょっとお話したいだけだから大丈夫だよ」
「あなたの学校に来たのはそのためよ。流星」
望愛も僕の顔を覗き込んでくる。
よく考えれば、わざわざこの2人が転校という形で学校まで来て接触を図ってきたのだ。それなりに大事な話なのだろう。だとすれば僕としても積極的に話をするべきなのだろうな。
だがまずはこの翠河さんが何者なのかをはっきりさせないと。
「なるほど。話をね……まず聞きたいんだけど翠河さんは何者?」
「何者ってのは酷いんじゃないの~?、それに翠河さんじゃなくて彩でいいよ」
「……じゃあ彩さんは何者ですか?」
「彩!」
「彩……は何者ですか?」
いきなり大声を出しながら吐息がかかる程顔を寄せられ、僕の寿命は僅かに減った気がする。
「昨日、あなたを助けたのはうちだよ」
「助けた? まさかあの光の線って彩が?」
「正~解!」
彩は僕に満面の笑みを向けて来る。
「彼女はレッドアロンの兄弟機、グリーンフォレッサードのパイロットよ」
「兄弟機?」
「そうそう。よろしくね、流星君!」
レッドアロンに兄弟機がいたのか。あんなのがいったい何機あるというんだ。
「あの時は助かったよ、ありがとう」
「全然いいんだよ~」
彩は嬉しそうにほっぺをつついてくる。
それを見ながら、望愛が鬼の形相でこっちを見ているのがかなり怖い。なんでそんなに怒ってるんだよ。
望愛が咳払いをし本題に入る。
「あなたには、来てもらいたい場所があるのよ」
「どこに行くんだよ?」
「ひ~み~つ、内緒にしておいた方が面白いでしょ」
「あなたが知りたがっていたこと、少しはわかるかもよ」
昨日父さんとも話をしたし、記憶を戻す鍵が行き先にあるのかもしれない。特に断る理由もないし、行ってみるのも悪くないか。内緒にしているのも、不用意にプロテクトが発動するのを警戒しているのかもしれない。学校であの頭痛に悩まされるわけにはいかないからな。
2人の頼みを快諾し心の中で覚悟を決める。
「放課後直ぐに出発するから。またあとでね」
「ば~い、流星君」
本当に用件はそれだけだったのだろう、2人は弁当を食べて教室に戻っていく。
1人屋上に残されて空を見上げる。女の子とお昼ってこんなに虚しかったっけ?
弁当を食べ終わり教室に戻ると、男子生徒からの殺気の混じった視線が集中して飛んでくる。
残りの授業をほとんど上の空で過ごしてしまい、たった1日のことだが期末テストに自信が持てなくなってきた。彩が何度か振り返って眼が合う回数も多くなっていく。
美少女転校生の噂は瞬く間に学校内に広がったようで、クラスの前を通る男子生徒は歩く速度を遅めてクラスを覗き込んでいく。
僕が転校生を引き連れて屋上に行ったということも、事実と違う亜種を作りだしながら広がったようで、何人から睨まれたのもうか分からない。
授業は後1つ。早く終わらないかな……。
「では紹介します。垢城望愛さん」
「よろしく」
「そしてこちらが、翠河彩さんです」
「みんなよろしくね~」
2人の少女が一礼をし教室は歓喜に包まれる。
「じゃあ2人に自己紹介をしてもらいます。まず垢城さんから」
「海外からきました。よろしくお願いします」
いやいや、お前は海外っていうより島だろ! ばっりばりの島少女だろうが。
「翠河です! みんなよろしくね~。同じく帰国子女だよ!」
男子の大半はどちらかというと、この翠河という人に票を投じているようだ。
髪の毛は深い緑色で肩までかかる長さで綺麗なストレートだが、首から下はウェーブがかかっている。
スレンダーなモデル体形で身長は同年代ではやや高めだ。
アーモンド形の眼と控えめな緑色の瞳、制服の上からでも分かる膨らみがある。非常に顔立ちが良く騒ぐ理由もわかる。
クラスの女子からも、望愛はお人形さんみたいと例えられ、翠河さんはモデルさんみたいと例えられている。それに望愛と会った時と同じで、翠河さんも知っているような気がする。
望愛と一緒にいるという事は、翠河さんも関係していると見て間違いないだろう。
「じゃあ2人共空いている席に座ってくれ」
何だろう、転校生2人が同時に僕に目線を移した。やめてくれ、見ないでくれると嬉しい。
「おい流星! 2人とも俺を見ていないか? これはあれかな! 都市伝説のモテ期かな?」
僕も是非それであってほしい。
「先生、あたしあの席がいいです」
望愛は僕の右横の席を指差している。
「じゃあ~うちはあの席かな」
翠河さんも俺のひとつ前の席を指差した。なんだ? これは逆サプライズか。しかし席を選択できるわけがない、君らの試みは失敗だ。
「2人共席は空いている所にしてくれ。もう座っている人が」
そうそう先生の言う通りだ。さあ僕のそばから離れてくれ。
「先生! 俺、望愛さんに席を譲ります!」
「俺も俺も!」
何を言っているのだ! 男子生徒AにB! 君らはそこでこそ輝くのだぞ。
「そうか、じゃあ席を替わってあげてくれ」
まさかの先生受け入れた! まてまて止めろよ! 協調性の大切さを説けよ。
「ありがとう」
「あっいえいえ」
男子生徒Aよ、望愛に対しての下心が見え見えだ。
「じゃあホームルームを再開する」
先生の話は全然頭に入ってこない。この2人が何かしないか不安でしょうがないからだ。
1時限に入る前のつかの間の休息、2人は男女問わず人気を手にしている。もちろん竜輝も2人の所に行き、モテポイントを稼ごうと必死になっている。
隣と前に着た割には話しかけてくるわけでもなく、僕は少し安心し始めていた。
だが御昼休みになってその時はやってきた。
「お前また中庭で食べるのか?」
「ああ、お気に入りなんだ」
嘘をついてはないが教室にはいたくない。2人は一緒に昼飯を食べようとする生徒に囲まれている今がチャンスだ。安心して教室を出て行こうとした時だった。
「待って」
誰かが僕の上着の背中を引っ張る。
「ねえ、一緒にご飯食べようよ~」
翠河さんだ。周りの動揺と男子の殺気がもの凄い。
「えっと、僕は中庭で食べるから、君はみんなと食べてなよ……」
「中庭? いいねいいね。案内してよ。望愛~行くよ~」
望愛も頷いている。止めてくれ。
「ほらほら~」
翠河さんはそのまま僕を押して強引に教室から出ていく。背中にとてつもない殺気を感じるが変わってくれるなら変わってほしい。
そのままグイグイと押されて廊下を歩き続けるが、階段を上らせようとしてくるところで中庭に向かっていないことに気づく。
どういう事かと思い立ち止まって振り返る。
「どうしたの~?」
「いや、中庭に行くんじゃないのか?」
「行かないよ~、だって流星君と誰にも邪魔されずに話すために屋上に行くんだから」
助けを求めて望愛を見るが黙って頷くだけだ。
「屋上は鍵がしまってるから入れないよ」
「大丈夫! 大丈夫~」
今度は翠河さんに手を引かれて屋上まで階段を昇り、望愛は僕の袖を掴んで後を着いてくる。この2人でなければ喜ぶべき状況なんだろうが、これは完全に逃げないようにされている。
屋上のドアの前まで来ると、翠河さんがピッキングツールを取り出して鍵をこじ開けてしまう。
最近の女子高生ってこんなことまで出来るのか。凄いな。。。ははは。。。
どうしてこうなってしまったのか。いやいやその前に美少女と肩を並べてお弁当を食べるというのは、楽しくワクワクするものではないのか? なぜ僕は幸せではなく冷や汗に浸っているのだろう。
屋上に出てフェンスに持たれかかりながら座る僕の左に翠河さん、右に望愛が座る。
「ねえねえ~、流星君の顔をもっと見せてよ」
「えっと翠河さん……なぜでしょうか」
「あ~あ~警戒しちゃってるね。ちょっとお話したいだけだから大丈夫だよ」
「あなたの学校に来たのはそのためよ。流星」
望愛も僕の顔を覗き込んでくる。
よく考えれば、わざわざこの2人が転校という形で学校まで来て接触を図ってきたのだ。それなりに大事な話なのだろう。だとすれば僕としても積極的に話をするべきなのだろうな。
だがまずはこの翠河さんが何者なのかをはっきりさせないと。
「なるほど。話をね……まず聞きたいんだけど翠河さんは何者?」
「何者ってのは酷いんじゃないの~?、それに翠河さんじゃなくて彩でいいよ」
「……じゃあ彩さんは何者ですか?」
「彩!」
「彩……は何者ですか?」
いきなり大声を出しながら吐息がかかる程顔を寄せられ、僕の寿命は僅かに減った気がする。
「昨日、あなたを助けたのはうちだよ」
「助けた? まさかあの光の線って彩が?」
「正~解!」
彩は僕に満面の笑みを向けて来る。
「彼女はレッドアロンの兄弟機、グリーンフォレッサードのパイロットよ」
「兄弟機?」
「そうそう。よろしくね、流星君!」
レッドアロンに兄弟機がいたのか。あんなのがいったい何機あるというんだ。
「あの時は助かったよ、ありがとう」
「全然いいんだよ~」
彩は嬉しそうにほっぺをつついてくる。
それを見ながら、望愛が鬼の形相でこっちを見ているのがかなり怖い。なんでそんなに怒ってるんだよ。
望愛が咳払いをし本題に入る。
「あなたには、来てもらいたい場所があるのよ」
「どこに行くんだよ?」
「ひ~み~つ、内緒にしておいた方が面白いでしょ」
「あなたが知りたがっていたこと、少しはわかるかもよ」
昨日父さんとも話をしたし、記憶を戻す鍵が行き先にあるのかもしれない。特に断る理由もないし、行ってみるのも悪くないか。内緒にしているのも、不用意にプロテクトが発動するのを警戒しているのかもしれない。学校であの頭痛に悩まされるわけにはいかないからな。
2人の頼みを快諾し心の中で覚悟を決める。
「放課後直ぐに出発するから。またあとでね」
「ば~い、流星君」
本当に用件はそれだけだったのだろう、2人は弁当を食べて教室に戻っていく。
1人屋上に残されて空を見上げる。女の子とお昼ってこんなに虚しかったっけ?
弁当を食べ終わり教室に戻ると、男子生徒からの殺気の混じった視線が集中して飛んでくる。
残りの授業をほとんど上の空で過ごしてしまい、たった1日のことだが期末テストに自信が持てなくなってきた。彩が何度か振り返って眼が合う回数も多くなっていく。
美少女転校生の噂は瞬く間に学校内に広がったようで、クラスの前を通る男子生徒は歩く速度を遅めてクラスを覗き込んでいく。
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