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四章
46.今日から
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「と、いうことで既に書類は作成しておいた。あとはおぬしのサインだけだな」
「えっあの」
私は皇帝の圧に蹴落とされ、言われるままに分厚い書類の最後にサインをした。
(うう、めっちゃ疲れた......)
「サインが終わりましたらこちらに、一ヶ月後に行われる継承式に参加するドレスの型紙を取らねばなりません」
「えっ、今からですか?」
「はい、その後も継承式で発表する文章を考えていただきます。そして今日から礼儀作法の授業が始まりますので――はっ、もうデザイナーが来る時間だ! フィオネ様、行きますよ!」
サインを書き終わった瞬間、私はドリーに腕を掴まれた。
「へっ? ちょっ、えええええ」
廊下に私の情けない叫び声が響き渡る。
そしてこの後まさか十五時間に渡って宮内に拘束されることになるとはこの時の私は知る由もなかった。
「ふあー、疲れたあ......」
その後、怒涛の十五時間スケジュールを終えた私は今朝居たベッドにダイブしながら脱力していた。
ドレスの型取りはずっと立ったままだし、礼儀作法の授業は頭にいっぱい本を載せられて首が痛い。
明日から継承式まで毎日授業がびっしり詰まっていると思うと、ちょっと憂鬱だ。
だが。
「好きだ、だってさ。ふふ」
私はシウォンが今朝言ってくれた言葉を思い出す。
こんなに疲れている今でも、その瞬間を思い出すだけでなんだか不思議なエネルギーが溢れてくる。
それだけでどんなに大変なことでも頑張れる気がした。
(......これが両思いってやつなんだね)
月明かりが窓から差し込む。
その光に照らされた指輪がキラリと光った。
「カイン、ありがとうね」
シウォンを生き返らせて聖女の精神世界から出る直前、彼は私に手を振っていた。
ここまで力を使い果たしたから少しだけ、お別れだとカインはそう告げた。
彼があの時力を貸してくれなかったら月石だけでシウォンを蘇らせることは出来なかったかもしれない。
「また......どこかで会えるよね」
私はそう言って指輪を見つめた。
さあ、明日も早い。もう寝なければ......。
目を閉じるとあっという間に眠気に襲われ、私は深い夢の中に落ちるのだった。
「えっあの」
私は皇帝の圧に蹴落とされ、言われるままに分厚い書類の最後にサインをした。
(うう、めっちゃ疲れた......)
「サインが終わりましたらこちらに、一ヶ月後に行われる継承式に参加するドレスの型紙を取らねばなりません」
「えっ、今からですか?」
「はい、その後も継承式で発表する文章を考えていただきます。そして今日から礼儀作法の授業が始まりますので――はっ、もうデザイナーが来る時間だ! フィオネ様、行きますよ!」
サインを書き終わった瞬間、私はドリーに腕を掴まれた。
「へっ? ちょっ、えええええ」
廊下に私の情けない叫び声が響き渡る。
そしてこの後まさか十五時間に渡って宮内に拘束されることになるとはこの時の私は知る由もなかった。
「ふあー、疲れたあ......」
その後、怒涛の十五時間スケジュールを終えた私は今朝居たベッドにダイブしながら脱力していた。
ドレスの型取りはずっと立ったままだし、礼儀作法の授業は頭にいっぱい本を載せられて首が痛い。
明日から継承式まで毎日授業がびっしり詰まっていると思うと、ちょっと憂鬱だ。
だが。
「好きだ、だってさ。ふふ」
私はシウォンが今朝言ってくれた言葉を思い出す。
こんなに疲れている今でも、その瞬間を思い出すだけでなんだか不思議なエネルギーが溢れてくる。
それだけでどんなに大変なことでも頑張れる気がした。
(......これが両思いってやつなんだね)
月明かりが窓から差し込む。
その光に照らされた指輪がキラリと光った。
「カイン、ありがとうね」
シウォンを生き返らせて聖女の精神世界から出る直前、彼は私に手を振っていた。
ここまで力を使い果たしたから少しだけ、お別れだとカインはそう告げた。
彼があの時力を貸してくれなかったら月石だけでシウォンを蘇らせることは出来なかったかもしれない。
「また......どこかで会えるよね」
私はそう言って指輪を見つめた。
さあ、明日も早い。もう寝なければ......。
目を閉じるとあっという間に眠気に襲われ、私は深い夢の中に落ちるのだった。
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