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四章
45.嬉しい知らせ
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「えっ!? あの、知ってるっていつから......?」
「初めて会った日の次の日から」
淡々と話すシウォンに私は動揺した。
(初めて会った時の次の日ってじゃあほぼ最初からじゃん)
「君が僕の命を狙うジークの手先かどうか調べようと思ってね、皇弟に聞いたんだ。そしたらスラム街出身だってね」
「全部知ってたの......?嘘でしょ......」
「色々と隠しててごめんね。皇弟に自分から話したいって言われて黙ってた。だからフィオネの出身は僕の好きって感情には影響しないよ。というかさぁ――」
シウォンは含み笑いをしながら私のことを見つめてきた。
「さっき、僕のこと好きって言ったよね?」
「!」
本当だ!
どうせ嫌われるからと思って最後の告白のつもりで言ってしまった。
それなのにまさかこんな展開をなるなんて思わないじゃんか。
「それじゃあ僕とフィオネは結婚するっていうことで良いよね?」
「~ッ! そ......そうだね」
既に真っ赤だった顔を更に赤くしながら私はシウォンの確認に小さく頷くことしか出来なかった。
「で、でもそんな簡単に結婚ってできるの?」
「ああ、そうだな。フィオネは爵位がないから......」
いくら両思いだからってそんな簡単に平民と皇族の身分の差が埋まるわけではない。
「ちょ、押さないでくださいよっ......」
「うるさい、耳が遠くて......聞こえんのじゃ!」
その瞬間、ドアの向こうから誰かの小さく話す声が聞こえた。
「?」
「なんだろう、開けてみる?」
シウォンが扉に向かって聞き耳を立てる。
数秒聞いた後、シウォンは何かに気づいたような顔をして思い切りドアを開けた。
バタンッ
「ぎゃっ!」
「ふお!? いてて......」
シウォンが扉を開けた瞬間、扉のすぐ向こうにいたらしい皇帝と側ドリーが二人して勢い良く床に突っ伏した。
何してるんだこの二人。
「はあ、お二人共何をしていたのですか?」
シウォンが呆れながら言う。
「シ、シウォン様、フィオネ様、秋の木漏れ日が差す素敵な午後ですね。ええと、お身体のほうはどうですか?」
「は、はい。もう大丈夫みたいです」
「ドリーさん、せめて立ってから挨拶してください」
「しっ、失礼しました。陛下も大丈夫ですか、私の肩をお使いください」
ドリーは皇帝に肩を貸しながら立ち上がる。
「すまんな二人とも。その......私達は、今......」
「盗み聞きしていたんでしょう? いつからいたんですか?」
シウォンに問い詰められた皇帝とドリーはバツが悪そうに視線を泳がした。
「......あの時の言葉覚えてる?からじゃ」
「ほぼ最初からじゃないですか!!!」
シウォンは私にあれだけのことを言っている時は余裕そうな顔だったのに、二人に聞かれてると分かった瞬間、顔が赤くなった。
「わ、悪かった。ちょっと気になってしまってな。お詫びと言ってはなんだが、二人には嬉しい知らせがある」
「「嬉しい知らせ?」」
「ごほんっ、はい。その、お二人の結婚についてですが既に皇帝や他の第二皇子派の貴族からの承認を頂いています」
「本当に......? でも、それだとジーク派の貴族達が黙ってないんじゃ――」
シウォンが不安そうに聞き返す。
皇帝に認めて貰えたのは喜ばしいことだが、それだけでは恐らく平民の自分と次期皇帝の彼が結婚するのは難しいだろう。
「ああ、だがフィオネには次期皇帝を生き返らせた功績がある。そこでだな、フィオネ」
「はい......」
「その功績を称えて、お主には”公爵”の地位を与えようと思う」
「はい?」
(何を、言っているの?)
私は皇帝の言葉を聞いて頭がはてなで埋め尽くされた。
「初めて会った日の次の日から」
淡々と話すシウォンに私は動揺した。
(初めて会った時の次の日ってじゃあほぼ最初からじゃん)
「君が僕の命を狙うジークの手先かどうか調べようと思ってね、皇弟に聞いたんだ。そしたらスラム街出身だってね」
「全部知ってたの......?嘘でしょ......」
「色々と隠しててごめんね。皇弟に自分から話したいって言われて黙ってた。だからフィオネの出身は僕の好きって感情には影響しないよ。というかさぁ――」
シウォンは含み笑いをしながら私のことを見つめてきた。
「さっき、僕のこと好きって言ったよね?」
「!」
本当だ!
どうせ嫌われるからと思って最後の告白のつもりで言ってしまった。
それなのにまさかこんな展開をなるなんて思わないじゃんか。
「それじゃあ僕とフィオネは結婚するっていうことで良いよね?」
「~ッ! そ......そうだね」
既に真っ赤だった顔を更に赤くしながら私はシウォンの確認に小さく頷くことしか出来なかった。
「で、でもそんな簡単に結婚ってできるの?」
「ああ、そうだな。フィオネは爵位がないから......」
いくら両思いだからってそんな簡単に平民と皇族の身分の差が埋まるわけではない。
「ちょ、押さないでくださいよっ......」
「うるさい、耳が遠くて......聞こえんのじゃ!」
その瞬間、ドアの向こうから誰かの小さく話す声が聞こえた。
「?」
「なんだろう、開けてみる?」
シウォンが扉に向かって聞き耳を立てる。
数秒聞いた後、シウォンは何かに気づいたような顔をして思い切りドアを開けた。
バタンッ
「ぎゃっ!」
「ふお!? いてて......」
シウォンが扉を開けた瞬間、扉のすぐ向こうにいたらしい皇帝と側ドリーが二人して勢い良く床に突っ伏した。
何してるんだこの二人。
「はあ、お二人共何をしていたのですか?」
シウォンが呆れながら言う。
「シ、シウォン様、フィオネ様、秋の木漏れ日が差す素敵な午後ですね。ええと、お身体のほうはどうですか?」
「は、はい。もう大丈夫みたいです」
「ドリーさん、せめて立ってから挨拶してください」
「しっ、失礼しました。陛下も大丈夫ですか、私の肩をお使いください」
ドリーは皇帝に肩を貸しながら立ち上がる。
「すまんな二人とも。その......私達は、今......」
「盗み聞きしていたんでしょう? いつからいたんですか?」
シウォンに問い詰められた皇帝とドリーはバツが悪そうに視線を泳がした。
「......あの時の言葉覚えてる?からじゃ」
「ほぼ最初からじゃないですか!!!」
シウォンは私にあれだけのことを言っている時は余裕そうな顔だったのに、二人に聞かれてると分かった瞬間、顔が赤くなった。
「わ、悪かった。ちょっと気になってしまってな。お詫びと言ってはなんだが、二人には嬉しい知らせがある」
「「嬉しい知らせ?」」
「ごほんっ、はい。その、お二人の結婚についてですが既に皇帝や他の第二皇子派の貴族からの承認を頂いています」
「本当に......? でも、それだとジーク派の貴族達が黙ってないんじゃ――」
シウォンが不安そうに聞き返す。
皇帝に認めて貰えたのは喜ばしいことだが、それだけでは恐らく平民の自分と次期皇帝の彼が結婚するのは難しいだろう。
「ああ、だがフィオネには次期皇帝を生き返らせた功績がある。そこでだな、フィオネ」
「はい......」
「その功績を称えて、お主には”公爵”の地位を与えようと思う」
「はい?」
(何を、言っているの?)
私は皇帝の言葉を聞いて頭がはてなで埋め尽くされた。
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