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二章
22.発見
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「ライアン、チリソースって酸っぱいよね?」
「?ああ、それがどうかしたのか?」
「チリソースは肉と一緒に食べると美味しいでしょ?肉が油っぽいからさっぱりさせて食べるの。つまりこのソースに必要なのは酸味だと思う」
私は木箱からレモンを一つ取り出した。
そのまま包丁で半分に切って、鍋の上で思い切り絞った。
「レモン? 大丈夫なのか?」
私は三度目の正直で今度こそ、美味しくなっているだろうと願いながらソースを掬ったスプーンを口に入れた。
「......」
「......フィオネ? どうだ?」
「ライアン、これは革命が起きたかもしれないよ」
「か、革命?」
ライアンは私の顔を見ながら恐る恐るソースを一口食べる。
「! これは――」
パンッ!
その瞬間、目が合った私達はどちらともなくハイタッチした。
「「ドレッシングの完成だ!」」
次の日、私達は満を辞して昨日作ったドレッシングをサラダにかけて皆に出した。
「フィオネ、なんか今日のサラダすごい美味しいわよ? 食べて見なさいよ」
「ヘリン、これ私が作ったドレッシングだよ」
「え!? あんたが!? すごいじゃない......」
ヘリンはものすごく驚いた顔をして私の作ったドレッシングを褒めてくれた。
慣れたとは言っていたものの、実際我慢して食べていただけだったのだろう。彼女の顔には明らかに安堵の顔が浮かんでいる。
「フィオネ、貴方がこれ作ったんですって?」
「よくやったなあ。俺、野菜嫌いだから助かるわ」
「美味しいわねこれ~」
ヘリンとの会話を聞いていた皆が次々に感想を言う。
生まれて初めての賞賛の嵐に頭が追いつかない。
まさかあの一か八かで入れたレモンがここまで喜ばれる味になるとは。
「こんなものまで発明するとはなあ、フィオネ。お前はもう立派な料理人だな」
「本当に? もう見習いじゃないの?」
(あのライアンが立派な料理人だなんて言ってくれるなんて......)
「ああ、本当に......立派に.......ううっ、なって......ぐすっ」
その瞬間、感極まったライアンが涙を流し始めた。
「ラ、ライアン......!?」
「ちょっと料理長! 何泣いてるんですか?」
「ちょっと皆! ライアンが嬉し泣きしてるわよ!」
それを見ていた皆が一斉にライアンをからかい始めた。
「うう、フィオネ。よく頑張ったなあ」
「ちょっと! あんたが泣いてどうすんのよ」
「だってえ......」
料理長の情けないだってえ、にその場は温かい笑いが起きた。
私を認めて涙を流してくれる人がいて、それを周りが笑ってくれる。
そんな空間に私は暖かい気持ちでいっぱいだった。
これは、スラムにいた時には決して体験出来なかったはず。
私はその場で泣いてるライアンを見ながら、ドレッシングを褒められた以上の嬉しさをひっそりと噛み締めるのであった。
「?ああ、それがどうかしたのか?」
「チリソースは肉と一緒に食べると美味しいでしょ?肉が油っぽいからさっぱりさせて食べるの。つまりこのソースに必要なのは酸味だと思う」
私は木箱からレモンを一つ取り出した。
そのまま包丁で半分に切って、鍋の上で思い切り絞った。
「レモン? 大丈夫なのか?」
私は三度目の正直で今度こそ、美味しくなっているだろうと願いながらソースを掬ったスプーンを口に入れた。
「......」
「......フィオネ? どうだ?」
「ライアン、これは革命が起きたかもしれないよ」
「か、革命?」
ライアンは私の顔を見ながら恐る恐るソースを一口食べる。
「! これは――」
パンッ!
その瞬間、目が合った私達はどちらともなくハイタッチした。
「「ドレッシングの完成だ!」」
次の日、私達は満を辞して昨日作ったドレッシングをサラダにかけて皆に出した。
「フィオネ、なんか今日のサラダすごい美味しいわよ? 食べて見なさいよ」
「ヘリン、これ私が作ったドレッシングだよ」
「え!? あんたが!? すごいじゃない......」
ヘリンはものすごく驚いた顔をして私の作ったドレッシングを褒めてくれた。
慣れたとは言っていたものの、実際我慢して食べていただけだったのだろう。彼女の顔には明らかに安堵の顔が浮かんでいる。
「フィオネ、貴方がこれ作ったんですって?」
「よくやったなあ。俺、野菜嫌いだから助かるわ」
「美味しいわねこれ~」
ヘリンとの会話を聞いていた皆が次々に感想を言う。
生まれて初めての賞賛の嵐に頭が追いつかない。
まさかあの一か八かで入れたレモンがここまで喜ばれる味になるとは。
「こんなものまで発明するとはなあ、フィオネ。お前はもう立派な料理人だな」
「本当に? もう見習いじゃないの?」
(あのライアンが立派な料理人だなんて言ってくれるなんて......)
「ああ、本当に......立派に.......ううっ、なって......ぐすっ」
その瞬間、感極まったライアンが涙を流し始めた。
「ラ、ライアン......!?」
「ちょっと料理長! 何泣いてるんですか?」
「ちょっと皆! ライアンが嬉し泣きしてるわよ!」
それを見ていた皆が一斉にライアンをからかい始めた。
「うう、フィオネ。よく頑張ったなあ」
「ちょっと! あんたが泣いてどうすんのよ」
「だってえ......」
料理長の情けないだってえ、にその場は温かい笑いが起きた。
私を認めて涙を流してくれる人がいて、それを周りが笑ってくれる。
そんな空間に私は暖かい気持ちでいっぱいだった。
これは、スラムにいた時には決して体験出来なかったはず。
私はその場で泣いてるライアンを見ながら、ドレッシングを褒められた以上の嬉しさをひっそりと噛み締めるのであった。
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