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一章
4. 老婆
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馬車の振動が無くなった静動で起きた。どうやら朝になったらしい。身体が痛い。
辺りを見渡すと街から少し外れた民家が建ち並ぶ狭い道に居ることに気がついた。
普通の民家の勝手口前に馬車は停まっている。
(ここが目的地かな?)
私は男に指輪を渡そうとしたが男は何故か全くこちらを見ない。
「あの......?」
後ろから声をかけるも微動だにしない。眠ってるのだろうか?
それなら馬車を降りて近くに行って声をかけるか。
「よいしょ――って、え!?」
私が馬車から降りるとその瞬間、馬車がそのまま出発してしまった。
結局、男は指輪を貰っていかなかった。
かなり奇妙に思いながらも私はとりあえず指輪が手元に残ってラッキーということにして勝手口をノックした。
「誰だい? こんな時間に」
「あっえ......」
ドアからは年老いた婆さんが出てきた。婆さんはおでこにシワを10本くらい寄せながらこちらを睨んできた。
「ん? なんだお前は。汚いねえ。物乞いかい?帰っておくれ、気持ち悪い」
「......カインって言う人にここに来るようにって」
「カイン? 誰だいそれは、知らないね」
あれ、この人カインの知り合いじゃないのか。もしかして地図の場所じゃないのかも。地図、地図......あ、地図はあの馬車の男が持って行ったのか。これじゃあ確認しようがない。
「ふん、あんまりふざけてると痛い目合わすからね」
そう言って老婆はドアを閉めようとする。
「待って!!」
「触るんじゃないよ!!」
「痛っ......」
老婆を引き留めようと服を掴むと不快に思ったのか、思い切り突き飛ばされてしまった。
「あんた、その指輪――」
手の皮が擦りむけて痛い。ムカついて老婆を睨みつけると老婆は私の指輪を見たまま何故か虚ろな顔をしていた。
「ついてきな、風呂に入るんだ」
「?」
(なんでいきなり態度が......?)
老婆はさっきまでの殺気が消え、突然淡々と家の中に戻り作業をし始めた。
私は意味が分からずぽかんとしていると早くしな!と怒鳴られたので急いで家の中に入った。
風呂に入って石鹸で身体を洗い、老婆が用意した服に着替えた。
「あとは頭だねえ、こっちにきな。動くんじゃないよ」
老婆は私を椅子に座らせ、ハサミで私の髪を切り始めた。床にオリーブ色の髪の毛がパラパラと落ちていく。
最後に髪留めで二つに結ってどうやら終わりのようだ。
「ふぅ、じゃあついてきな」
そう言われ、玄関を出るとさっき行ってしまった馬車が目の前に停まっていた。
私は意味が分からないままその馬車に乗せられ、老婆の家をあとにした。
辺りを見渡すと街から少し外れた民家が建ち並ぶ狭い道に居ることに気がついた。
普通の民家の勝手口前に馬車は停まっている。
(ここが目的地かな?)
私は男に指輪を渡そうとしたが男は何故か全くこちらを見ない。
「あの......?」
後ろから声をかけるも微動だにしない。眠ってるのだろうか?
それなら馬車を降りて近くに行って声をかけるか。
「よいしょ――って、え!?」
私が馬車から降りるとその瞬間、馬車がそのまま出発してしまった。
結局、男は指輪を貰っていかなかった。
かなり奇妙に思いながらも私はとりあえず指輪が手元に残ってラッキーということにして勝手口をノックした。
「誰だい? こんな時間に」
「あっえ......」
ドアからは年老いた婆さんが出てきた。婆さんはおでこにシワを10本くらい寄せながらこちらを睨んできた。
「ん? なんだお前は。汚いねえ。物乞いかい?帰っておくれ、気持ち悪い」
「......カインって言う人にここに来るようにって」
「カイン? 誰だいそれは、知らないね」
あれ、この人カインの知り合いじゃないのか。もしかして地図の場所じゃないのかも。地図、地図......あ、地図はあの馬車の男が持って行ったのか。これじゃあ確認しようがない。
「ふん、あんまりふざけてると痛い目合わすからね」
そう言って老婆はドアを閉めようとする。
「待って!!」
「触るんじゃないよ!!」
「痛っ......」
老婆を引き留めようと服を掴むと不快に思ったのか、思い切り突き飛ばされてしまった。
「あんた、その指輪――」
手の皮が擦りむけて痛い。ムカついて老婆を睨みつけると老婆は私の指輪を見たまま何故か虚ろな顔をしていた。
「ついてきな、風呂に入るんだ」
「?」
(なんでいきなり態度が......?)
老婆はさっきまでの殺気が消え、突然淡々と家の中に戻り作業をし始めた。
私は意味が分からずぽかんとしていると早くしな!と怒鳴られたので急いで家の中に入った。
風呂に入って石鹸で身体を洗い、老婆が用意した服に着替えた。
「あとは頭だねえ、こっちにきな。動くんじゃないよ」
老婆は私を椅子に座らせ、ハサミで私の髪を切り始めた。床にオリーブ色の髪の毛がパラパラと落ちていく。
最後に髪留めで二つに結ってどうやら終わりのようだ。
「ふぅ、じゃあついてきな」
そう言われ、玄関を出るとさっき行ってしまった馬車が目の前に停まっていた。
私は意味が分からないままその馬車に乗せられ、老婆の家をあとにした。
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