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案件11.必殺の黒殺刑(ブラックエンド)

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 俺は天眼闇異てんがんネガモーフ:タカモクレン、一流の殺し屋だ。
 黒皇ブラックレクスと初めて会ったのは、5年以上前ある任務で手を組んだ時だ。

 【黒理家くろすじけ】は異救者イレギュリストの暗部、暗殺や破壊工作など汚い仕事で人助けをする連中だ。カタギにはあまり知られてないが、裏社会で知らない奴はいない。

 当時の黒皇ブラックレクスは10歳くらいのガキで、自分に絶対の自信があり目はドス黒いほど冷たいが、天才とは言え足手まといにならないか不安だった。
 しかしいざ任務が始まると、合理的で鮮やかな手口で獲物を次々と仕留めていった。

 その様子を遠くから見ていた俺は、今は奴が味方で安心したと同時に、こいつが将来自分を脅かす存在になるのではないかと戦慄した。

 しかしそれから数年後、黒皇ブラックレクスは身体の半分近くを失う重傷を負い、裏社会から姿を消した。
 俺は改めて思い知らされた。この世には救いがない、稀代の天才すらも呆気なく潰れてしまうと―



「・・・無駄に長いモノローグを語るとは、舐められたものだ」

 黒皇ブラックレクスは、『錬黒術ブラックアルケミー』で漆黒のサーベルを作り出した。

「風の噂でお前が異救者イレギュリストに復帰したと聞いたが、まさか兄妹仲良く本家から追い出されるとはなあ・・・」

「黙れ、俺は落ちぶれてなどいない!」

黒幻自在ブラックイリュージョン!!』

 黒皇ブラックレクスはタカモクレンを囲い込むように、大量の残像を作り出した。

「強がるな、今のお前はあの時よりも遅く、さらに力も弱く、何よりブラックじゃない!」

 タカモクレンは優れた動体視力で黒皇ブラックレクスの動きを見切り、狙撃銃で脇腹を撃ち抜き、黒皇ブラックレクスは後ろに倒れ血を流した。

「そんな義手義足をつけて、未だ過去の栄光にしがみつく。見苦しいぞ黒皇ブラックレクス!」
「・・・貴様、俺のファンなのか?」

「え?・・・いや、別に、そんなんじゃないし・・・」
「図星か」

「とにかく!せめてもの情けだ、ここで引導を渡してやる!」

疾風怒黒ブラックスタンピード!!』

 黒皇ブラックレクスの義足から黒い煙幕が放たれ、辺りはたちまち真っ暗になりタカモクレンは標的を見失った。

「くそっ、どこだ!?」

 その直後、黒煙の中から黒皇ブラックレクスの義手が飛び出し、タカモクレンの顔をガシッと掴んだ。

「確かに俺は、あの時のブラックを失った・・・だが!」

 タカモクレンはすかさず狙撃銃で反撃したが、黒皇ブラックレクスは義手を切り離したまま、素早く移動してかわした。

「なにっ!?」
「新たなブラックに生まれ変わったのだ!!」

黒呪毒ブラックベノム!!』

 黒皇ブラックレクスの義手が、タカモクレンの顔を掴んだまま黒い液体をブシャーと放出した。
 液状の呪いを直に浴び、動きをほぼ完全に封じられた。

「しまった・・・!」

 黒煙が晴れ、右手にサーベルを構えた黒皇ブラックレクスが姿を現す。

「そして見せてやろう、そこから更に進化した俺のブラックを―」

 黒皇ブラックレクスがサーベルに力を込めると、刀身からドクロの形をしたオーラが放たれた。

(ヤバい!あの技は、食らってはいけない・・・!!)
「待て!命だけは―」

黒殺刑ブラックエンド!!!』

 サーベルで両断した瞬間、タカモクレンの身体にドクロのマークが浮かび上がると同時に爆発を起こし、人の姿に戻って崩れるように倒れた。

「昔のよしみだ、命だけは救ってやる」

 しかしその直後、黒皇ブラックレクスは膝をつき先ほど撃たれた脇腹を押さえ始めた。

(くっ余計なダメージを負った。俺もまだブラックが足りない・・・)

 一先ず西京さいきょうタワー頂上の戦いは、黒皇ブラックレクスの勝利で幕を閉じた。



 その頃西京さいきょうグランドホテルでは、信じられないことが起こっていた。
 なんとカネリファイヤがリチャウターに攻撃を仕掛けているのだ。

「よけろボンゴラァ!!」
「ッ!」

 リチャウターは反撃できず、攻撃をひたすらかわした。

 カネリファイヤが攻撃を休止したとき、彼女の影からシャドスターが顔を出した。

「二度とふざけたことを言えないようにしてやる・・・!」

 シャドスターはカネリファイヤの影を乗っ取り、影を介して彼女を操っているのだ。

 リチャウターは『救手すくいてアーム』で、腕を伸ばしシャドスターを捕らえようとしたが、影に潜ってかわされてしまった。

「チクショウ!身体が思うように動かねえ!」

 伸ばした腕を戻したリチャウターは、カネリファイヤの拳を平手で止めた。

「カネリまたごめん!」

救手すくいてパルマ!』

 リチャウターの手から放たれる光の波動が、カネリファイヤの全身を駆け巡るが、シャドスターは姿を見せない。

「何度やっても、影の中までは届かないか!」

救手すくいてアーム!』

 今度は両腕を伸ばし両手を巨大化させることで、カネリファイヤを包み込むように押さえた。

(カネリを気絶させる?いや、マンジロウさんが直接操ってるから意味がない)
(今あの技を使っても、他の影に移動して逃げられるかも・・・)

 その時、カネリファイヤの口内が発光し始めた。

「ゲッまさか・・・ボンゴラヤバい!」

「『チャンプファイヤー』がっ!!」

 と言ったと同時に、カネリファイヤの口から凄まじい火炎が放たれた。
 リチャウターは急いで拘束を解いてかわし、カネリファイヤは彼を追って炎を吐き続けた。

 三人がいる客室は炎に包まれ、リチャウターは逃げ場を失った。

 絶体絶命のピンチ、闇に囚われたマンジロウを救うことはできるのか!?

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