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部屋

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テーブル席に移動すると

僕らは互いの呼び名を

確認する程度の

簡単な自己紹介をした


白いワンピースの女性は

『ユキ』と名乗り

彼女の連れの女性は

少し戸惑うように

視線を泳がせながら

『ユミヨシ』と名乗った


「へぇ、『ユミヨシさん』ですか?

 珍しいお名前ですね?」


彼女達はこういう展開に

慣れているのか?

とても自然な感じで

偽名を語った


連れの「J」は全く違和感を

覚えなかったようだったけれど

僕にはそういう風に思えた


彼女達が名乗った名前・・・

それは村上春樹さんの

『ダンス ダンス ダンス』

という作品の登場人物に同じだった


ただ それがどうという事も無く

むしろ ハルキストだった僕には

話が合うかもしれないと

嬉しいくらいだった



ユキさんと僕を中心に

僕らの会話は盛り上がっていた

ユミヨシさんはあまり喋らなかった

何かにつけ 

僕と視線は合ったけれど

まるで僕には関心がないように

微笑むこともなく 

すぐに視線を逸らした



終電まで十分な時間のうちに

僕等は解散した

少しでも早く 

それぞれ

二人きりになりたかった



それこそ 村上春樹さんの

小説の主人公では無いけれど

僕は出会った女性と

SEXまでの関係になるのか否かを

出会った瞬間に分かる事があった


ほとんど話はしなかったけれど

ユミヨシさんとはそうなるだろうと

テーブル席に移った頃には確信していた


僕とユミヨシさんは

利用する私鉄が同じだった


駅へと向かうルート

幾つかあったけれど

僕らはどちらともなく

ホテル街を通るルートを選んでいた


「あの・・・」

「はい?」

「どこか、寄っていきませんか?」

「・・・・・」


僕が切り出そうとしたタイミングで

ユミヨシさんが先に口を開いた


僕らは少しだけ

ぎこちない会話とともに

部屋を選んだ
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