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13.因果応報
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しおりを挟む「劉家の処罰ですが…少し軽すぎはしませんか。あれでは周囲に侮られましょう」
あれから抜け殻のようになった夫妻は死ぬか生きるかの選択で生きる方を選んだ。
「そう見えるか…?」
炎輝は苦言を呈した泰然に苦笑した。
確かに見かけの処罰としては軽いだろう。温情をかけられたとも取れる。
「はい」
泰然にとって番が全てだ。いや、龍族全体がそうだ。
自分ならより残酷に、より苦痛を与える殺し方をする。
以前自分の番が自分の知らない所で、他の龍族の龍妃に嫌がらせをされているのを知った時は、記憶が飛ぶ程激昂した覚えがある。
殺しても殺したりないとはあの事だと泰然は思う。
しかし、殺しに行きそうな気配を感じたのか自分の番が必死に止めた。
殺せば相手の龍族の方が狂ってしまうと。泰然の恐ろしげな顔が悲しいと泣きそうな顔と声で言われた。
泰然は殺すのはいつでも出来るが、その後の処理がすこぶる面倒臭そうだと思い直し、女を軽く拷問にかけ足の腱を切るだけで満足する事にした。女は務めが終わっても一生幽閉になった。
龍族が狂うとどっち道処理に駆り出されるのは自分と我が君だ。
そう思う事で無理矢理納得させた。
そのぐらい龍族の情という物は深い。
そういう意味では龍王の方が苛烈だと思っていた。
なのに何故。
「くくく…まぁ対外的には劉家は温情をかけられたと見られるであろうよ」
しかし、次の瞬間に見た龍王の表情は、泰然自身も久々に背筋が冷たくなる程の殺気を滲ませていた。
「は……」
ビリビリとした苛烈な怒りの感情に泰然は言葉を発する事が出来ない。
「なぁ泰然よ。番を害する者を一思いに殺してやる事こそ最上の温情だと思わぬか?」
「……!!」
炎輝は麗華が番だと判明してすぐに、麗華について調べさせていた。
生まれてからどのように生活していたか。好みの食べ物や趣味は何か。
そうして上げられた報告に炎輝は激怒した。
「私はそんなに優しくなれぬのだ。アレらは今後龍王に温情をかけられ生かされた一族だと言われるだろう。しかし、裏では何と言われるかわかるか?殺されてもおかしくない一族がのうのうと生きている。番を輩出したのに番を害していた一族。恩恵を受けられぬ一族。これから数えきれぬ数の負の感情が無数に向けられるであろうよ。キリがない程にな」
「………」
「私はな、泰然。あの家族にもそうだが私自身にも怒りを覚えているのだ。あやつらは生まれてからずっと麗華を虐待し続けて来た。殺しても殺し足りない程憎い家族と直ぐに助けてやれなかった己自身が心底憎い」
「だから、私は私の自己満足の為だけにあの家族を奈落に突き落とすのだ。すぐに楽になどさせぬ。親は自国での立場を無くすであろう。蔑まれるであろう。双子の妹が姉を実家で使用人のように扱って来たのならここでは逆にすれば良い。侍女ではない、下女の身分に落とし麗華に生涯贖罪させるのだ」
そう言い切った炎輝は仄暗い笑みを浮かべた。
泰然は言葉が見つからず黙るしかなかった。
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