7 / 33
3.成人の儀
1
しおりを挟む
3.成人の儀
ガラララララッ。
各地から龍王国に召集された娘達を乗せた馬車が龍都、龍陽に急いで向かってゆく。
成人の儀はここ龍陽で行われた。
皆一番乗りすべく龍陽入りするため、龍陽に入るため関所の城門前に列を成した。
雅国の宰相府からも豪華な装飾を施された馬車が瑞麗を乗せ関所に向かっていた。
今年は瑞麗の他、麗華以下使用人数人も16になる娘がいたので瑞麗の馬車につき従うように別の質素な馬車に乗せられ随行している。
◇◇◇
早朝、少し気を失っていた麗華は雀の鳴き声にうっすら目蓋を開けると、家人達が起床するための音が聞こえてきた。
全身が燃えるように熱い。
寒さは感じないが、内側から燃える様な熱さを感じるのとは裏腹に全身は芯から冷え切っていた。
やはり予想通り高熱が自分を侵しているのだろう。
でもそれは休んで良い事には決してならない。
下半身は雪が積もった水分で濡れていたし長時間跪いていた為膝も悲鳴を上げていた。
今日は成人の儀のため朝から準備の為におおわらわだ。
雅国の宰相府からは幸い龍陽から距離は近い為、午後からの儀にも十分間に合う。
龍王国の周りに配置されたそれぞれの国は少しでも龍陽から近い位置に都を置くので龍陽から遠ければ遠い程田舎となる。
田舎出身者は10日以上前から移動を開始しているはずだ。
「あら、あんた。そんなところで跪いてちゃ邪魔よ!間に合うとは言ってもすぐ準備は始めないとだめなのよ!!」
使用人の中でも同じ年の少女が麗華がいる元まで来た。
少しそばかすが浮いてはいるが可愛らしい少女だ。
「あ……」
「なぁに?立てないって言うつもり?何したかは知らないけど、どうせお嬢様に迷惑かけたんでしょ!ほんとに役立たずなんだから!!ほら!さっさと立って!朝餉の準備しなさいよ!?」
少女は無理矢理跪いたままの麗華の腕を引っ張り上げ立たせた。
「ぎゃっ!?冷たい!何よこれ!さっさと着替えて来なさいよ!」
掴んだ麗華の腕が冷え切っていたのに余程驚嘆したのかパッと手を離した。
「はい……」
ノロノロと歩き始めた麗華に使用人の少女は気味悪そうに両腕を擦り合わせた。
「本当に気味が悪いわ…。何であんな子この屋敷にいるのかしら。っと!私も儀式には参加するんだから急いで準備しなきゃっ!」
パタパタと小走りで少女自身も身支度にかかる。
成人の儀だけは、普段どんなに貧しい家の子や使用人であろうと着飾る事が許されている。
資金がなければ龍王国に申請すれば一式届けられる程だ。
とは言え、名家の令嬢の使用人は令嬢よりも目立たないように着飾るのが普通なので送られて来た物の中に主人よりも華美な物があれば、主人の物と交換することすらある。
少女も自力で準備出来なかったので申請していた。
「もし、龍妃にでもなれたらこの生活からもおさらば出来るんだから一生懸命アピールしなきゃ!」
少女も自ら準備すべくパタパタと小走りで走り去った。
ガラララララッ。
各地から龍王国に召集された娘達を乗せた馬車が龍都、龍陽に急いで向かってゆく。
成人の儀はここ龍陽で行われた。
皆一番乗りすべく龍陽入りするため、龍陽に入るため関所の城門前に列を成した。
雅国の宰相府からも豪華な装飾を施された馬車が瑞麗を乗せ関所に向かっていた。
今年は瑞麗の他、麗華以下使用人数人も16になる娘がいたので瑞麗の馬車につき従うように別の質素な馬車に乗せられ随行している。
◇◇◇
早朝、少し気を失っていた麗華は雀の鳴き声にうっすら目蓋を開けると、家人達が起床するための音が聞こえてきた。
全身が燃えるように熱い。
寒さは感じないが、内側から燃える様な熱さを感じるのとは裏腹に全身は芯から冷え切っていた。
やはり予想通り高熱が自分を侵しているのだろう。
でもそれは休んで良い事には決してならない。
下半身は雪が積もった水分で濡れていたし長時間跪いていた為膝も悲鳴を上げていた。
今日は成人の儀のため朝から準備の為におおわらわだ。
雅国の宰相府からは幸い龍陽から距離は近い為、午後からの儀にも十分間に合う。
龍王国の周りに配置されたそれぞれの国は少しでも龍陽から近い位置に都を置くので龍陽から遠ければ遠い程田舎となる。
田舎出身者は10日以上前から移動を開始しているはずだ。
「あら、あんた。そんなところで跪いてちゃ邪魔よ!間に合うとは言ってもすぐ準備は始めないとだめなのよ!!」
使用人の中でも同じ年の少女が麗華がいる元まで来た。
少しそばかすが浮いてはいるが可愛らしい少女だ。
「あ……」
「なぁに?立てないって言うつもり?何したかは知らないけど、どうせお嬢様に迷惑かけたんでしょ!ほんとに役立たずなんだから!!ほら!さっさと立って!朝餉の準備しなさいよ!?」
少女は無理矢理跪いたままの麗華の腕を引っ張り上げ立たせた。
「ぎゃっ!?冷たい!何よこれ!さっさと着替えて来なさいよ!」
掴んだ麗華の腕が冷え切っていたのに余程驚嘆したのかパッと手を離した。
「はい……」
ノロノロと歩き始めた麗華に使用人の少女は気味悪そうに両腕を擦り合わせた。
「本当に気味が悪いわ…。何であんな子この屋敷にいるのかしら。っと!私も儀式には参加するんだから急いで準備しなきゃっ!」
パタパタと小走りで少女自身も身支度にかかる。
成人の儀だけは、普段どんなに貧しい家の子や使用人であろうと着飾る事が許されている。
資金がなければ龍王国に申請すれば一式届けられる程だ。
とは言え、名家の令嬢の使用人は令嬢よりも目立たないように着飾るのが普通なので送られて来た物の中に主人よりも華美な物があれば、主人の物と交換することすらある。
少女も自力で準備出来なかったので申請していた。
「もし、龍妃にでもなれたらこの生活からもおさらば出来るんだから一生懸命アピールしなきゃ!」
少女も自ら準備すべくパタパタと小走りで走り去った。
5
お気に入りに追加
4,735
あなたにおすすめの小説
俺の番が見つからない
Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。
第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか?
一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。
毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ)
皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。
CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。
ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか?
2021/01/15
次のエピソード執筆中です(^_^;)
20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。
お付き合い頂けると幸いです💓
エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶

竜王陛下の番……の妹様は、隣国で溺愛される
夕立悠理
恋愛
誰か。誰でもいいの。──わたしを、愛して。
物心着いた時から、アオリに与えられるもの全てが姉のお下がりだった。それでも良かった。家族はアオリを愛していると信じていたから。
けれど姉のスカーレットがこの国の竜王陛下である、レナルドに見初められて全てが変わる。誰も、アオリの名前を呼ぶものがいなくなったのだ。みんな、妹様、とアオリを呼ぶ。孤独に耐えかねたアオリは、隣国へと旅にでることにした。──そこで、自分の本当の運命が待っているとも、知らずに。
※小説家になろう様にも投稿しています

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?

【本編完結】番って便利な言葉ね
朝山みどり
恋愛
番だと言われて異世界に召喚されたわたしは、番との永遠の愛に胸躍らせたが、番は迎えに来なかった。
召喚者が持つ能力もなく。番の家も冷たかった。
しかし、能力があることが分かり、わたしは一人で生きて行こうと思った・・・・
本編完結しましたが、ときおり番外編をあげます。
ぜひ読んで下さい。
「第17回恋愛小説大賞」 で奨励賞をいただきました。 ありがとうございます
短編から長編へ変更しました。
62話で完結しました。
番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。
そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。
お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。
愛の花シリーズ第3弾です。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる