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廃墟の後で

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病院内をもう一度探したが、山田陽菜子は結局見つからなかった。
そして僕たちが廃ビルを出た頃には辺りはすっかり暗かった。
僕らはそのまま帰り道につく。
ユーナは僕をじっと見つめて
「私は勇者としてお前の味方だ...」
と言うのだった
「..」
僕は彼女に視線を返す。
彼女は僕の目を見つめると
「お前は私を信用しないのか?」
と言った
「..」
僕は彼女の目を見つめ返しながら
「分からない...」
と聞くと彼女は
「..私はお前が好きなんだ...」
と答える。
「..」
僕は彼女の目をじっと見つめる
「...」
彼女が黙って見つめ返してくる。
「陽菜姉ちゃんはもう救えないのか?」
僕が彼女に聞くと
「無理だろう..。もう山田 陽菜子の肉体はない..」
と答えたのだった
「そうか...」
山田はどう思うだろうか、説明なんてできそうにない。

僕はバスで家に帰るしかなかった。
「お兄ちゃん...お帰り..」
由依が出迎えてくれる
「あぁ..」
と僕は答える。
「今日は寒いね..お風呂に入ろ...」
彼女は笑顔で言うのだった
僕は彼女の笑顔を見た瞬間、胸が痛んだ
ユーナは一体なんなんだろう?
そして星乃先輩は魔王なのか?
そして陽菜姉ちゃんはどこへ行ってしまったんだろう?
僕には分からなかった。
僕は家に帰ったあと、ベッドに横たわっていた。

翌日、朝起きると雪が積もっていた。
「...雪か...」
僕は呟く。
今日は土曜日で学校はお休みだ。
今日は何の予定もない。
いつもなら妹と一緒に出かけるか、ゲームをするのだが
今の僕にはそんな気分にはなれなかった
由依は
「お兄ちゃん!雪だ!」
と嬉しそうに窓の外を眺めている
僕は何も返事をしなかった
彼女は僕の方を見て
「...お兄ちゃん?」
「山田に会ってくる」
僕はそれだけ言って部屋を出たのだった。
僕はバスで山田の家へ向かった
家のチャイムを押す
山田の両親は僕の顔を見ると驚いた顔をした。
彼らの顔は憔悴していた。
「あれ?蓮くん...」
母が言った
僕は美月に会いに来たことを伝える
「美月、蓮くんが来てくれたよ」
母が奥に行って言う
しばらくして山田が出て来る。

彼女は僕に気づくと
「桜井...」
と言った
僕は彼女の方を見る
彼女は明らかに元気がない。
「少し外で話さないか」
と言うと彼女は
「うん...」
と言って靴を履く。
僕らは近くにある公園へ行く
雪はそれほど深くないので、そこまで歩きにくいものではなかった
公園に入ると、彼女は雪の積もっていないベンチに座った
「..」
僕は隣に座る
「...」
山田は何も言わずに雪を見つめていた
僕は彼女に
「陽菜姉ちゃんのことだけど...」
と言った
山田はこちらを見る
「..昨日..」
僕は昨日の出来事を彼女に伝えた
彼女はそれを聞いて少し黙る
「..お姉ちゃん..もう死んじゃったんだ...」
と彼女は呟く
彼女は僕の話を否定しない。
僕は何も言えなかった
「..私、お姉ちゃんのことずっと心配してた..。何か悪いことが起こってると思ってた...」
彼女は僕の目を見つめて言う
「..お姉ちゃんはもう助けられないの...?」
「無理だ」
と僕は言った
山田は俯く、そして泣き出した。
僕はその肩にそっと手を置いてやる。
彼女も僕の手に触れて泣いているのだった。
僕たちはしばらくこうしていた。
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