大き多き大穴よ、

仲原 なお

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大穴はそこに

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 ちんこの頭を蛇に噛まれた。これは小学三年生の俺の日記であり勲章である。幼い俺はこれでちんこが死んでしまうと阿呆な予測で遺書を書き残さなくてはと思いちんちん遺書を書き残した。タイトルは「ちんちんまいにち日記」


※※※※


 今日、ちんちんがヘビに噛まれました。お医者さんはなおるって言ってたけど多分なおりません。めちゃくちゃ痛いからしんだんだと思います


※※※※


 なぜ俺のちんこが噛まれたのか、それは穴があったからである。興奮して自分を抑える事が困難になったからである。あの穴には魔性の力が確かにあったからである。蛇が住む小さな穴、興奮した小さい俺がパンツを地面に捨てて突っ込んだからである。
 俺のも屈強な蛇に匹敵するが流石にあの大蛇には負ける。神話レベルの話だ。神話に出るほどの大蛇なのだから屈強ってだけの俺の蛇には太刀打ち出来ない。当たり前なんだめげる必要などない少年よ。「くそっ!
くたばれ神話の大蛇!」思い出すだけで俺の蛇が怯えて隠れてしまう。

「大体世の中の男共は自分の蛇に飴を与えて慰め過ぎている、だから軟弱なんだ。たまには蛇に頭を噛ませてやるくらいの…そう!歌舞伎町を牛耳るド級のドエス女王様が顔を深海の如く真っっ青になるほどのムチ!ムチが必要不可欠なんだよ!」顔を真っっ赤にして熱弁する俺をミストレスがにっこり笑顔で迎えてくれる。こいつの懐の大穴は本当にだだっ広くて好きだ。ここは深夜のバー、西洋風の客商売では店の主人をマスターと呼ぶがこいつは女だ。だからマスターではなくミストレス。これで呼んでやると喜ぶ。女が俺に耳を貸せと合図する。いや今日の客はそこで大の字でいびきを撒き散らしてるおっさんだけだろうに。

「二人になりたい、もう限界なのお願い」「おいおい」
「お願い」
「お前があのおっさんを持ち上げてたらふく呑ませたんだろ」
「その代金でいきましょう」
「それは良い」
 
 そうと決まれば即行動!俺はあだ名を付けるのが上手いビッチからマークスマンと呼ばれた男!射撃は任せろ何でもござれ!残った酒を口の中で溜めて一飲み。その勢いの連続性を崩す事なく大の字おっさんのポッケから長財布スパッと強奪。
「いくらだ?」「三万五千円!」「オーケー」素晴らしい連続性の会話、やっぱりミストレスのリズムは素晴らしい。長財布から三万五千円だけ抜き取り店から追い出す。リズムを崩さず女が鍵を閉める。リズムを崩さず車のエンジンぶううん、ぶうんと発信、カーブ、カーブ、布をぺらりと入店駐車、ラブホのベッドへゴールイン。

セックス、シャワー、セックス、シャワーセックス、セックスシャワー

 全ての行為にリズムがあった。テンポを落として二人で喫煙。話し込むのを抑えてセックス。最高だ、がそろそろ時間だ。「また会おう」「行ってらっしゃい」
本当にこいつの懐は大穴だ。




 俺は守れない約束はしないが約束は守る。だからバーで人を待っていたのに女神の様な女、いや魔性の魔女が誘惑してきた。誤算!大誤算!まあいいだろう待ち合わせの相手はあのレヴィだ。あいつは怒らない。

「待ち合わせがここだってあんたが言うから来たのに鍵は閉まってるしおっさんが大の字で寝そべってるし、本当にここが待ち合わせ場所か不安になったわ」
「合ってるよ、この大の字おっさんが待ち合わせ場所だ、分かりやすいと思ってな」
「早く行こ」。
 な?怒らんだろ。この女はそういう奴なんだ。俺は言う。「そういえば何するんだ?俺はどこに行くのか何をするのかも聞いてないぞ」。
歩き初めて大の字おっさんが見えなくなった頃にレヴィは言う。

「セックス」げっマジかよタイミングのわりいこった。「ホテルか?」「私の家」「えーお前声が大き過ぎるんだよ、近隣から苦情とか来ないんか?」
 レヴィはニタニタ笑い俺の目を見て言う「防音になってるの、それに何でもあるの何でも」

 レヴィのテンポはタカが外れてる。高速。高速道路で事故って奇跡的に生存した運転手の心臓の音、アドレナリンの量に似ている。テンポで言うと男どもが連打ゲームで必死にボタンをカチカチカチカチカチカチ。たまには良いがどっと疲れる。だから今俺は俺が放心状態でシャワーを浴びている状況も納得出来ている。
濡れた髪をバサバサ拭いている俺にレヴィが言う。

「ねぇ」
「なんだよ」「死にたい」「そうか」「腹上死したい」「は?」「もう無理もう無理って暴れる男にね、玩具で頭をぶん殴られたの、その時にでっかい巨根の神様を見てね。それが貴方だったの。だからもう一回殺して、何度も」
 俺は言う。「何度もお前に言った様にその現象はニアデスエクスペリエンス、臨死体験なんだよ。俺とお前は仲良いしよく会うだろ。そのせいで死に際に映る幻覚に俺が映し出されたんだって、何度も言ったろ」
「知ってる。…好きなの…お願い」
 無性に苛立ちを覚える。何処にぶつける事も許されないこの感情が体の中をぐるぐる食い散らかす。「くたばれ変態女!どんな告白してんだよくそったれ!愛した女がぽっくりいっちまう男の身にもなれ!」「変態」「どこがだよ」。
さっきから気になっていたがあえて無視していた人間がそこにいる。「そっちの男はなんかよそよそしいがガールフレンドか?」
「すみません、僕はレヴィさんに憧れてて…死にたいんです」
どいつもこいつも気味が悪いんだよ俺を腹立たせる専門家なんかこいつらは。
「男が女々しく死にたい死にたい言ってる時点で需要なし、どこにも需要がないお前もう死んでんだよ死人に口なし黙って喋れ」
「僕が女だったなら生きてますか?」
「そんなやつ殺すかばか男が、人間皆死にたいって言いたくなる欲求もってんだよ、そんな可愛い女の子お前には勿体ないから紹介しろ」
「嫌です」
「…死んでないやん死ねよ」
「死にません」
「いや死んどけって」
「死にません!」

 よく分からんが生き返った。本当に疲れた。女の家で寝るなんて久しぶりだが寝てしまおう。全部後で考えよう。

 



夢で穴を見た。良い日だ。景気づけに夢の中でも一発カマしてやった。

 レヴィに起こされてむにゃむにゃしていた。むにゃむにゃしていて話があまり入ってこないがどうやらどこかに行くらしい。早く準備しろとうるさいので立ち上がる。

「運転。早く」
「え、俺がすんの?」
「無免許運転よりましでしょ」
「うん…」
 正直まだ寝てる。少し不安だがどうせ急かされるので指示通り動く。どうやら穴を見に行くらしい。

「何で穴が好きなの?」
 それから話はしていない。到着してすぐレヴィは飛び出して行ってしまった。
ドアを二回閉めて鍵を閉め、まだ半分起きた頭に覚めろと命令して歩き始めた。
夢で見た穴を前にレヴィがじーっと眺めている。
「ちょっと怖い」
「未知のものに興味を示して興奮するのはそんなに変か?」
「うん」
レヴィが穴に走り出す。手を広げてこっちに来いと言いたいらしい。分かった。
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