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第六章 ウソつき勇者と王宮の姫
6-7 救出の課題
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さらわれたのは、生きていたマリア姫だった。
場が凍り付いた。まさか、マリア姫が生きていたなんて、そして、さらわれてしまったと。
僕はとても悔しいと思った。このイベントもちゃんと存在したのだ。【クエクエ3】で幼馴染の人が姫で、同じように連れ去られるイベントを。
ただ、いろいろな【クエクエ】のイベントが重なりあって、自分でも収拾がつかなくなってしまっていた。
「ラインハット殿、ではなぜ王都へ来たのですか?」
「ちょうど5年前、村で育てていたマンゴーが、王都でとても高値で売れることが分かったんじゃ。当時、村は経済的に苦しくてな。背に腹は変えらぬと思い、王都で売ることにしたのじゃ。どうせ王都に行くのであれば、まだ見つかっていない、王都の内通者も見つかればよいと思い、王都に来るようになったんじゃ。レイアはすでに3回も来ておるぞ」
「そうだったのか・・・・3度もすぐ近くまで・・・・驚きの内容ばかりだ」
リチャード王はため息をついた。その気持ちとても分かる。
「じゃあ、さっそく取り返しに行こうぜ。場所もわかっているんだろ?その旧王宮の間ってところが」
「ミラン殿、そうはいかなんじゃ。相手は魔人なんじゃ」
「それがどうかしたのか?」
「魔人は、通常の攻撃が効かないのじゃ」
「な、なんだと?」
ミランとアンナは驚いた。だが、リチャード王含め、僕やリカルド、その他騎士団員は知っているようだった。
「正確に言うと、普通の戦士が、通常の武器で攻撃しても、回復してしまうのじゃ」
「どういうことだ?説明してくれ」
「魔人は、その辺りにいるモンスターとは違い、魔王から【魔王玉】という石を貰い、身体に埋め込んだ化け物なんじゃ。その【魔王玉】の力は凄まじく、能力が埋め込む前の3倍になり、受けたダメージを回復させてしまうのじゃ。」
「じゃあ、どうやって倒すんだ?」
「3つの対策がある」
①聖の効果がある材料で作った聖属性を持った武器を使用する。(その材料が合金のように混ざっていたり、メッキされていても良い)
②聖洗礼受けて、聖騎士になる。ただし、洗礼には最低48時間必要。
③【魔王玉】を破壊する。ただし、埋め込まれている場所は魔人によって異なるため、狙うのは難しい。
「ジルの話からすると、聖属性の武器を用意する事が現実的だと思うが、どうだ?」
「そうじゃな。出発までに準備をして臨むべきじゃ」
「聖属性を持つ材料って何がある?」
「オリハルコン、アダマンタイト、ドラゴンストーン、白金等々、複数あるのだが、いずれも入手が難しい、高価な材料だ」
「うーん、確かに・・・・」
「なので、伝説の武器と呼ばれるものは、効果で聖属性を持つものが多いのじゃ」
「いくら王宮騎士団とは言えども、そのような武器は・・・・あ、ラインハット団長、あの剣は伝説の武器では?」
「リカルドよ。わしはもう団長ではない。ジルと呼んでくれ。そうじゃの。この王宮には、伝説の武器が保管されておる。【勇者の剣】じゃ」
「【勇者の剣】だと?なんだその強そうな武器は?」
「数百年前に、魔王を倒した勇者が所持していた武器だ。魔王にとどめを刺したのもその剣だと聞いている。間違いなく聖属性を持っているはずだ」
「おいおい、そんなすげーのがあるんだったら、それを使おうぜ!」
「それが、そううまい話ではないんじゃ。実は、その【勇者の剣】は、いつごろからか呪いがかけられておってな。私が騎士団に入った時にはすでに呪われていた。せっかくじゃ、現物を見たほうが良いじゃろう。リチャード王、【勇者の剣】を持ってきても良いじゃろうか?」
「勿論だ。リカルド、ここに持ってきてくれ」
リカルドは部屋から出ていき、部下に指示をした。そして数分後、一本の鞘に納められた剣を机に置いた。
「これが、【勇者の剣】です」
「すげ~、なんというか、とてつもないオーラが漂っているように見える」
「私にはよく分からないわ」
ミランは感激しているが、アンナは武器に対する興味がなさそうだ。
「ケント殿、その剣を鞘から抜いて見てほしい」
ケントは、鞘ごと手に持ち、剣を抜いた。剣先を天に向けた。刃の部分が両側にあり、曲線を描いている。いかにも凄そうな剣だが、全体に黒い靄のようなものがうっすらと漂っている。
「おお~!」
周りから歓声が上がった。なぜだろう?
「その状態のままにしておいてほしい」
ジルは、自分の腕を剣の刃に向かって突き出した。ケントは驚いたのだが、ジルの腕は何事もなく通り過ぎた。
「この様に、生きているものは切れない呪いが欠けられているのじゃ。ちなみに、このように生きていないもの・・・・例えばここにある机などは、きちんと刃が当たるぞ」
「そんな呪いがこの剣に・・・・」
「私がここに持ってきてもらった理由はもう一つある」
「ん?それはなんだ?」
「ここにいるケント殿は、勇者なんじゃ」
「な、勇者だと?」
僕ら3人とジル以外のもの全員が驚いた。
場が凍り付いた。まさか、マリア姫が生きていたなんて、そして、さらわれてしまったと。
僕はとても悔しいと思った。このイベントもちゃんと存在したのだ。【クエクエ3】で幼馴染の人が姫で、同じように連れ去られるイベントを。
ただ、いろいろな【クエクエ】のイベントが重なりあって、自分でも収拾がつかなくなってしまっていた。
「ラインハット殿、ではなぜ王都へ来たのですか?」
「ちょうど5年前、村で育てていたマンゴーが、王都でとても高値で売れることが分かったんじゃ。当時、村は経済的に苦しくてな。背に腹は変えらぬと思い、王都で売ることにしたのじゃ。どうせ王都に行くのであれば、まだ見つかっていない、王都の内通者も見つかればよいと思い、王都に来るようになったんじゃ。レイアはすでに3回も来ておるぞ」
「そうだったのか・・・・3度もすぐ近くまで・・・・驚きの内容ばかりだ」
リチャード王はため息をついた。その気持ちとても分かる。
「じゃあ、さっそく取り返しに行こうぜ。場所もわかっているんだろ?その旧王宮の間ってところが」
「ミラン殿、そうはいかなんじゃ。相手は魔人なんじゃ」
「それがどうかしたのか?」
「魔人は、通常の攻撃が効かないのじゃ」
「な、なんだと?」
ミランとアンナは驚いた。だが、リチャード王含め、僕やリカルド、その他騎士団員は知っているようだった。
「正確に言うと、普通の戦士が、通常の武器で攻撃しても、回復してしまうのじゃ」
「どういうことだ?説明してくれ」
「魔人は、その辺りにいるモンスターとは違い、魔王から【魔王玉】という石を貰い、身体に埋め込んだ化け物なんじゃ。その【魔王玉】の力は凄まじく、能力が埋め込む前の3倍になり、受けたダメージを回復させてしまうのじゃ。」
「じゃあ、どうやって倒すんだ?」
「3つの対策がある」
①聖の効果がある材料で作った聖属性を持った武器を使用する。(その材料が合金のように混ざっていたり、メッキされていても良い)
②聖洗礼受けて、聖騎士になる。ただし、洗礼には最低48時間必要。
③【魔王玉】を破壊する。ただし、埋め込まれている場所は魔人によって異なるため、狙うのは難しい。
「ジルの話からすると、聖属性の武器を用意する事が現実的だと思うが、どうだ?」
「そうじゃな。出発までに準備をして臨むべきじゃ」
「聖属性を持つ材料って何がある?」
「オリハルコン、アダマンタイト、ドラゴンストーン、白金等々、複数あるのだが、いずれも入手が難しい、高価な材料だ」
「うーん、確かに・・・・」
「なので、伝説の武器と呼ばれるものは、効果で聖属性を持つものが多いのじゃ」
「いくら王宮騎士団とは言えども、そのような武器は・・・・あ、ラインハット団長、あの剣は伝説の武器では?」
「リカルドよ。わしはもう団長ではない。ジルと呼んでくれ。そうじゃの。この王宮には、伝説の武器が保管されておる。【勇者の剣】じゃ」
「【勇者の剣】だと?なんだその強そうな武器は?」
「数百年前に、魔王を倒した勇者が所持していた武器だ。魔王にとどめを刺したのもその剣だと聞いている。間違いなく聖属性を持っているはずだ」
「おいおい、そんなすげーのがあるんだったら、それを使おうぜ!」
「それが、そううまい話ではないんじゃ。実は、その【勇者の剣】は、いつごろからか呪いがかけられておってな。私が騎士団に入った時にはすでに呪われていた。せっかくじゃ、現物を見たほうが良いじゃろう。リチャード王、【勇者の剣】を持ってきても良いじゃろうか?」
「勿論だ。リカルド、ここに持ってきてくれ」
リカルドは部屋から出ていき、部下に指示をした。そして数分後、一本の鞘に納められた剣を机に置いた。
「これが、【勇者の剣】です」
「すげ~、なんというか、とてつもないオーラが漂っているように見える」
「私にはよく分からないわ」
ミランは感激しているが、アンナは武器に対する興味がなさそうだ。
「ケント殿、その剣を鞘から抜いて見てほしい」
ケントは、鞘ごと手に持ち、剣を抜いた。剣先を天に向けた。刃の部分が両側にあり、曲線を描いている。いかにも凄そうな剣だが、全体に黒い靄のようなものがうっすらと漂っている。
「おお~!」
周りから歓声が上がった。なぜだろう?
「その状態のままにしておいてほしい」
ジルは、自分の腕を剣の刃に向かって突き出した。ケントは驚いたのだが、ジルの腕は何事もなく通り過ぎた。
「この様に、生きているものは切れない呪いが欠けられているのじゃ。ちなみに、このように生きていないもの・・・・例えばここにある机などは、きちんと刃が当たるぞ」
「そんな呪いがこの剣に・・・・」
「私がここに持ってきてもらった理由はもう一つある」
「ん?それはなんだ?」
「ここにいるケント殿は、勇者なんじゃ」
「な、勇者だと?」
僕ら3人とジル以外のもの全員が驚いた。
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