11 / 39
第三章 ウソつき勇者とダリアスの町
3-5 水門のクエストの攻略法
しおりを挟む
キラーリザードが暴れて、今まさに村人やヤンダさんが襲われている。
「どうすればよい?考えろ!」
僕は滝に向かい覗き込んだ。水は少量だけ流れている。滝壺には、水はあまり貯まっていない。そして、滝の途中の岩に光るものが見えた。
「これだ。これが僕に残されたあり得る可能性だ!」
ヤンダさんは、かなり疲れていて、もう限界のようだ。
「ヤンダさん、下がって、僕がそいつを倒す」
「おお、剣士さん、待っていましたぞ」
「僕が今からそいつに体当たりするから、避けてください」
僕はキラーリザードに向かった。全力で走って突っ込んでいく。
「け、剣士さん、剣はどうされたのだ?もしかして、キラーリザートと一緒に滝に落ちるつもりか?」
「キラーリザードは、かならず倒します。。。。大丈夫。信じて!」
僕はキラーリザードに思いっきり体当たりした。キラーリザードはバランスを崩して、滝に落ちて行った。僕もその勢いで一緒に落ちて行った。僕は【ライアー・ストーン】を握りしめていた。
握りしめた【ライアー・ストーン】は光り出し、消えた。
僕は落ちながら、滝の途中の岩に引っ掛かっていた、光るものに向かってロープを投げた。ロープは光るものの隣の岩に当たり、うまくバウンドして光るものに引っ掛かかった。
僕はロープを握りしめた。ロープは僕の落ちる力に負けることもなく、引っ掛かったまま保持出来たようで、僕の体は下に落ちず中に浮いた状態になった。
光っていたのは、実は流された僕の剣だったのだ。そして、ヤンダさんの家に行く前に練習した、ロープの投げ方練習が早速役に立ったのだ。
キ ラーリザードは頭から谷底に落ち、瀕死の状態になっていた。
僕はロープを近くの岩に縛り変えてから、ロープを伝って下に降り、取り戻した青銅の剣でキラーリザードに止めを刺した。キラーリザードは絶命し、クリスタルが残った。倒したのだ。
しばらくすると、ヤンダさんが崖の上から降りてきて、僕のところに近づいてきた。
「剣士さん、身体は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫です。全くの無傷ですよ。びしょ濡れですけどね」
「剣士さんは私たちのために、命を捨てて、完全に相打ちを狙っていたと思いましたよ」
「心配かけてスミマセン」
「そして驚いたのは、ロープを投げたらうまく剣に引っ掛かったし、仮に剣に引っ掛かっても、耐えられるかどうか怪しいのに、外れずに耐えて残っていた。私に言わせると、奇跡だ。まさか、すべて想定済みで飛び込んだなんて言わないですよね?」
「その通りです。計画通りですよ。大丈夫って言ったじゃないですか」
「そうだったのですが・・・・いや~あんたはすごいよ。感動したよ」
最後は計画通りなんて嘘をついてしまった。ロープが引っ掛かったのも、剣が落ちなかったのも、たぶん【ライアー・チェンジ】のおかげだろう。
でも、これが【ライアー・チェンジ】の能力だから、感謝します!
僕は崖の上にあがり、けがをしている方々に覚えたての魔法【ヒール】を使って傷を回復させた。完全に治す力はないが、一人で歩ける程度まで回復させた。
「ありがとう。あんたには本当に感動したよ。これがクエスト完了の書類だ。また今度何かあったら頼むから」
「はい、喜んで。次はご指名でお願いします」
僕はクエスト完了の書類を受け取った。
僕はキラーリザードを倒したので、レベルが上がった。
覚えたのは【タイムシフト】だ。自分や味方の魔法の発動を、後から自分のタイミングで出来魔法だ。しかしこの魔法は、発生する時間を遅らせるだけで、威力が上がるわけでもない。普通、魔法を使うときはすぐに効果が欲しいからであり、実際、【タイムシフト】は、【クエクエ】では使われない魔法トップ3に入っている。
そして【クエクエ2】で作られた魔法だが、【クエクエ3】では無くなっていた。
空を見上げると、まだこんなに暗くはない。しかし、ギルドに行かずにミランの家に向かった。すごく疲れたので、報酬は明日貰いに行くことにして眠りについた。
次の日、起きるとミランはすでに出掛けた後だった。外で体を洗い、洗濯をし、ギルドに向かった。このあたりはゲームにはない、リアルな行動だ。朝ご飯は報酬を貰ってから食べようと思う。
ギルドに入ると、ミーナとミランが話をしていた。
「あれ、ミラン、どうしてここにいるの?」
「おお、ケント。お前の話、冒険者の中でずいぶん盛り上がっているぞ」
「え、本当ですか??」
僕のミスで、畑仕事をしている方々が襲われたことだろうか?恐る恐る聞いてみた。
「ケントさん、あなた【キラーリザード】を一発で倒したんだって?凄いわね!」
「へ?」
「昨日の夜、町の飲み屋でヤンダさんがみんなに話していたぞ。クエストに来たケントって剣士が、キラーリザードを剣一振りで倒したんだと」
確かに、滝から落ちた瀕死のキラーリザードに剣でとどめを刺したのは間違いないが、あれは相手が瀕死だったわけで、要は運よく倒せた、だ。
「俺もその話に混ざって騒いだぜ、あいつはモグリンマスターも素手で倒したとか、魔王を倒す力があるとかで、ずいぶん盛り上がったぞ!」
「ケントさん、あなた本当に勇者なのね。そのレベルで、モグリンマスターもキラーリザードも一瞬で倒すなんて、普通考えられないわ」
まずい、ちょっと話が盛られすぎている。いつの間にかモグリンマスターを素手で一瞬で倒したことになっているぞ。
「いや~あはは。あんまり公表しないでくださいね。魔王に見つかると、まだ倒せるほどの力はありませんから。まずいですから」
「そりゃそうだな。これから強くなっていくんだからな。将来期待してるぞ!」
「私、ケントの伝説の始まりを見ているってこと?有名になる前に、ハートを掴んでおこうかしら」
僕の知らないところで、間違った情報が広がっていくイメージが頭をよぎる。
「どうしたんだ?ケント、顔色悪いぞ。ミーナの求婚に酔ったのか??」
今日もストレスでご飯がのどを通らない気がする。ウソって怖い。
---第三章 完---
「どうすればよい?考えろ!」
僕は滝に向かい覗き込んだ。水は少量だけ流れている。滝壺には、水はあまり貯まっていない。そして、滝の途中の岩に光るものが見えた。
「これだ。これが僕に残されたあり得る可能性だ!」
ヤンダさんは、かなり疲れていて、もう限界のようだ。
「ヤンダさん、下がって、僕がそいつを倒す」
「おお、剣士さん、待っていましたぞ」
「僕が今からそいつに体当たりするから、避けてください」
僕はキラーリザードに向かった。全力で走って突っ込んでいく。
「け、剣士さん、剣はどうされたのだ?もしかして、キラーリザートと一緒に滝に落ちるつもりか?」
「キラーリザードは、かならず倒します。。。。大丈夫。信じて!」
僕はキラーリザードに思いっきり体当たりした。キラーリザードはバランスを崩して、滝に落ちて行った。僕もその勢いで一緒に落ちて行った。僕は【ライアー・ストーン】を握りしめていた。
握りしめた【ライアー・ストーン】は光り出し、消えた。
僕は落ちながら、滝の途中の岩に引っ掛かっていた、光るものに向かってロープを投げた。ロープは光るものの隣の岩に当たり、うまくバウンドして光るものに引っ掛かかった。
僕はロープを握りしめた。ロープは僕の落ちる力に負けることもなく、引っ掛かったまま保持出来たようで、僕の体は下に落ちず中に浮いた状態になった。
光っていたのは、実は流された僕の剣だったのだ。そして、ヤンダさんの家に行く前に練習した、ロープの投げ方練習が早速役に立ったのだ。
キ ラーリザードは頭から谷底に落ち、瀕死の状態になっていた。
僕はロープを近くの岩に縛り変えてから、ロープを伝って下に降り、取り戻した青銅の剣でキラーリザードに止めを刺した。キラーリザードは絶命し、クリスタルが残った。倒したのだ。
しばらくすると、ヤンダさんが崖の上から降りてきて、僕のところに近づいてきた。
「剣士さん、身体は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫です。全くの無傷ですよ。びしょ濡れですけどね」
「剣士さんは私たちのために、命を捨てて、完全に相打ちを狙っていたと思いましたよ」
「心配かけてスミマセン」
「そして驚いたのは、ロープを投げたらうまく剣に引っ掛かったし、仮に剣に引っ掛かっても、耐えられるかどうか怪しいのに、外れずに耐えて残っていた。私に言わせると、奇跡だ。まさか、すべて想定済みで飛び込んだなんて言わないですよね?」
「その通りです。計画通りですよ。大丈夫って言ったじゃないですか」
「そうだったのですが・・・・いや~あんたはすごいよ。感動したよ」
最後は計画通りなんて嘘をついてしまった。ロープが引っ掛かったのも、剣が落ちなかったのも、たぶん【ライアー・チェンジ】のおかげだろう。
でも、これが【ライアー・チェンジ】の能力だから、感謝します!
僕は崖の上にあがり、けがをしている方々に覚えたての魔法【ヒール】を使って傷を回復させた。完全に治す力はないが、一人で歩ける程度まで回復させた。
「ありがとう。あんたには本当に感動したよ。これがクエスト完了の書類だ。また今度何かあったら頼むから」
「はい、喜んで。次はご指名でお願いします」
僕はクエスト完了の書類を受け取った。
僕はキラーリザードを倒したので、レベルが上がった。
覚えたのは【タイムシフト】だ。自分や味方の魔法の発動を、後から自分のタイミングで出来魔法だ。しかしこの魔法は、発生する時間を遅らせるだけで、威力が上がるわけでもない。普通、魔法を使うときはすぐに効果が欲しいからであり、実際、【タイムシフト】は、【クエクエ】では使われない魔法トップ3に入っている。
そして【クエクエ2】で作られた魔法だが、【クエクエ3】では無くなっていた。
空を見上げると、まだこんなに暗くはない。しかし、ギルドに行かずにミランの家に向かった。すごく疲れたので、報酬は明日貰いに行くことにして眠りについた。
次の日、起きるとミランはすでに出掛けた後だった。外で体を洗い、洗濯をし、ギルドに向かった。このあたりはゲームにはない、リアルな行動だ。朝ご飯は報酬を貰ってから食べようと思う。
ギルドに入ると、ミーナとミランが話をしていた。
「あれ、ミラン、どうしてここにいるの?」
「おお、ケント。お前の話、冒険者の中でずいぶん盛り上がっているぞ」
「え、本当ですか??」
僕のミスで、畑仕事をしている方々が襲われたことだろうか?恐る恐る聞いてみた。
「ケントさん、あなた【キラーリザード】を一発で倒したんだって?凄いわね!」
「へ?」
「昨日の夜、町の飲み屋でヤンダさんがみんなに話していたぞ。クエストに来たケントって剣士が、キラーリザードを剣一振りで倒したんだと」
確かに、滝から落ちた瀕死のキラーリザードに剣でとどめを刺したのは間違いないが、あれは相手が瀕死だったわけで、要は運よく倒せた、だ。
「俺もその話に混ざって騒いだぜ、あいつはモグリンマスターも素手で倒したとか、魔王を倒す力があるとかで、ずいぶん盛り上がったぞ!」
「ケントさん、あなた本当に勇者なのね。そのレベルで、モグリンマスターもキラーリザードも一瞬で倒すなんて、普通考えられないわ」
まずい、ちょっと話が盛られすぎている。いつの間にかモグリンマスターを素手で一瞬で倒したことになっているぞ。
「いや~あはは。あんまり公表しないでくださいね。魔王に見つかると、まだ倒せるほどの力はありませんから。まずいですから」
「そりゃそうだな。これから強くなっていくんだからな。将来期待してるぞ!」
「私、ケントの伝説の始まりを見ているってこと?有名になる前に、ハートを掴んでおこうかしら」
僕の知らないところで、間違った情報が広がっていくイメージが頭をよぎる。
「どうしたんだ?ケント、顔色悪いぞ。ミーナの求婚に酔ったのか??」
今日もストレスでご飯がのどを通らない気がする。ウソって怖い。
---第三章 完---
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる