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第三章 ウソつき勇者とダリアスの町
3-4 水門のクエスト対応
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次の日の昼過ぎ、僕はクエストの依頼者である、【ヤンダ〉さんの家に向かった。町はずれの家だった。今日も昨日の夜飲みすぎたため、二日酔いでご飯がのどを通らない。
ミランにロープを買ったことを話したら、投げ方を教えてもらったので、ヤンダさんの家に行く途中でロープの投げ方を練習した。
そうこうしているうち、ヤンダさんの家に着いた。
「初めまして、ケントです。クエストの依頼を受けたものです」
「おお、あんたが依頼を引き受けてくれた方か。わしはヤンダと言う。水路の管理をしているものだ」
早速、水路へ向かった。水路には水がほとんど流れていない上流に向かうと、途中かなりの高さのある崖がある。その段差を水路の水が落ちて人工の滝のような作りになっている。
地形の作り上、こうするしかなかったようだ。まさに【クエクエ1】と同じだ。
ヤンダさんに連れられ、崖の横に作られた道を登った。登ると、水路の脇に畑が広がっていた。そこを通り過ぎ、さらに水路の上流に向かった。
すると、オオトカゲのボスバージョン、【キラーリザード〉が水路の真ん中で横たわっており、水が水路から脇のほうにあふれ出している。これでは下流の畑に水が流れない。
ちなみに更に上流には、水の量を調整する水貯めが見える。
「なるほどね。こいつの攻略法が見えましたよ」
「おお、さすが剣士殿。もう倒す方法が見つかったのですね」
このクエストは、ゲームでは以下の攻略方法になっている。
①ボスである、キラーリザードに瀕死のダメージを与える。
②それでも倒せないので、水路上流にある水貯めの水門を鍵を使って開ける。
③大量の水が一気に流れて。キラーリザードを流す。
④500m先の下流にある滝から落ちて、衝撃で絶命する。
こんな感じだ。
②については、【クエクエ1】ではキラーリザードを瀕死になるまでダメージを与えないと、発生しないイベントになっている。
だが、この世界ではある程度自由がある。イベントを知っているので、①を飛ばして、いきなり②をやれば、苦労せずにキラーリザードを倒せるのだ!
「ヤンダさん、上流にある、【水貯めの鍵】を貸してくれませんか?」
「え、なんで私が持っていることを知っているんですか?まあ、いいですけど」
そう言って、水貯めの鍵を受け取った。
「では、離れていてください。あのキラーリザードを倒します」
僕はキラーリザードに見つからないよう、水貯めに向かった。そして、水貯めの鍵を使ってロックを外し、ハンドルを回して水門を開けて、一気に水を放出させた。
想定通り、水は一気に下流に流れ、水路の途中にいたキラーリザードを直撃した。キラーリザードはそのまま下流に流されて見えなくなった。
「すごい!キラーリザードがいなくなったぞ!」
「これで完了ですね」
「いや~ありがたい。とりあえず下流の畑に行ってみますか。水門は、いったん下の様子をみてから全開にしよう」
「そうですね、じゃあ、僕この水門を閉めていきますね」
「おお、お願いします」
ヤンダさんは下流に向かった。僕はそのままペダルを逆に回して水門を閉めようとした。
「あ、剣を・・・・やっちゃった」
僕は手が滑った拍子に、腰に下げていた買ったばかりの青銅の剣を水路に落としてしまった。剣はそのまま流されていった。
「後で探しに行くか・・・・最悪クエストの報酬で買いなおしだな」
そう思いながら水門を閉めた。完全に閉めると水は流れないのだが、そのへんの調整は聞いていなかったので、気持ち流れる適度に開けた状態にし、水貯めの鍵でロックをかけた。
その後、ヤンダさんの向かった下流へ移動した。
すると、下流向かうにつれ、叫び声が聞こえ始めてきた。僕はまさかと思い、途中から走って声が聞こえる下流へ向かった。すると、なんてことだ。キラーリザードが滝の前で畑の人たちを襲っている。
「キラーリザードが流されてきたぞ!」
「まずい、逃げても襲われるだけだ。とにかくクワで押さえつけろ」
そう叫びながら、キラーリザードの攻撃を受けている。
「そんな・・・なぜ滝に落ちていないんだ!」
僕はクエストの攻略法を思い出す。今回、キラーリザードを瀕死にさせる行為を飛ばして次のイベントを発生させた。
つまり、設定では、弱った状態だったから、水圧に耐えられずに流されて滝に落ちる・・・・そう考えると、体力全快の状態だったら、水圧に耐えて落ちなかったと推測出来る。つまり、僕の判断ミスだ!
「どうすればいい?剣も流されて持っていない・・・・。そうだ、【ライアー・チェンジ】を使って、強い剣士を呼び出せばいいんだ。たまたま通りかかったって設定で!」
僕は【ライアー・ストーン】を握りしめ、
「強い剣士が現れて、キラーリザードを倒す。」
しかし、どんなに願っても、何も起きない。なぜだ?1日1回はウソがホントになるんじゃないの?
ここで僕は、異次元でのリーネの言葉を思い出した。
「ちなみに、何でもってわけではないから。あなたの運命に沿った、あり得る可能性のあるウソがホントになるだけよ。」
つまり、僕が先ほど願ったウソは、今の僕の運命からかけ離れており、あり得ない事象ということだ。
「そういうことか・・・・僕は自分の特殊スキルがなんでも有りと思い込んでいたんだ・・・・」
そう言っている間に、一人、一人と人が倒れていく。そして、最後の一人、ヤンダさんがクワをもって戦っている。でも、完全に押されているのがわかる。
何とかしないと全滅してしまう!
ミランにロープを買ったことを話したら、投げ方を教えてもらったので、ヤンダさんの家に行く途中でロープの投げ方を練習した。
そうこうしているうち、ヤンダさんの家に着いた。
「初めまして、ケントです。クエストの依頼を受けたものです」
「おお、あんたが依頼を引き受けてくれた方か。わしはヤンダと言う。水路の管理をしているものだ」
早速、水路へ向かった。水路には水がほとんど流れていない上流に向かうと、途中かなりの高さのある崖がある。その段差を水路の水が落ちて人工の滝のような作りになっている。
地形の作り上、こうするしかなかったようだ。まさに【クエクエ1】と同じだ。
ヤンダさんに連れられ、崖の横に作られた道を登った。登ると、水路の脇に畑が広がっていた。そこを通り過ぎ、さらに水路の上流に向かった。
すると、オオトカゲのボスバージョン、【キラーリザード〉が水路の真ん中で横たわっており、水が水路から脇のほうにあふれ出している。これでは下流の畑に水が流れない。
ちなみに更に上流には、水の量を調整する水貯めが見える。
「なるほどね。こいつの攻略法が見えましたよ」
「おお、さすが剣士殿。もう倒す方法が見つかったのですね」
このクエストは、ゲームでは以下の攻略方法になっている。
①ボスである、キラーリザードに瀕死のダメージを与える。
②それでも倒せないので、水路上流にある水貯めの水門を鍵を使って開ける。
③大量の水が一気に流れて。キラーリザードを流す。
④500m先の下流にある滝から落ちて、衝撃で絶命する。
こんな感じだ。
②については、【クエクエ1】ではキラーリザードを瀕死になるまでダメージを与えないと、発生しないイベントになっている。
だが、この世界ではある程度自由がある。イベントを知っているので、①を飛ばして、いきなり②をやれば、苦労せずにキラーリザードを倒せるのだ!
「ヤンダさん、上流にある、【水貯めの鍵】を貸してくれませんか?」
「え、なんで私が持っていることを知っているんですか?まあ、いいですけど」
そう言って、水貯めの鍵を受け取った。
「では、離れていてください。あのキラーリザードを倒します」
僕はキラーリザードに見つからないよう、水貯めに向かった。そして、水貯めの鍵を使ってロックを外し、ハンドルを回して水門を開けて、一気に水を放出させた。
想定通り、水は一気に下流に流れ、水路の途中にいたキラーリザードを直撃した。キラーリザードはそのまま下流に流されて見えなくなった。
「すごい!キラーリザードがいなくなったぞ!」
「これで完了ですね」
「いや~ありがたい。とりあえず下流の畑に行ってみますか。水門は、いったん下の様子をみてから全開にしよう」
「そうですね、じゃあ、僕この水門を閉めていきますね」
「おお、お願いします」
ヤンダさんは下流に向かった。僕はそのままペダルを逆に回して水門を閉めようとした。
「あ、剣を・・・・やっちゃった」
僕は手が滑った拍子に、腰に下げていた買ったばかりの青銅の剣を水路に落としてしまった。剣はそのまま流されていった。
「後で探しに行くか・・・・最悪クエストの報酬で買いなおしだな」
そう思いながら水門を閉めた。完全に閉めると水は流れないのだが、そのへんの調整は聞いていなかったので、気持ち流れる適度に開けた状態にし、水貯めの鍵でロックをかけた。
その後、ヤンダさんの向かった下流へ移動した。
すると、下流向かうにつれ、叫び声が聞こえ始めてきた。僕はまさかと思い、途中から走って声が聞こえる下流へ向かった。すると、なんてことだ。キラーリザードが滝の前で畑の人たちを襲っている。
「キラーリザードが流されてきたぞ!」
「まずい、逃げても襲われるだけだ。とにかくクワで押さえつけろ」
そう叫びながら、キラーリザードの攻撃を受けている。
「そんな・・・なぜ滝に落ちていないんだ!」
僕はクエストの攻略法を思い出す。今回、キラーリザードを瀕死にさせる行為を飛ばして次のイベントを発生させた。
つまり、設定では、弱った状態だったから、水圧に耐えられずに流されて滝に落ちる・・・・そう考えると、体力全快の状態だったら、水圧に耐えて落ちなかったと推測出来る。つまり、僕の判断ミスだ!
「どうすればいい?剣も流されて持っていない・・・・。そうだ、【ライアー・チェンジ】を使って、強い剣士を呼び出せばいいんだ。たまたま通りかかったって設定で!」
僕は【ライアー・ストーン】を握りしめ、
「強い剣士が現れて、キラーリザードを倒す。」
しかし、どんなに願っても、何も起きない。なぜだ?1日1回はウソがホントになるんじゃないの?
ここで僕は、異次元でのリーネの言葉を思い出した。
「ちなみに、何でもってわけではないから。あなたの運命に沿った、あり得る可能性のあるウソがホントになるだけよ。」
つまり、僕が先ほど願ったウソは、今の僕の運命からかけ離れており、あり得ない事象ということだ。
「そういうことか・・・・僕は自分の特殊スキルがなんでも有りと思い込んでいたんだ・・・・」
そう言っている間に、一人、一人と人が倒れていく。そして、最後の一人、ヤンダさんがクワをもって戦っている。でも、完全に押されているのがわかる。
何とかしないと全滅してしまう!
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