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第三章 ウソつき勇者とダリアスの町
3-3 ウソつき勇者の現状
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僕は晴れて勇者になった。
【クエクエ】では、ある程度の職業を経験しないとなれない伝説の職業という設定なのだが、主人公だけは初めから選べる。つまり僕は【ライアー・チェンジ】の能力で、この世界の主人公になってしまったようだ。本格的に魔王を倒さなければいけないのか?
「ところで、ケントさん、勇者って職業は何が出来るの?」
「さあ、僕もよく分かりません」
「俺も知らない。伝説では魔王を倒せる唯一の職業って触れ込みだったが、実際初めて見たからよく分からないな」
【クエクエ】の設定では、勇者はマルチプレイヤーだった。なんでも出来るが、決して能力が一番ではないって感じだった。でも、魔王を倒すには最終的には誰かが勇者にならなければいけない。
「まあ、考えても無駄ね。分からないから。それより、他に用はあるの?」
「そうそう、こいつ金が無いから、クエストいろいろやらせようと思っているんだ」
「であれば、あちらの掲示板に依頼があるから、見て来たら?」
掲示板に行き、貼ってある依頼書を見てみた。
「草むしりに、迷子のペット探し、薬草探しって、全部小銭稼ぎの仕事だな」
「最後の薬草探しは、ミランが依頼したものよ」
「え?そうだったっけ?デートの約束以外すぐに忘れちまう。そういやこの薬草昨日手に入ったから、取りやめるよ。」
「じゃあ、剥がして持ってきて」
そんな会話を聞きながら、僕はクエストをいろいろ見てみる。確かに、小銭稼ぎのクエストがいくつもある。クエクエでは、このような小さなクエストは無かった。ずいぶんと生活に密着でリアルだな。
「お、これなんかどうだ?畑に繋がっている水路の水が最近止まって、上流に見に行ったら、モンスターが住み着いているのが分かったから、退治してくれって内容だ。15万ダイスだって」
「そうね、スーザン村の依頼よりも、ちょっとレベルが高いくらいと思うわ。」
このクエスト、聞いたことがあるぞ。【クエクエ1〉のイベントだ。この町のクエストではなかったはずだが、内容は全く同じだ。クエスト名は、【水路の水を復活させて】だ。
「じゃあ、これにするか?」
「そうですね。このクエストにします」
「じゃあ、ミーナ、これをケントが受けるぞ」
「分かりました。こっちに持ってきてください」
僕はクエストの紙をもって、カウンターへ行く。依頼中のハンコが押された。
「ちなみにいつやるの?一応期限は3日後までだけど」
「明日にします。いろいろと揃えないといけないので」
「そうだな。ケントは武器や防具等々、何も身に着けてない、裸同然た。裸は美女以外は勘弁だぜ!」
僕は相変わらずジャージのままだった。これで戦うにはいくら何でも無茶だ。
「そうそう、これ渡すの忘れていたわ。あなたの【ギルドカード】よ。無くしたら再発行でお金かかるからね。ちなみに、初回はミランに免じて無料にしとくわ」
「いつも済まねえな、ミーア」
「どういたしまして。ちゃんと借りは返してもらうからね」
「おーこわ!それはそうと、俺は用事があるから行けないが、大丈夫だよな?まあ、モグリンマスターを一発で倒したんだから、心配ないか」
「ああ大丈夫だよミラン、問題ないさ」
僕は自信があった。初期のクエストということと、いざとなれば、【ライアー・チェンジ】の能力で、ウソをホントにすれば良いと思ったからだ。
「へー、見た目頼りないけどやるわね。モグリンマスターを一発なんて、なかなかのものよ」
モグリンマスターは洞窟崩壊で倒したのだが、いつの間にか一発で倒したことになっている。この間違った嘘の認識は、改めたほうが良いのだろうか?
僕は店を出て、貰ったクエストのお金で、武器、防具を購入した。
武器はとても一般的な【青銅の剣】で、防具は【くさりかたびら】だ。頭と足は革ので出来た物を買った。また、ゲームでは存在しなかった生活用品店で、文字通り生活用品を揃える。そして、道具屋で毒消し草を忘れずに購入した。
ついでに、以前【シンゴ】から、アウトドアには【ロープ】は必須だとか言っていたので、腰に下げていれば邪魔にならないかなと思い、余ったお金で【ロープ】も買った。
僕は用事があるミランと別れ、そのまま町の外に出た。自分の今の能力を確認する必要があるからだ。
まず、ギルドカードを見てみる。書いてある言葉が分からないが、唯一レベル4であることは分かった。モグリンマスターは倒したことになっているようで、経験値が入っている。
次に、使える魔法を自分の心に確認する。勇者になったのならば、きっとあるはず。。。。あった。【ヒール】だ。最初に勇者が覚える魔法だ。
次は武の才能の確認。町の外にいる、最弱モンスター【赤スライム】と戦う。一撃で倒せた。
次に【モグリン】だ。これも一撃で倒せた。
さらに、【石カタツムリ】だ。防御力が高いモンスターだ。こいつは3回ほど攻撃して倒すことが出来た。
よし、【クエクエ】と同じくらいの設定のようだ。自分のクエクエの知識が使える。
因みに、ボスバージョンになったモンスターのみ、倒すとクリスタルに変わる。クリスタルはそれなりに高値で売れるので、それを街で売ってお金稼ぎも出来るが、そもそもボスバージョンはたくさん設定されていないので、お金稼ぎには効率は良くない。
このあたりのルールも【クエクエ】と同じだ。この世界でやっていけるような気がしてきた。
【クエクエ】では、ある程度の職業を経験しないとなれない伝説の職業という設定なのだが、主人公だけは初めから選べる。つまり僕は【ライアー・チェンジ】の能力で、この世界の主人公になってしまったようだ。本格的に魔王を倒さなければいけないのか?
「ところで、ケントさん、勇者って職業は何が出来るの?」
「さあ、僕もよく分かりません」
「俺も知らない。伝説では魔王を倒せる唯一の職業って触れ込みだったが、実際初めて見たからよく分からないな」
【クエクエ】の設定では、勇者はマルチプレイヤーだった。なんでも出来るが、決して能力が一番ではないって感じだった。でも、魔王を倒すには最終的には誰かが勇者にならなければいけない。
「まあ、考えても無駄ね。分からないから。それより、他に用はあるの?」
「そうそう、こいつ金が無いから、クエストいろいろやらせようと思っているんだ」
「であれば、あちらの掲示板に依頼があるから、見て来たら?」
掲示板に行き、貼ってある依頼書を見てみた。
「草むしりに、迷子のペット探し、薬草探しって、全部小銭稼ぎの仕事だな」
「最後の薬草探しは、ミランが依頼したものよ」
「え?そうだったっけ?デートの約束以外すぐに忘れちまう。そういやこの薬草昨日手に入ったから、取りやめるよ。」
「じゃあ、剥がして持ってきて」
そんな会話を聞きながら、僕はクエストをいろいろ見てみる。確かに、小銭稼ぎのクエストがいくつもある。クエクエでは、このような小さなクエストは無かった。ずいぶんと生活に密着でリアルだな。
「お、これなんかどうだ?畑に繋がっている水路の水が最近止まって、上流に見に行ったら、モンスターが住み着いているのが分かったから、退治してくれって内容だ。15万ダイスだって」
「そうね、スーザン村の依頼よりも、ちょっとレベルが高いくらいと思うわ。」
このクエスト、聞いたことがあるぞ。【クエクエ1〉のイベントだ。この町のクエストではなかったはずだが、内容は全く同じだ。クエスト名は、【水路の水を復活させて】だ。
「じゃあ、これにするか?」
「そうですね。このクエストにします」
「じゃあ、ミーナ、これをケントが受けるぞ」
「分かりました。こっちに持ってきてください」
僕はクエストの紙をもって、カウンターへ行く。依頼中のハンコが押された。
「ちなみにいつやるの?一応期限は3日後までだけど」
「明日にします。いろいろと揃えないといけないので」
「そうだな。ケントは武器や防具等々、何も身に着けてない、裸同然た。裸は美女以外は勘弁だぜ!」
僕は相変わらずジャージのままだった。これで戦うにはいくら何でも無茶だ。
「そうそう、これ渡すの忘れていたわ。あなたの【ギルドカード】よ。無くしたら再発行でお金かかるからね。ちなみに、初回はミランに免じて無料にしとくわ」
「いつも済まねえな、ミーア」
「どういたしまして。ちゃんと借りは返してもらうからね」
「おーこわ!それはそうと、俺は用事があるから行けないが、大丈夫だよな?まあ、モグリンマスターを一発で倒したんだから、心配ないか」
「ああ大丈夫だよミラン、問題ないさ」
僕は自信があった。初期のクエストということと、いざとなれば、【ライアー・チェンジ】の能力で、ウソをホントにすれば良いと思ったからだ。
「へー、見た目頼りないけどやるわね。モグリンマスターを一発なんて、なかなかのものよ」
モグリンマスターは洞窟崩壊で倒したのだが、いつの間にか一発で倒したことになっている。この間違った嘘の認識は、改めたほうが良いのだろうか?
僕は店を出て、貰ったクエストのお金で、武器、防具を購入した。
武器はとても一般的な【青銅の剣】で、防具は【くさりかたびら】だ。頭と足は革ので出来た物を買った。また、ゲームでは存在しなかった生活用品店で、文字通り生活用品を揃える。そして、道具屋で毒消し草を忘れずに購入した。
ついでに、以前【シンゴ】から、アウトドアには【ロープ】は必須だとか言っていたので、腰に下げていれば邪魔にならないかなと思い、余ったお金で【ロープ】も買った。
僕は用事があるミランと別れ、そのまま町の外に出た。自分の今の能力を確認する必要があるからだ。
まず、ギルドカードを見てみる。書いてある言葉が分からないが、唯一レベル4であることは分かった。モグリンマスターは倒したことになっているようで、経験値が入っている。
次に、使える魔法を自分の心に確認する。勇者になったのならば、きっとあるはず。。。。あった。【ヒール】だ。最初に勇者が覚える魔法だ。
次は武の才能の確認。町の外にいる、最弱モンスター【赤スライム】と戦う。一撃で倒せた。
次に【モグリン】だ。これも一撃で倒せた。
さらに、【石カタツムリ】だ。防御力が高いモンスターだ。こいつは3回ほど攻撃して倒すことが出来た。
よし、【クエクエ】と同じくらいの設定のようだ。自分のクエクエの知識が使える。
因みに、ボスバージョンになったモンスターのみ、倒すとクリスタルに変わる。クリスタルはそれなりに高値で売れるので、それを街で売ってお金稼ぎも出来るが、そもそもボスバージョンはたくさん設定されていないので、お金稼ぎには効率は良くない。
このあたりのルールも【クエクエ】と同じだ。この世界でやっていけるような気がしてきた。
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