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第三章 代表戦前練習

3-4 代表戦前練習2

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次はクリスティーナ。

「因みに私もダサいのはNGですよ。」

先に釘を刺された。

「クリスティーナも、前に話したように、【マジックドライアイ】の影響が強く出ているので、無意識に顔と目を反らしてしまっている。」
「はい。以前お話しされましたね。ですので、このいただいた目薬は、ドライアイを解消してくれる物だったんですよね。」
「だけど問題は、魔法を使う度に目薬の効果がほぼ無くなるので、魔法を使う度に目薬を点さなくてはいけない。」
「はい、ですので、ミーアとの戦いでは、目薬を何度もさすので、目がしわしわになった気がしましたし、手も疲れました。」
「そう、で、僕はこの目薬を用意しました。この改良した目薬は、この前のよりも効果が長続きするように、蒸発抑制材を加えたものだ。もちろん、身体に影響は無いよ。」
「つまり、点す回数が減るため、目のしわしわも減るし、攻撃を止める回数も減るし、無防備な時間も減るということですね。」
「うん、そうだね。ただ、何回くらいで効果がなくなるのかは、実際に試してみて感覚をつかんでおいてほしい。」
「分かりました。エリックさんには本当に感謝しています。」
「ただ、あの妖艶ポーズがたくさん見れないのが残念なのだけど・・・」
「え?ポーズって何ですか?」
「いやいや、こっちの話。いや~素直に受け取って、感謝してもらってうれしいよ。」
「だって、デザイン関係ないんですもの。ほっとしました。ありがとうございます。目薬の容器はこちらで用意しますね。」

今の【ありがとうございます】は、【目薬の効果】と、【デザイン関係無い】のどっちに対してだろうか?


最後はカレン。

こちらは、ミーアとの対戦以来使っていない忍術を試してみることにした。
もしカレンに巻物を詠む能力があるならば、これほど心強いことはない。

「ハチベエ、何か違う、簡単な忍術の巻物を出してほしい。」
「忍術に簡単とかは無いのですが・・・文章が短いのとかありますので、それでどうかと。」

ハチベエは腰に下げた小さなわらの入れ物から、明らかにサイズの大きい巻物を取り出した。

「そんな小さなカバンから、どうしてこの大きさの巻物が?」
「これは、中に入れると物が小さくなる、天狗の秘宝です。」

それ、欲しいです。

「カレン、この巻物を詠んでみて。」
「分かりました。ちなみにハチベエ、どんな忍術ですか?」
「影縛りという、相手を動けなくする忍術です。」
「それは便利そうですね!」

そう言って、巻物を広げてみてみた。相変わらず何が書いてあるのか分からない。

「どうだカレン、詠めるか?」
「全く詠めません。なんて書いてあるのかが全く分かりません。」
「ミーアとの対戦では、心で詠むとか言っていたが、どうだ?」
「その、心で読むという意味が分からないです。」

どういうことだろう?忍術によって、出来る出来ないがあるのだろうか?

「こちらの巻物はいかがでしょう?」
「これは、この前と同じ移身の術か?」
「その通りです。これで確認してみましょう。」

カレンは受け取って、広げて詠んでみた。

「ダメです、まったく詠めません。なぜでしょうか?」

どういうことだ、同じ巻物ですら詠めないなんて。

「う~ん、なぜ詠めないのか私もわからないです。私も過去いろんな人の忍術を見て来ましたが、同じ症状を知りません。少し調べる時間をください。」

そう言って、ハチベエは自分の住処に帰っていった。

僕は、忍術が詠めないことを想定していなかった。

「エリックさん、ごめんなさい。。。」
「いや、僕が悪い。いろいろなことを想定するのが僕の役割だから。」

とは言ったものの、どうしようか。とりあえず基本に戻って、治療士として対応できるように、血を見ても動揺しないように馴れさせる訓練が良いと思うが、それをどうやって・・・。

さて、3人には話をしたが、実践練習としては対戦で練習をしたほうが良いので、シャーロットとクリスティーナ間で練習する事になる。が、戦闘スタイルが違いすぎるので効果的な練習が出来ない。よって、僕相手にシャーロットとクリスティーナが対戦する方法を考えているが、カレンをどうしようかと悩んでいる。

「さ、早く始めましょ!」
「お風呂の時間になっちゃいますよ。」

あおられている。仕方ない、カレンは後で考えて、先にシャーロットとクリスティーナの練習を始めるか。

そう思い、顔を上げると、遠くから、2体の魔獣のなようなものが近づいてきていた。良く見ると、1体は幻獣ハーピーの【はなえ】だ。そして、もう1体は見たこと無い魔獣だ。いや、魔獣ではなく、この感じは幻獣だ!
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