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第一章 守護士

1-3 王都へ出発

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守護士:それは、自分やパーティのメンバーを守ることに特化したアビリティ。その特徴は

・攻撃力はゼロだが力は高い・・・仲間を助けたり持ち運んだりするため。
・守備力、素早さ、魔法防御力が高い・・・守りること、かわすこと、逃げることに特化。
・攻撃魔法力、治療魔法力はゼロだが、魔力量は多い・・・ユニークスキルを使えるため。
・自己治癒能力、毒に対する耐性が高い・・・守護士はメンバーを守るために、死ぬことに対する耐性が高い。
・記憶力、応用力が高い・・・守るための、その知識量、応用量は半端なく高い必要がある。

「何独り言を言っているのですか?」
「いや、守護士になれたので、改めて自分で確認をしただけだよ。」
「相変わらず、変わっていますね・・・」

パトリシアと一緒に過ごすようになってからは、たびたび知り合いの幻獣に声をかけて連れてきてくれた。
幻獣たちは、主従関係を結ぶとその間は寿命としてカウントされない、また、主従した相手の能力が高いと、自分の能力も向上する。
つまり、主従先をうまく選ぶと、長生きしてかつ強くなれるなるのでメリットがあるのだ。よって、主従契約を希望する幻獣もいる。もちろん。戦わないと認めない幻獣もいるらしいけど。
しかし、知り合いなんて、幻獣の世界にもコミュニティはあるんだな。

たくさんの幻獣たちと主従契約を行った。結果、 

シーサー【アボイドゾーン】:魔獣が寄ってこない。
スフィンクス【アラートエリア】:魔獣やいろんなものを察知する。
ガルーダ【トラップウォーク】:足もとにトラップを仕掛ける。
グリフィン【スキンオフ】:相手の防御力を下げる。
ゴーレム【ディフェンドボディ】:味方防御力を上げる
のスキルを手に入れた。

ちなみに、主従契約を結んだからと言って、パトリシアのように常に一緒にいる必要はない。よって彼ら(幻獣ら?)には、地元に帰ってもらい、必要とあれば呼ぶことにした。
また、幻獣たちは、いろいろな知識を持っていた。よって、主従契約を結んだ幻獣たちに先生になってもらい、通常では知り得ない知識や情報を教えてもらった。結果、いつの間にか知識はとんでもない事になっていった。

僕は12歳になった。
いまだに魔王が復活した様子はない。パトリシアはそれが感覚で分かるようだが、今だそのような感覚は無いとのことだ。
僕は当然のように成績で村の学校ではトップの成績になった。先生からも教えることはもうないと言われた。もちろん、守護士になった事も、基本能力がとても高いこともずっと隠していたため、冒険者としては不適合と思われていた。
隠している理由は、もちろん話を始めると、いずれは魔王の復活の話にたどり着いてしまうため、そうならないように初めから隠すことにしていたのだ。

僕は1年前より、この村を出ることを考えていた。守護士はどんなに強くなっても、魔獣を倒す力は持っていない。よって、自分の思う戦闘スタイルを構築するために、優秀な戦士・魔法士を若いうちから確保しておく必要があった。それには、王国騎士団の学校に入って人材を探す必要があると考えた。しかし、そこには試験を受けないと入ることが出来ない。
また、この国の法律で、一人暮らしができる年齢は12歳からと決められているため、一番早く騎士団になれるのは今年だ。

僕は両親に相談した。

「父さん母さん、話があるよ。」
「どうしたんだい、エリック?」
「僕は王都に行って、先生の勉強をやって、教師になりたい。」
「え?先生?」
「村の学校の先生も、先生は良い選択だって言っていた。」

両親は驚いた。田舎町から王都に行って先生になるなんて、だれもやったことないし、思いつきもしなかった。本当は両親は僕には冒険者になって欲しかったようだ。
しかし、冒険者に向いていないのであれば(と思われている)、先生になることが一番幸せかもしれないと考え、それを許した。

「でも、王都だと知り合いとかいないから、一人暮らしになるわよ。」
「大丈夫だよ、寮あるらしいから。」

先生になるための学校には寮があることは冒険者から聞いていたため、生活は問題無い。
ただ、両親に嘘をついた。やりたいことは、先生ではなく騎士団への入団だからだ。

僕は1週間後、王都に向かい出発した。
両親は心配そうに僕を見送った。当初両親は、そんなに早くいかなくてもいいのにと出発を引き延ばそうとした。
しかしながら、伸ばすわけにはいかなかった。冒険者からの情報で、王都で王国騎士団の訓練生入団試験が5日後に行われるからだ。年に1回しか行われないので、来年まで待つ必要がないと思った僕は、試験に間に合わせるためには出発を後らせるわけにはいかないのだった。

僕は馬車に揺られながら王都を目指した。両親は僕のために馬車と従者ダイアンを雇った。両親と知り合いなので、僕も彼をよく知っていた。

「エリックがまさか王都に行くなんてね。」
「どうしてそう思ったんですか?」
「エリックは冒険者に必要な能力が無いから、村でのんびりと過ごす生活を過ごすのかと思っていたよ。それはそれで悪くない人生だからね。」
「僕は国のために尽くしたいだけだよ。」
「えらいことを言うんだね。感心するよ。」
そんな会話をしながら進んでいった。

「しかし珍しいもんだ。魔獣に全く会わないなんて。このまま会わないで済めばよいけど。」
「よく会うのですか?」
「そうなんだよ、王都への道のりでは、必ず魔獣に数度は会う。」
「見つけたらどうするのですか?」
「遠くで見つけた場合は馬車を飛ばして逃げる。近くで遭遇したら、好物のえさを道に投げ、魔獣がそれを食べているすきに逃げるのさ。後ろに載っている大きな肉の塊はそれさ。その分が移動の費用として上乗せされるのさ。」
「会わないように祈りますね。」

僕は今回、魔獣が近づかないように【アボイドゾーン】を使っていた。僕としては、攻撃手段を持っていないため(棒をもって暴れたり、パンチやケリくらいは出来るが)なるだけ面倒事は避けたかったのだ。
よって、魔獣に会うことは無い事も知っていた。

因みに、王都までは野宿を入れて3日必要なので、その間は基本的には暇だ。だが、王都に着くまでに、あることを実行する計画を進めていた。
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