反撃の王

くっきー

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超一流の計画??

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―――闇が一層に目が届くところまで広がる。漆黒の世界は冷たい空気が支配している。音が聞こえない。匂いも嗅がない。

突然、鼻の先にある虚空の空間がたちまち歪み、そこから騎士が現れる。背は俺より高い、黒い洋式鎧を装う。右手には誇りある戦士の偶像かのように、空高く剣を振りかざす。その剣は柄が黒い。刃は趣がある美しい銀色。しかしながら、一番気になるのは光がないこの闇の中で光学法則を無視しながら、強い白銀な光彩で輝く。

「なっ!?」

俺は一瞬だけ、強い光から視線を本能的にそらす。だが、そうした途端やっと気付いた。この騎士は人間の上に立っている。人間と言うかアレは?とにかく人間に似てる。無数のは動かない屍、顔には人を認識できないぐらいに、刃に斬られた跡があっちこっちに残っている。その数えきれないほどの傷たちから、赤い液体が闇色の床にはびこる。

俺はその状態に、吐き気を覚える。騎士にもう一度視線を移すと、中世ヨーロッパ風の兜のせいで顔は見えないが、どこかで兜の隙間から魂を見据える感覚が全身に広がる。

騎士は手をふる。毅然たる態度に真っ向唐竹割からたけわりに俺は衝撃を待つだけだった。体が動かない。―――――

パーン!と頭に強い衝撃を受ける。しかし衝撃の類が違い、これは剣じゃない、これは、、、

「起きたのか?もー変態な吐息したらもう大丈夫だかなーって、、」

夢だったのか?

いつもより重く感じるまぶたをあける。そこには太陽光が眼を焼きつける感触とともに、目の前に仁王立におうたちちしていた美少女がいる。皐月ゆい旧姫様。上品な立ち振舞に王族の出が当たり前になる。浅緑の長髪。竜胆色《りんどういろ》の瞳。一切のシワを見当たらない貴族的な完璧な肌―――じゃない。顔になぜかめっちゃ傷があるけど?

「皐月さん?え?俺死んでないの?」

「多分死んでないと思うが」

「多分?」

「あー、こんな奇麗な美少女に起こされるってことは天国にいるかもしれないよ」

俺は彼女のからかう口調にため息で応じる。そして下手な微笑を作ってまた言葉を紡ぐ。

「あ、そう?傷だらけの天使は見たことがないから、おそらく天国じゃないだよ」

「なっ?!」

虚に乗じたみたいな分かりやすい形相をしながら皐月さんの頬はほのかな赤い色に染まりはじめる。姫様であろうかあるまいか、彼女はまだ若い女性。王族でも意外と人間らしい一面もある。

「で、その傷はどうやってできたの?」

「それは、、、」

彼女は俺の質問に答える形で恥ずかしがる仕草でもじもじする。指先同士をつんつんさせながら、彼女は恥から逃れようという感じで口早に言葉をはく。

「呉羽くんはね、昨夜にね、気を失っただろう?」

「ん?うん。そうね」

「それで、放置したら死ぬんじゃないかなって」

「うん。うん。ってそれ関係あるか?」

「えーと、関係あるの!私はね、美しさが才能で力がないから、呉羽くんの体はもちろん運ばないんで。んでね、えーと、拠点までは引っ張ることにした。」

「傷は?っていうか引っ張るな!」

「拠点の近くに小さな丘があるのでね、えーと、体を引っ張ることで無我夢中になって、丘にある変な石に足を引っかかってね、丘の上から落ちていしまいした、、、」

皐月さんの告白に、沈黙があたりを張る。しばし無言、サッカーボールみたいに丘から転がる皐月さんのイメージに我慢できなかった俺は笑いをこぼす。

「あはははは!マジか?本当にお姫様なの!?あはははは」

俺の行動に反応する彼女は、すねたそぶりに頬をふくらませる。そして変な声色で文句を訴える。

「笑わないで!私は結構頑張ったから!ぷぷぷ」

「まー、確かに命恩人と言っても過言ではないな」

「それに、、、昨日はごめん」

その言葉を契機に、空気が一気に重くなる。ハッピーな瞬間は瞬く間に消える、そのかわりに忘れたいけど忘れることのできない記憶が脳をよぎる。父と母。短剣を差し出した皐月さん。そして帝国の話。俺だけじゃない、皐月さんも顔色がどんどんと悪くなっていく。俺は言葉を探すけどその探検は失敗に終わる。それで俺は適当な言葉でぎこちなくに告げる。

「大丈夫よ。俺は別に気にしてないからさ」

「うん、、、あの、、頼みがあるけど」

今度は彼女の番、ぎこちない態度にぎこちないな声色で頼みを伝える。

「私も連れて行かないかな?」

「ん?連れる?」

「そう、実はね、私はね君の言ったことをずっと考えてみたんだ。私にも打つ手があるかもしれないかなって。だから、諦めるのは、逃げるのは、もう、、終わりにしようかな、、終わりにしたい!」

俺は一息ついた後、彼女の水晶にすら見える瞳を覗き込む。俺は昨日の彼女の言ったとおり、帝国は知らない。それにまだまだ弱い。だから、道しるべのかわりに彼女を使えばいいかも。ひどいことを言っている気がするが、気のせいだろうか?

「うん、構いません、一緒に行きたいなら止めないよ」

俺の言葉に応じるように、彼女は難しそうな形相から明るい嬉しそうな笑みを浮かべる。この姫様はたまに子供みたいな一面を見せる。それは長い間誰と話していないせいなのだろうか?

普通に考えてみれば、彼女に関わることは危険。彼女の言うことがもし本当のことだったら、彼女は何ヶ月、この森林の中に一人で住んでいたのだろうか?他の人と久しぶりに話すことで変なふうに喜んでいるかも?

「で、計画はあるでしょう?」

「計画?」

「まさか、一人で知らない帝国にすることは、、そのばかなことなど、、考えてないでしょう?」

「えーと、そうね、はい考えてます」

「なっ?!ばかか呉羽くんは?無計画でどうやって親の仇をうつんだ?!雲母亜宮原《きららあくはら》をやるなら、計画ぐらい立ってよ、、」

「時間がなかったよ」

「えーー!」

「でも、、、今、思いついた計画がある」

そう言いながら俺は、今から考えた(まじですよ、今から)、もう一度言うけど。今から考えた完璧な計画、他人から見れば「えー?天才にもほどがある」と言わせるぐらいの天才、異才の計画!それは、、、
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