アベル君のおつかい

蜻蛉

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アベル君

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昔々ある国に小さな村がありました。
その村に住んでいるある家族の長男、アベル君。この物語は、アベル君がおつかいに行く小さな物語です。

アベル君の家族は四人家族。アベル君、アベル君のお父さんとお母さん、そして妹がいました。アベル君のお父さんはお城の兵士さんをしていて、なかなか家に帰ってこれません。それでもアベル君はお父さんが大好きでした。

アベル君が朝起きてお母さんのベッドへ行くと、あらあら大変!お母さんが顔を真っ赤にして寝込んでいるではありませんか。アベル君はお母さんに言いました。

「お母さん!具合が悪いの?」

「アベル、ごめんね。お母さん風邪をひいてしまったみたいなの。」

アベル君のお母さんは苦しそうに咳き込んでいます。頼りのお父さんはお城にいるなので家にはアベル君とお母さんと妹しかいません。アベル君はお母さんに言いました。

「お母さん!僕が町に行ってお薬を買ってくるよ!」

アベル君のお母さんは驚きました。

「アベルそれはいけないわ、町に行くには森を抜けて長い山道を歩いて行かなければならないのだから。」

アベル君の住んでいる村は、町からかなり離れていました。町に行って村に帰ってこようと思えば、半日はかかってしまいます。
それでもアベル君は言いました。

「大丈夫だよお母さん。町にはお父さんと行ったことあるし、それに僕はもうは5歳になったんだもん!」

アベル君は一昨日に5歳の誕生日を終えていました。アベル君は少し大人になったと思っていて、自信が満ち溢れていました。お母さんは少し迷いましたが、今町に行けるのはアベル君だけです。お母さんはゆっくり喋りだしました。

「わかったわアベル、なら町に行っておつかいをしてきてくれる?」

アベル君は元気な声で言いました。

「うん!まかせて!」

アベル君は急いで準備をはじめました。
お気に入りの皮鞄に地図、お金、お父さんに買ってもらった小さなナイフ、そして大きな林檎を詰め込みました。
アベル君は妹のビアンカちゃんを起こし、
お母さんの看病を頼みました。
ビアンカちゃんはまだ3歳です。一緒には連れて行けません。

「ビアンカ、お兄ちゃんはおつかいをしてくるから、お母さんのことをみててね。」

「うん!ビアンカ、ママとお留守番する!」

アベル君はビアンカちゃんに留守番を頼み、お母さんに言いました。

「お母さん、行ってきます!」

「気をつけてねアベル…知らない人についていっちゃだめよ。」

「わかった!待っててねお母さん!」

アベル君は元気よく家を飛び出しました。
さぁ、アベル君の小さな大冒険がはじまります。無事アベル君は町でお薬を買ってこれるのでしょうか?

続く
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