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カイドの風邪
まだ風邪
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カイドは、部屋の扉が開く音で目が覚めた。
キャルがそっと顔をのぞかせた。
「あれ、起きてたの?」
カイドが目を開けているのを見て、キャルは驚いたようだった。
「今起きた。まだ、もう少し眠りたいけど」
自分の体が回復していないことが分かる。
ゆっくり寝たはずだが、背筋に寒気を感じる。
「そう?着替えもってくるから、もう少し待っててね」
そう言って、キャルは階下に降りて行った。
正直、着替えは有難かった。先ほどの薬湯で、カイドは汗をかいて、そのまま眠ってしまったのだ。それがじんわりと冷たくなってしまっている。
「カイド、もう一回薬ね」
着替えを持ってきたキャルの手には、もう一度湯飲みが握られていた。
今度はちょっと黄色だ。
どろりとしていて、飲みにくそうだ。
「ぐいっといっぺんに飲んじゃって」
なのに、キャルはそんなことを言う。
でも、心配そうに傍らで見られると、飲まないといけない。
カイドは意を決してその薬を喉へ流し込んだ。
……想像したほどではなかった。
しょうがとはちみつの味がする。どろりとしていて食感が良くないが、味的にはさっきのよりはましだ。
「どう?」
「さっきのよりは、まあ」
「これから辛くなるけど、頑張ってね」
「?……そうなのか?」
不思議そうなカイドに、キャルは嬉しそうに笑って着替えを差し出す。
「今着ているのは洗うから出してね」
そう言いながら、ベッドのわきに籠を置いて部屋を出て行った。
起き上がると、めまいがひどくなっている。
ぐわんぐわんとまわっているような気がして、そのせいで気分も悪くなってくる。
キャルの作る薬を飲んでいるというのに。
キャルの言うとおりに辛くなってきたが、これも治るまでの予兆なのだろう。
悪化しているような症状に、カイドはため息を吐いて着替えた後にベッドに潜り込んだ。
次の日も、容態は変わらなかった。
「カイド、大丈夫?食後にこれ飲んでね」
そう言って、キャルが持ってきたのは、紫だった。
グロイ色だが、最初に出会ったときに飲ませてくれた丸薬は紫だった気がする。
……案の定、苦かった。
苦さを我慢して飲み干すが、よくなった気配はない。
キャルはグランの脈を測ったりした後、うんうんと何度か頷いた。
「カイド、ごめんね。私、ちょっと欲しい薬草があって、取りに行ってくるから、午後に戻るね」
「一人で?」
カイドが驚くと、キャルは苦笑いで答える。
「これまではずっと一人だったから」
しかし、心配なのは変わらない。
カイドがキャルを見ていると、キャルはにっこりと笑う。
「作りたい薬があるの。大丈夫。無理はしないから」
そんなことを言うのだ。
今、作りたい薬と言えば、カイドに使うためのものだろう。
キャルが普段持っている薬草だけでは足りないなんて。自分はそんなに厄介な病気にかかってしまったのだろうか。
昼に戻ってきたキャルは、昼食と一緒にまた別の薬湯を持ってきた。
「お腹はすいてる?」
また、キャルがカイドの様子をあちこち見てから薬湯を渡してきた。
今度のは、苦くもなく飲みやすかった。
「よかった」
キャルがほっとしたように笑っていた。
しかし、その日の夜、カイドの様態は悪化した。
滝のように汗が吹き出し、お腹が痛くて下痢をしてしまった。
落ち着いてきていた熱もまた上がり、最初よりも悪くなってしまったような気がする。
「カイド、これ飲んで」
そう言って持ってきたのは、キャルがよく使う丸薬。――の、半分だけだった。
飲んだ途端、痛みが引いて、カイドは眠ることができた。
キャルがそっと顔をのぞかせた。
「あれ、起きてたの?」
カイドが目を開けているのを見て、キャルは驚いたようだった。
「今起きた。まだ、もう少し眠りたいけど」
自分の体が回復していないことが分かる。
ゆっくり寝たはずだが、背筋に寒気を感じる。
「そう?着替えもってくるから、もう少し待っててね」
そう言って、キャルは階下に降りて行った。
正直、着替えは有難かった。先ほどの薬湯で、カイドは汗をかいて、そのまま眠ってしまったのだ。それがじんわりと冷たくなってしまっている。
「カイド、もう一回薬ね」
着替えを持ってきたキャルの手には、もう一度湯飲みが握られていた。
今度はちょっと黄色だ。
どろりとしていて、飲みにくそうだ。
「ぐいっといっぺんに飲んじゃって」
なのに、キャルはそんなことを言う。
でも、心配そうに傍らで見られると、飲まないといけない。
カイドは意を決してその薬を喉へ流し込んだ。
……想像したほどではなかった。
しょうがとはちみつの味がする。どろりとしていて食感が良くないが、味的にはさっきのよりはましだ。
「どう?」
「さっきのよりは、まあ」
「これから辛くなるけど、頑張ってね」
「?……そうなのか?」
不思議そうなカイドに、キャルは嬉しそうに笑って着替えを差し出す。
「今着ているのは洗うから出してね」
そう言いながら、ベッドのわきに籠を置いて部屋を出て行った。
起き上がると、めまいがひどくなっている。
ぐわんぐわんとまわっているような気がして、そのせいで気分も悪くなってくる。
キャルの作る薬を飲んでいるというのに。
キャルの言うとおりに辛くなってきたが、これも治るまでの予兆なのだろう。
悪化しているような症状に、カイドはため息を吐いて着替えた後にベッドに潜り込んだ。
次の日も、容態は変わらなかった。
「カイド、大丈夫?食後にこれ飲んでね」
そう言って、キャルが持ってきたのは、紫だった。
グロイ色だが、最初に出会ったときに飲ませてくれた丸薬は紫だった気がする。
……案の定、苦かった。
苦さを我慢して飲み干すが、よくなった気配はない。
キャルはグランの脈を測ったりした後、うんうんと何度か頷いた。
「カイド、ごめんね。私、ちょっと欲しい薬草があって、取りに行ってくるから、午後に戻るね」
「一人で?」
カイドが驚くと、キャルは苦笑いで答える。
「これまではずっと一人だったから」
しかし、心配なのは変わらない。
カイドがキャルを見ていると、キャルはにっこりと笑う。
「作りたい薬があるの。大丈夫。無理はしないから」
そんなことを言うのだ。
今、作りたい薬と言えば、カイドに使うためのものだろう。
キャルが普段持っている薬草だけでは足りないなんて。自分はそんなに厄介な病気にかかってしまったのだろうか。
昼に戻ってきたキャルは、昼食と一緒にまた別の薬湯を持ってきた。
「お腹はすいてる?」
また、キャルがカイドの様子をあちこち見てから薬湯を渡してきた。
今度のは、苦くもなく飲みやすかった。
「よかった」
キャルがほっとしたように笑っていた。
しかし、その日の夜、カイドの様態は悪化した。
滝のように汗が吹き出し、お腹が痛くて下痢をしてしまった。
落ち着いてきていた熱もまた上がり、最初よりも悪くなってしまったような気がする。
「カイド、これ飲んで」
そう言って持ってきたのは、キャルがよく使う丸薬。――の、半分だけだった。
飲んだ途端、痛みが引いて、カイドは眠ることができた。
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