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番外編1 どっちが好き
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魔王城に来て数日。
ナナもリューも最初の慇懃無礼な態度が嘘のように優しく接してくれる。
サランダの命令のせいで、『魔物が嫌なら来るな』と誤解していただけで、本来は世話好きな二人のようだ。
私が困っていることはないかと、気遣ってくれる。
人間との常識をすり合わせながら、食事も準備してくれるし、とても快適な日々を過ごしていた。
そんなある日。
「お前は、人間の姿と、魔物の姿、どっちがいい?」
サランダが、大真面目な顔で聞いてきた。
私は、今日は老女バージョンのナナを見て、首をかしげる。
「どっちでもいいけど」
「どっちかあるだろ!?」
サランダは、今日は勇者バージョンだ。というか、あまり魔物の姿をとらない。人間の姿ではなくなるのは……夜、ベッドの中でくらいか。
「う~~ん……?あまり変わらな……あ、でも」
どちらかといえば?答えた方がいいのだろうかと悩んで……ふと、思い当たった。
「なんだ?」
「人間の姿の方がいいかも」
照れたように笑えば、ナナの驚く顔が横目に見えた。
応えても結局曖昧で、どちらでもいいに辿り着くと思っていたのだろう。
「そうか。――でも、この姿が怖いわけじゃないんだよな?」
サランダは息を吐いて、魔物の姿へと戻る。
明るい中で見るのは久々だ。
「あーー……うん」
「怖いのか?」
随分、しつこく聞いてくる。
私は頬が熱くなるのを感じながら、サランダから目をそらして答えた。
「怖いっていうより……あの、なんか、その……どきどきする」
「……どきどき?」
サランダのその姿を見ると、夜の情事を思い出してしまう。
こんな真昼間から思い出す私がおかしいのだろうか。サランダの痴態が、思い浮かんでしまうのだ。
「胸がきゅぅってなるっていうか、ちょっと息苦しくなっちゃったりすることもあるから、人間の姿の方がっ……ちょ、なに!?」
「お前が悪い」
理不尽なことを言われながら、寝室に運ばれた。
――って、なんで!?
どっちの姿の方がより好ましく思われているか知りたかっただけのサランダは、思わぬ収穫に、ほくほくと夕食時までしっかりと寝室に籠ったのであった。
ナナもリューも最初の慇懃無礼な態度が嘘のように優しく接してくれる。
サランダの命令のせいで、『魔物が嫌なら来るな』と誤解していただけで、本来は世話好きな二人のようだ。
私が困っていることはないかと、気遣ってくれる。
人間との常識をすり合わせながら、食事も準備してくれるし、とても快適な日々を過ごしていた。
そんなある日。
「お前は、人間の姿と、魔物の姿、どっちがいい?」
サランダが、大真面目な顔で聞いてきた。
私は、今日は老女バージョンのナナを見て、首をかしげる。
「どっちでもいいけど」
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サランダは、今日は勇者バージョンだ。というか、あまり魔物の姿をとらない。人間の姿ではなくなるのは……夜、ベッドの中でくらいか。
「う~~ん……?あまり変わらな……あ、でも」
どちらかといえば?答えた方がいいのだろうかと悩んで……ふと、思い当たった。
「なんだ?」
「人間の姿の方がいいかも」
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応えても結局曖昧で、どちらでもいいに辿り着くと思っていたのだろう。
「そうか。――でも、この姿が怖いわけじゃないんだよな?」
サランダは息を吐いて、魔物の姿へと戻る。
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「あーー……うん」
「怖いのか?」
随分、しつこく聞いてくる。
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「怖いっていうより……あの、なんか、その……どきどきする」
「……どきどき?」
サランダのその姿を見ると、夜の情事を思い出してしまう。
こんな真昼間から思い出す私がおかしいのだろうか。サランダの痴態が、思い浮かんでしまうのだ。
「胸がきゅぅってなるっていうか、ちょっと息苦しくなっちゃったりすることもあるから、人間の姿の方がっ……ちょ、なに!?」
「お前が悪い」
理不尽なことを言われながら、寝室に運ばれた。
――って、なんで!?
どっちの姿の方がより好ましく思われているか知りたかっただけのサランダは、思わぬ収穫に、ほくほくと夕食時までしっかりと寝室に籠ったのであった。
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