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本番※
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本番?
ぼんやりした頭で首をかしげるより先に、下腹部へぐっと圧迫感を感じた。それから、さらにこじあけるように、それが入り込んでくる。
「はっ……ひ、ん」
さっきまでの快感など吹き飛んで、息苦しさと痛みだけが襲ってくる。
「リンカ。息をしろ。俺を見て」
痛みに閉じてしまった目を開くと、目の前にはサランダがいた。
涙で曇った視界でも、いつもと変わらない切れ長の黒い眼がそこにある。
ああ、だけど、この表情はいつもと違う。
眉間に皺を刻んで、なのに眉尻を下げるなんて器用なこと顔をして、私を心配そうに見つめている。
「リンカ。愛している」
ゆっくりと舐めとるように、優しく私の唇の上を、彼の舌が這っていく。
もどかしいようなキスに、もう少し深いキスが欲しくなる。あごを上げてねだると、サランダは笑って口の端にキスをくれる。
そうじゃないと、彼の唇を追おうとしたところで――
「ひぅっ……!」
ずんっと一気に圧迫感の元が入り込んできた。
痛みで、一瞬気が遠くなるが、下半身の激しさとが嘘のように唇と手は優しく私の肌をなぞっていく。
だえど、圧迫感と痛みがひどい。内臓をぐっと押し上げられるような圧迫感とこじ開けられた痛みが涙を出させる。
「リンカ……悪い……もう少し、我慢してくれ!」
お腹の上に手を置かれて、そこが少しだけ温かくなる。
痛みが遠のいたような気がしてふっと体の力を抜くと、サランダが小刻みに動き始める。体をなぞっていた指は、胸から腰を通って陰核に辿り着く。
痛みで忘れていた快感が戻って来る。
「んっ……あ、んぅ」
痛いのに、気持ちいい。
気持ちよさを感じてしまうと、段々と……受け入れた先も不可思議な感覚をとらえ始める。
背筋がざわざわするような、何とも言えない感覚。
それが体の奥にある。直接陰核をいじられているから、しっかりと認識できる快感がざわざわする感覚を押しつぶして、私を高みに押し上げていく。
「リンカッ……!」
切羽詰まったような呼び声の後、サランダが震える。
そのまま私に覆いかぶさり、滅茶苦茶に唇をむさぼる。
胸が彼の逞しい体に押しつぶされて、押し付けられる体に中心もぐりぐりと刺激を与えられる。
「あ、や……サランダ」
サランダの息が荒い。悩まし気に眉を寄せてリンカを見つめるサランダは、こんな場合だというのに見惚れるほど格好いい。
余裕のない彼の姿が私を追い上げ、彼の指が、私を弾けさせた。
「んんんっ……!ゃあああんっ」
二度目の頭の中が真っ白になる感覚を最後に、私はそのまま意識を失った。
後からよくよく考えると、
――旅の終わった日にやらなくてもよかったんじゃないか?
なんていう文句が出てきたのは、仕方がないことのはずだ。
私はいつも朝が遅い。
付き人が起こしに来るまでは、惰眠をむさぼっている癖がついてしまった。
サランダと旅に出てからは、頑張って朝起きるようにしていたけれど。
自然と目が開いた。
目の前には、私を抱いて寝るサランダの姿。
頬の下がふわふわで気持ち良くて何かと思えば、サランダの首筋の毛だった。服を着ている間は分からなかったが、馬のたてがみのような毛が首筋を通って背中に真っ直ぐに生えていた。
この毛、さらさらふわふわで気持ちいい。
思わず首筋にすり寄ると、私を抱きしめる腕に力が入る。
「くすぐったい。やめてくれ」
くすくすとサランダが笑いながら目を開ける。
そうして、私と目が合うと、唇を合わせて「おはよう」と微笑んだ。
至近距離で、どこか甘い雰囲気を漂わせるサランダの笑みを見て、私は顔が熱くなる。
なんだか妙に甘ったるい空気を感じる。
その空気に慣れなくて、視線をさまよわせた先に、サランダの角が見えた。
くるんと丸まった黒い角。見た感じはつるんとしていて、どこか可愛らしいフォルムだ。
私は手を伸ばして、サランダの角をつついてみる。
サランダは私が何をする気なのか黙ってみていることにしたようだ。じっとしてくれている。
「これ、触ったら痛い?触っていい?」
もう一度つつきながら聞く。
「いいぞ。痛くはない。神経は通ってないと思うんだが。他の奴に触らせたことはないから分からんが」
他の人が触ったことが無いという言葉に、少しうれしくなる。
私は手を伸ばして……途中、裸であることに気が付いてシーツを巻きつつ……角に触れる。
黒い角は、見た目と違って、しっとりなめらかだった。
「へええ。すごいさらさらだあ」
「………………」
「え?痛い?」
「…………いや、ものすごく凶暴な気分になる」
「――えっ?なんで!?」
「なんでだろうなあ」
呑気に呟きながら、体の方向をひっくり返される。
昨夜と同じ仰向けにされて、その先にはサランダが笑顔を浮かべている。
「さ……サランダ、私は疲れたよ」
「大丈夫。リンカは何もしなくていい」
あ、止める気が無い。
私は上を見上げて、サランダの視線に捕らえられる。
疲れてる……ご飯も食べたいし。
そんなことが吹き飛ぶほどの甘い笑顔を向けられて、私は降参した。
サランダの甘い笑みになど、勝てるわけが無かったのだ。
ぼんやりした頭で首をかしげるより先に、下腹部へぐっと圧迫感を感じた。それから、さらにこじあけるように、それが入り込んでくる。
「はっ……ひ、ん」
さっきまでの快感など吹き飛んで、息苦しさと痛みだけが襲ってくる。
「リンカ。息をしろ。俺を見て」
痛みに閉じてしまった目を開くと、目の前にはサランダがいた。
涙で曇った視界でも、いつもと変わらない切れ長の黒い眼がそこにある。
ああ、だけど、この表情はいつもと違う。
眉間に皺を刻んで、なのに眉尻を下げるなんて器用なこと顔をして、私を心配そうに見つめている。
「リンカ。愛している」
ゆっくりと舐めとるように、優しく私の唇の上を、彼の舌が這っていく。
もどかしいようなキスに、もう少し深いキスが欲しくなる。あごを上げてねだると、サランダは笑って口の端にキスをくれる。
そうじゃないと、彼の唇を追おうとしたところで――
「ひぅっ……!」
ずんっと一気に圧迫感の元が入り込んできた。
痛みで、一瞬気が遠くなるが、下半身の激しさとが嘘のように唇と手は優しく私の肌をなぞっていく。
だえど、圧迫感と痛みがひどい。内臓をぐっと押し上げられるような圧迫感とこじ開けられた痛みが涙を出させる。
「リンカ……悪い……もう少し、我慢してくれ!」
お腹の上に手を置かれて、そこが少しだけ温かくなる。
痛みが遠のいたような気がしてふっと体の力を抜くと、サランダが小刻みに動き始める。体をなぞっていた指は、胸から腰を通って陰核に辿り着く。
痛みで忘れていた快感が戻って来る。
「んっ……あ、んぅ」
痛いのに、気持ちいい。
気持ちよさを感じてしまうと、段々と……受け入れた先も不可思議な感覚をとらえ始める。
背筋がざわざわするような、何とも言えない感覚。
それが体の奥にある。直接陰核をいじられているから、しっかりと認識できる快感がざわざわする感覚を押しつぶして、私を高みに押し上げていく。
「リンカッ……!」
切羽詰まったような呼び声の後、サランダが震える。
そのまま私に覆いかぶさり、滅茶苦茶に唇をむさぼる。
胸が彼の逞しい体に押しつぶされて、押し付けられる体に中心もぐりぐりと刺激を与えられる。
「あ、や……サランダ」
サランダの息が荒い。悩まし気に眉を寄せてリンカを見つめるサランダは、こんな場合だというのに見惚れるほど格好いい。
余裕のない彼の姿が私を追い上げ、彼の指が、私を弾けさせた。
「んんんっ……!ゃあああんっ」
二度目の頭の中が真っ白になる感覚を最後に、私はそのまま意識を失った。
後からよくよく考えると、
――旅の終わった日にやらなくてもよかったんじゃないか?
なんていう文句が出てきたのは、仕方がないことのはずだ。
私はいつも朝が遅い。
付き人が起こしに来るまでは、惰眠をむさぼっている癖がついてしまった。
サランダと旅に出てからは、頑張って朝起きるようにしていたけれど。
自然と目が開いた。
目の前には、私を抱いて寝るサランダの姿。
頬の下がふわふわで気持ち良くて何かと思えば、サランダの首筋の毛だった。服を着ている間は分からなかったが、馬のたてがみのような毛が首筋を通って背中に真っ直ぐに生えていた。
この毛、さらさらふわふわで気持ちいい。
思わず首筋にすり寄ると、私を抱きしめる腕に力が入る。
「くすぐったい。やめてくれ」
くすくすとサランダが笑いながら目を開ける。
そうして、私と目が合うと、唇を合わせて「おはよう」と微笑んだ。
至近距離で、どこか甘い雰囲気を漂わせるサランダの笑みを見て、私は顔が熱くなる。
なんだか妙に甘ったるい空気を感じる。
その空気に慣れなくて、視線をさまよわせた先に、サランダの角が見えた。
くるんと丸まった黒い角。見た感じはつるんとしていて、どこか可愛らしいフォルムだ。
私は手を伸ばして、サランダの角をつついてみる。
サランダは私が何をする気なのか黙ってみていることにしたようだ。じっとしてくれている。
「これ、触ったら痛い?触っていい?」
もう一度つつきながら聞く。
「いいぞ。痛くはない。神経は通ってないと思うんだが。他の奴に触らせたことはないから分からんが」
他の人が触ったことが無いという言葉に、少しうれしくなる。
私は手を伸ばして……途中、裸であることに気が付いてシーツを巻きつつ……角に触れる。
黒い角は、見た目と違って、しっとりなめらかだった。
「へええ。すごいさらさらだあ」
「………………」
「え?痛い?」
「…………いや、ものすごく凶暴な気分になる」
「――えっ?なんで!?」
「なんでだろうなあ」
呑気に呟きながら、体の方向をひっくり返される。
昨夜と同じ仰向けにされて、その先にはサランダが笑顔を浮かべている。
「さ……サランダ、私は疲れたよ」
「大丈夫。リンカは何もしなくていい」
あ、止める気が無い。
私は上を見上げて、サランダの視線に捕らえられる。
疲れてる……ご飯も食べたいし。
そんなことが吹き飛ぶほどの甘い笑顔を向けられて、私は降参した。
サランダの甘い笑みになど、勝てるわけが無かったのだ。
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