トゥートゥーツーツー

覇道たすく

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トゥートゥーツーツー!7、きょとん。

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 乾いた大地が聞き耳を立てているかのように静まっていた。
 タマゴと私とノウネムという存在だけが、気を発するように息をしていた。
 自分の息を呑み込みながら、私はノウネムの返答を待っていた。実際にはとても短い時間なのだろう。しかし、こういった緊張感のある間の時間の概念はいくらでも曲がっていく。1秒が数十分にもなり得るし、時が止まったりする。今は、時が止まっているだろう。

 『ザザザッ!・・・。』

 止まっていた時が、動き出す。

 『トゥートゥーツーツー!ご質問ありがとう、るり子さん。トゥートゥーツーツー。』
 『でもねぇ、その答えをわたっしは持ち合わせていないんだよねぇ。ツーツーツー。』

 はぐらかすつもりだろうか。

 「ノウネム!私は死んで、このあの世に来たのでしょう?あなたはその水先案内人!違うの?!」

 『・・・きょとん。ザザザッ!・・・。』

 きょとんて。

 『トゥートゥーツーツー!わたっしはるり子さんがいくとCHOICEをしたからここへ連れてきただけ。ツーツーツー。どうしたいとかは、ないねぇ。ツーツーツーツー。』

 名前が無いだけではなく、意志も無いと言うのか。ならなぜ私はここに居る?それならば、あのお婆さんにならって「もういい。」と言ってみようか。今度こそ本当に終わるのだろう。

 『これはわたっしの役目なの!ただただ、いくだけ!トゥートゥーツーツー!』

 なるほど。あのお婆さんは所々へいく中で独自にその意味を読み取って答えを出したのか。そうすると、私にはまだそれは感じられていない。ならば私の得たい答えを感じるためにはまだ各所をまわる必要があるか。・・・しかし。

 「ねぇノウネム。」

 『ザザザッ!はいはいなんでしょなんでしょ?』

 「私、あなたと会いたいわ。」

 あのお婆さんの意志が尊重され、反映されるのであれば私のこの意志も反映されるのではないか。ノウネムに面と向かって会えば、ノウネムがどういう存在であるかうかがい知れるはずだ。言葉は思いを伝えるのにはとっても不便なのだろう?話しているだけでは伝わらない。あなたを見て、感じて知りたい。・・・ノウネム。どうする?私はあなたの元へいきたいのよ?

 『ザザッ!・・・トゥートゥーツーツー!トゥートゥーツーツー!』




 『トゥートゥーツーツー!!!オーケィ!聞き届けました。トゥートゥートゥートゥー!!!!』

 なんと!

 『あっ、ちなみにるり子さんは死んではいないよ?だって死ぬ前にいくって言ってこちらへ来たじゃない。トゥートゥーツーツー!』

 なんと・・・?!

 そうノウネムが言うと、大きなタマゴと乾いた大地と驚いた私は全部まっ白なとてつもない光に包まれた。まっ白なモノとして、私たちはみんなまざって無くなってしまった。
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