398 / 425
【 滅び 】
滅びの足音
しおりを挟む
碧色の祝福に守られし栄光暦219年4月18日早朝。中央のビル街を、無数の号外が舞った。
しかし胸躍るものは誰もいない。それはまるで、世界の終わりを告げる宣告書。ある者は座り込み、またある者は天を仰ぐ。
北、東、そして南。全ての海岸線から魔族の侵攻が開始されたのだ。
世界は恐慌に包まれた。だがこれは、予期せぬ事ではない。十分に予知されていた事だ。
中でも、ティランド連合王国の動きは特に早かった。
この時のために用意された人馬騎兵隊が、海岸線各地の防衛に走る。陣地も構築され迎え撃つ準備は十分だ。
それに何より主力が健在。それも南方ムーオス自由帝国跡地に布陣していたことは大きかった。
この方面からやって来る魔族は、単純な数の問題ではない。ムーオス自由帝国という世界最大の国家を滅ぼした軍勢であるという名声が、何よりも問題だった。
もしここがあっさりと陥落していれば、人類に抵抗の余力は生まれなかっただろう。
「各地の状況はどうなっている」
コンセシール商国の小さなホテルを借り切り、そこに連合王国の臨時司令部が設けられていた。
未曽有の危機にも関わらず、カルター他、幕僚は皆落ち着いていた。戦闘国家が、戦いを前に慌ていては仕方がない。
だがそれ以上に皆の心を落ち着かせているのは、カルターという支柱の存在だ。
「18日深夜に多数の魔族が海岸線に出現、進行を開始しました」
「しかし予定通り各拠点の連携により撃退。未だに戦闘が継続している地点はありますが、全体としては安定しています」
「継続中の場所には随時援軍を出せ。人馬騎兵が良いか飛甲板が良いか……まあその辺はミューゼ、お前に任せる」
「了解いたしました」
ハキハキと返事をして下がる参謀長を見ながら、その自分自身が驚くほどカルタ―は落ち着いていた。
もし以前の自分なら、イライラして無駄に机にでも当たり散らしていただろう。
そうならなかったのは成長もあるが、部下の慧眼に感心していたからだ。忠臣の心強さに感服していたといっても良い。
特にその中でも、かつての大魔法使いにして現お茶くみ参謀のエンバリー・キャスタスマイゼンと、宰相のハーバレス・ラインツ・イーヴェル・ティランドの手腕には驚いていた。
エンバリーは言うまでもない。無駄な特攻を諫め、王として国家の為に尽くすという大前提を思い出させてくれた。あれが無ければ、王位継承のドタバタの内のこの状況となり、ティランド連合王国は何一つ出来ぬまま終わっていただろう。そしてそれは、人類の滅亡と置き換えても過言ではない。
何せ大陸の中央に位置する国だ。ここが落ちた時点で、他二国は海と内陸から攻められどうにもならなくなってしまう。
魔術師としてこの状況を予言していたとは思わない。だがそれ故に、やはり彼女を傍に置いたことは大正解だったと言えるだろう。
そしてまた宰相のハーバレス。こちらは目立った動きは無いが、それだけに驚くしかない。
魔族の襲来など誰にも予期できなかった。戦いは軍だけではない。民間人をどうするか、補給路をどうするか、未知の襲撃に対し的確に対応できる人間などそうはいない。
しかしハーバレスは、即時に兵站を確保し、補給路を通し、まるでその日・その場所に敵が来るかのように完璧な後方支援体制を整えた。
もしこの動きが無ければ、今頃各地に遊軍を出しながらもたもたとしている間に戦線は食い破られていただろう。
今や内務だけでなく、軍部でもハーバレス宰相の評価は上がる一方である。
カルターはどこかの宗教に傾倒しているという事は無いが、もし今の心境を表すのなら、この二人がいた事を神に感謝しているといっても良かっただろう。
そしてまた、そんなカルターの落ち着きこそが部下を的確に働かせる。
この王の元であれば、この窮地も挽回できる。その想いの連鎖が、連合王国をいつも以上に強大なものとしていた。
◇ ◇ ◇
東の大国、ジェルケンブール王国は、ティランド連合王国とは対照的に酷い有様であった。
こちらは完璧な準備を整えていた。領内に残る魔族領はぐるりと囲み、祭壇が設けられ帰投が続けられていた。
当然目立たぬように軍隊も配備されている。
この国は、古くから宗教を通じて魔族と良い関係を結んでいた。それは魔族もそうだが、そこに住む魔人との関係といっても良いだろう。彼らは人間を好み、共存していたのだ。
だが、魔王の頼みは絶対だ。そう、これは命令ではなかった。
ただ頭を下げ、頼まれたのだ。これからの為に、これまでを壊してくれと。
人々が囲んでいた領域から、そして海岸から、一斉に魔族が現れる。
あってはならない絶望。今まで信じてきた、信仰という名の常識の破壊。
それは広大な領地全てに伝播し、もはや何一つ手を打つことが出来ず蹂躙されていった。
◇ ◇ ◇
北の大国ハルタール。
この国を収めるオスピア・アイラ・バドキネフ・ハルタールは、中央の執務室で食事をしている最中であった。
卵焼きとハムを挟んだ丸パンを油で揚げ、切り分けただけの簡単な郷土料理だ。
配下達はあたふたと連絡を取りながら大量の書類を用意しているが、内容は分かっている。
北の極地、それに東西の短い海岸線から魔族が侵入してきたのだ。
しかしハルタール帝国は、地形的にも人口比的にも、中央や東に比べて余裕がある。
また海岸からの侵攻は十分に予測されていた事だ。防備も十分に整えられており、東のジェルケンブールが陥落したとしても、その境界には要塞陣地が整備されている。
かのジェルケンブールが攻略を断念したほどだ。魔族の侵攻にも、そう容易くは屈しないだろう。
中央のティランド連合王国が滅びない限り、北のハルタール帝国は安全なのである。
それに何より、女帝オスピアはこの事を知っていたのだ。
無表情で黙々と食事をする女帝の考えは、誰にも読むことが出来ない。たとえ魔人であってもだ。
だがこの時、オスピアは確かに楽しんでいた。
そして、魔王の行く末に希望がある事を祈っていた。
◇ ◇ ◇
碧色の祝福に守られし栄光暦219年6月12日。
世界中が魔族に襲われた運命の日から32日後、白き苔の領域南方を飛甲騎兵が飛行していた。
最も近い門はラキッドの門だが、そこは既に魔族によって占領されている。浮遊城は墜ち、生存者もいないだろう。
この飛甲騎兵は、ラキッドの門と北のアイオネアの門、双方のほぼ中央の壁を撤去し、臨時で通行可能にした穴から飛来した騎体だ。
南方を失った人類にとって、ここが最前線となっていたのだった。
その飛甲騎兵が、前方に大きな影を発見した。
「ば、馬鹿な――……」
その威容を前に、飛甲騎士は言葉を失った。だがすぐに正気に戻り、騎体をUターンさせると同時に通信を行った。
「緊急事態だ! 巨大な飛行物体を発見。大きさは推定300メートル以上。あれは浮遊城! 見た事は無いが、間違いなく浮遊城だ!」
全高140メートル。全長260メートル。全幅350メートル。全体のフォルムは潰したような菱形だ。
表面は赤黒く、所々に毛も見える。外見上は、まるで生物の皮膚の様だ。
そこには苔やキノコ、蔓草が生え、虫が集まり、それを求めて小動物、更には蛇などの捕食動物。そして周囲には2メートルクラスの首の長い鳥が数千羽、ギャアギャアと耳障りな声を上げて飛んでいた。
それはもう、一つの生態系といっても良いだろう。
菱の輪郭を強調するかのように発光機関があり、そこは青白い光を放つ。
上部の先端には広い部屋が設けてあり、中央には黄金の玉座が設置されていた。
キラキラとした宝石がちりばめられ、かつて魔王の居城にあったものとよく似ている。
そこに座る一人の男。それは当然ながら、魔王相和義輝であった。
「似たものがムーオスにあったかな。魔王のお気に入り? ちゃんと運んできたよ」
「いや、これ俺の趣味じゃないし」
この時の為にエヴィアが用意してくれた黄金の玉座。本物は炎と石獣の領域に沈んでしまったが、わざわざ似た物を探してきてくれたのだ。
懐かしさを感じ目頭が熱くなったが、それは気を使ってくれたエヴィアに対してだ。この椅子その物は硬くて座りにくい。
まあ、もう硬いだのという感覚は無いのだが。
「それよりも、人間の飛甲騎兵が飛んでいきまーしたね。予定通りですかー? フフフ」
「まだちょっとイントネーションがおかしいぞ」
「これは個性でーすね」
そう言いながら大きな乳房を持ち上げるように腕を組み、白い歯と牙を見せて笑う。魔人テラーネだ。
相変わらずビキニの上下に軍用ベルトというマニアックな姿だが、女性的なものが一切感じられない。中身がゲルニッヒそのものだからであろうか?
まあ人間の飛甲騎兵に見つかったのは僥倖だろう。飛び始めてからもう十日。このまま見つけてもらえなかったら寂しい話だ。
もっとも、どちらにせよ近日中には見つかっていただろう。目的地は、人間の世界なのだから。
「これが最後になるの?」
肩から小さな声がする。魔人テルティルトだ。
あれから予想通り、この魔人は再びテルティルトとなった。だがやはり別人だ。テルティルト二世と呼んだ方が良いのかもしれない。だが、名前はあくまでテルティルトなのだ。
ウラーザムザザは、結局発見できなかった。もしかしたら小さな欠片になって何処かで種として残っているかもしれないとは聞いているが、まあ気休めだろう。俺は約束を守れなかった……。
本当に、こいつが残っていてくれて良かったと思う。
まだ上手に服に変身できないため、尺取虫の形で肩に張り付いている。
そんな訳なので、俺は今玉座でマッパ。もう慣れたよ。
「ねえ、そろそろ服くらい着てよ!」
後ろからユニカの怒った声が飛んでくる。はい、その通りです。
なんかもう、自分で着るって感覚が無くなっていたよ……。
しかし胸躍るものは誰もいない。それはまるで、世界の終わりを告げる宣告書。ある者は座り込み、またある者は天を仰ぐ。
北、東、そして南。全ての海岸線から魔族の侵攻が開始されたのだ。
世界は恐慌に包まれた。だがこれは、予期せぬ事ではない。十分に予知されていた事だ。
中でも、ティランド連合王国の動きは特に早かった。
この時のために用意された人馬騎兵隊が、海岸線各地の防衛に走る。陣地も構築され迎え撃つ準備は十分だ。
それに何より主力が健在。それも南方ムーオス自由帝国跡地に布陣していたことは大きかった。
この方面からやって来る魔族は、単純な数の問題ではない。ムーオス自由帝国という世界最大の国家を滅ぼした軍勢であるという名声が、何よりも問題だった。
もしここがあっさりと陥落していれば、人類に抵抗の余力は生まれなかっただろう。
「各地の状況はどうなっている」
コンセシール商国の小さなホテルを借り切り、そこに連合王国の臨時司令部が設けられていた。
未曽有の危機にも関わらず、カルター他、幕僚は皆落ち着いていた。戦闘国家が、戦いを前に慌ていては仕方がない。
だがそれ以上に皆の心を落ち着かせているのは、カルターという支柱の存在だ。
「18日深夜に多数の魔族が海岸線に出現、進行を開始しました」
「しかし予定通り各拠点の連携により撃退。未だに戦闘が継続している地点はありますが、全体としては安定しています」
「継続中の場所には随時援軍を出せ。人馬騎兵が良いか飛甲板が良いか……まあその辺はミューゼ、お前に任せる」
「了解いたしました」
ハキハキと返事をして下がる参謀長を見ながら、その自分自身が驚くほどカルタ―は落ち着いていた。
もし以前の自分なら、イライラして無駄に机にでも当たり散らしていただろう。
そうならなかったのは成長もあるが、部下の慧眼に感心していたからだ。忠臣の心強さに感服していたといっても良い。
特にその中でも、かつての大魔法使いにして現お茶くみ参謀のエンバリー・キャスタスマイゼンと、宰相のハーバレス・ラインツ・イーヴェル・ティランドの手腕には驚いていた。
エンバリーは言うまでもない。無駄な特攻を諫め、王として国家の為に尽くすという大前提を思い出させてくれた。あれが無ければ、王位継承のドタバタの内のこの状況となり、ティランド連合王国は何一つ出来ぬまま終わっていただろう。そしてそれは、人類の滅亡と置き換えても過言ではない。
何せ大陸の中央に位置する国だ。ここが落ちた時点で、他二国は海と内陸から攻められどうにもならなくなってしまう。
魔術師としてこの状況を予言していたとは思わない。だがそれ故に、やはり彼女を傍に置いたことは大正解だったと言えるだろう。
そしてまた宰相のハーバレス。こちらは目立った動きは無いが、それだけに驚くしかない。
魔族の襲来など誰にも予期できなかった。戦いは軍だけではない。民間人をどうするか、補給路をどうするか、未知の襲撃に対し的確に対応できる人間などそうはいない。
しかしハーバレスは、即時に兵站を確保し、補給路を通し、まるでその日・その場所に敵が来るかのように完璧な後方支援体制を整えた。
もしこの動きが無ければ、今頃各地に遊軍を出しながらもたもたとしている間に戦線は食い破られていただろう。
今や内務だけでなく、軍部でもハーバレス宰相の評価は上がる一方である。
カルターはどこかの宗教に傾倒しているという事は無いが、もし今の心境を表すのなら、この二人がいた事を神に感謝しているといっても良かっただろう。
そしてまた、そんなカルターの落ち着きこそが部下を的確に働かせる。
この王の元であれば、この窮地も挽回できる。その想いの連鎖が、連合王国をいつも以上に強大なものとしていた。
◇ ◇ ◇
東の大国、ジェルケンブール王国は、ティランド連合王国とは対照的に酷い有様であった。
こちらは完璧な準備を整えていた。領内に残る魔族領はぐるりと囲み、祭壇が設けられ帰投が続けられていた。
当然目立たぬように軍隊も配備されている。
この国は、古くから宗教を通じて魔族と良い関係を結んでいた。それは魔族もそうだが、そこに住む魔人との関係といっても良いだろう。彼らは人間を好み、共存していたのだ。
だが、魔王の頼みは絶対だ。そう、これは命令ではなかった。
ただ頭を下げ、頼まれたのだ。これからの為に、これまでを壊してくれと。
人々が囲んでいた領域から、そして海岸から、一斉に魔族が現れる。
あってはならない絶望。今まで信じてきた、信仰という名の常識の破壊。
それは広大な領地全てに伝播し、もはや何一つ手を打つことが出来ず蹂躙されていった。
◇ ◇ ◇
北の大国ハルタール。
この国を収めるオスピア・アイラ・バドキネフ・ハルタールは、中央の執務室で食事をしている最中であった。
卵焼きとハムを挟んだ丸パンを油で揚げ、切り分けただけの簡単な郷土料理だ。
配下達はあたふたと連絡を取りながら大量の書類を用意しているが、内容は分かっている。
北の極地、それに東西の短い海岸線から魔族が侵入してきたのだ。
しかしハルタール帝国は、地形的にも人口比的にも、中央や東に比べて余裕がある。
また海岸からの侵攻は十分に予測されていた事だ。防備も十分に整えられており、東のジェルケンブールが陥落したとしても、その境界には要塞陣地が整備されている。
かのジェルケンブールが攻略を断念したほどだ。魔族の侵攻にも、そう容易くは屈しないだろう。
中央のティランド連合王国が滅びない限り、北のハルタール帝国は安全なのである。
それに何より、女帝オスピアはこの事を知っていたのだ。
無表情で黙々と食事をする女帝の考えは、誰にも読むことが出来ない。たとえ魔人であってもだ。
だがこの時、オスピアは確かに楽しんでいた。
そして、魔王の行く末に希望がある事を祈っていた。
◇ ◇ ◇
碧色の祝福に守られし栄光暦219年6月12日。
世界中が魔族に襲われた運命の日から32日後、白き苔の領域南方を飛甲騎兵が飛行していた。
最も近い門はラキッドの門だが、そこは既に魔族によって占領されている。浮遊城は墜ち、生存者もいないだろう。
この飛甲騎兵は、ラキッドの門と北のアイオネアの門、双方のほぼ中央の壁を撤去し、臨時で通行可能にした穴から飛来した騎体だ。
南方を失った人類にとって、ここが最前線となっていたのだった。
その飛甲騎兵が、前方に大きな影を発見した。
「ば、馬鹿な――……」
その威容を前に、飛甲騎士は言葉を失った。だがすぐに正気に戻り、騎体をUターンさせると同時に通信を行った。
「緊急事態だ! 巨大な飛行物体を発見。大きさは推定300メートル以上。あれは浮遊城! 見た事は無いが、間違いなく浮遊城だ!」
全高140メートル。全長260メートル。全幅350メートル。全体のフォルムは潰したような菱形だ。
表面は赤黒く、所々に毛も見える。外見上は、まるで生物の皮膚の様だ。
そこには苔やキノコ、蔓草が生え、虫が集まり、それを求めて小動物、更には蛇などの捕食動物。そして周囲には2メートルクラスの首の長い鳥が数千羽、ギャアギャアと耳障りな声を上げて飛んでいた。
それはもう、一つの生態系といっても良いだろう。
菱の輪郭を強調するかのように発光機関があり、そこは青白い光を放つ。
上部の先端には広い部屋が設けてあり、中央には黄金の玉座が設置されていた。
キラキラとした宝石がちりばめられ、かつて魔王の居城にあったものとよく似ている。
そこに座る一人の男。それは当然ながら、魔王相和義輝であった。
「似たものがムーオスにあったかな。魔王のお気に入り? ちゃんと運んできたよ」
「いや、これ俺の趣味じゃないし」
この時の為にエヴィアが用意してくれた黄金の玉座。本物は炎と石獣の領域に沈んでしまったが、わざわざ似た物を探してきてくれたのだ。
懐かしさを感じ目頭が熱くなったが、それは気を使ってくれたエヴィアに対してだ。この椅子その物は硬くて座りにくい。
まあ、もう硬いだのという感覚は無いのだが。
「それよりも、人間の飛甲騎兵が飛んでいきまーしたね。予定通りですかー? フフフ」
「まだちょっとイントネーションがおかしいぞ」
「これは個性でーすね」
そう言いながら大きな乳房を持ち上げるように腕を組み、白い歯と牙を見せて笑う。魔人テラーネだ。
相変わらずビキニの上下に軍用ベルトというマニアックな姿だが、女性的なものが一切感じられない。中身がゲルニッヒそのものだからであろうか?
まあ人間の飛甲騎兵に見つかったのは僥倖だろう。飛び始めてからもう十日。このまま見つけてもらえなかったら寂しい話だ。
もっとも、どちらにせよ近日中には見つかっていただろう。目的地は、人間の世界なのだから。
「これが最後になるの?」
肩から小さな声がする。魔人テルティルトだ。
あれから予想通り、この魔人は再びテルティルトとなった。だがやはり別人だ。テルティルト二世と呼んだ方が良いのかもしれない。だが、名前はあくまでテルティルトなのだ。
ウラーザムザザは、結局発見できなかった。もしかしたら小さな欠片になって何処かで種として残っているかもしれないとは聞いているが、まあ気休めだろう。俺は約束を守れなかった……。
本当に、こいつが残っていてくれて良かったと思う。
まだ上手に服に変身できないため、尺取虫の形で肩に張り付いている。
そんな訳なので、俺は今玉座でマッパ。もう慣れたよ。
「ねえ、そろそろ服くらい着てよ!」
後ろからユニカの怒った声が飛んでくる。はい、その通りです。
なんかもう、自分で着るって感覚が無くなっていたよ……。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる