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【 王子との婚約は多くの国民に祝福された 】
いよいよ王子登場
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今の所は本気で実行しようとは思っていないけど、まだ完全には信じ切っていないのよね。
そこは今後なんとかしていこうと思う。
大丈夫。オーキスの忠誠心は、クラウシェラが思っているよりもずっと強いから。
そんな事がありつつも彼女のお城での生活が始まったわけだけど、最初の内は体調不良という事でお屋敷と同じ生活が始まった。
いつもの礼儀作法や学習、様々な教養を叩きこまれるアレね。
でも次第に体に肉がついて女性らしくなってくると、ドレスを着て社交界に出る事も多くなった。
ただそちらに関しては、あまりクラウシェラは興味ないって感じね。
でも大切なお務めだとも感じているわ。
この頃になると、公爵も戦場から戻って来ていて、彼女の興味はもっぱらそちら。
ただ反乱は鎮圧。協力した町の有力者は全員処刑。だけど首謀者は不明のまま。
……というのがゲームでの過去話。でも少し違う。
やっぱりあたしが来た事で、色々と変化が起きている。
大きな流れは同じだたけど、まだ処刑されていなかった町の有力者は追放したから生きているのよね。もちろん監視付き。
それに首謀者はたしか元アゾール王国の将軍で、戦乱の中で敗死したとなってる。
これも違う。今回の首謀者は不明のまま。
過去話だからと設定の中に押し込んでいたけど、こうして実体験すると納得できないわ。あまりにも理不尽よ!
でもだからと言って、今は何が出来るわけじゃないけど。それはクラウシェラも同じ。
今は大人しい淑女の仮面を被っているって訳。
因みにホールの事はただの火災として片づけられた。権力って怖いわー。
槌のトゼルバッシュは発見されたけどお咎めなし。
彼はまだ神託によって選ばれた5行武典であって、道を踏み外してはいない。
だから教徒であるこの人達にとって手は出せないって訳。
因みに奪われた槌だけど、数回使ったら壊れたから捨てたって。
実際に証言の位置にぶっ壊れた状態っで落ちていたって言うから、さすがと言うべきなのかしら。
とにかく、こうして多少不完全燃焼を残しながらあの事件は終結した。
かくして日常が始まったわけだけど、主にやるのはホールでのダンスパーティーね。
彼女ももう14歳。というかあたしの考えだとまだ14歳なのだけど、そろそろ婚約者を見つける頃なのよね。
大切なお務めって言うのはこの事。
もちろん踊る事がじゃないわ。彼女はこの後結婚し、子を成さなければならない。
好きかどうかは関係ない。大切なのは権力と能力なのね。
エルダーブルグ公爵にはクラウシェラ以外に子供がいない。
だから彼女が誰の子をどう産むかで、今後の公爵領の未来が決まる。
だからかな、クラウシェラはこのお務めに何の疑問も持っていない。
するべき責務……それ以外に何もないわ。
だからほぼ毎晩のように、夕食後はダンスパーティーが開かれる。
当然ながら、ここで決まるのは彼女だけじゃない。近隣の貴族や騎士候の息女たちも、未来のお婿さんを見極めるために盛大に参加するって訳。
世界設定を中世に合わせているからだけど、女性には選択権が無いのよねー。
実際、ゲームが始まった時には彼女は15歳。その時点で、もう既に婚約者がいた。
まあ100パーセント破棄されるのだけどね。
そうなの。彼女はこれから冷酷非道な覇道へと歩み始める。完璧な悪役として。
でもヒロインがらみのイベントが発生して、必ず婚約は破棄される。
それはゲームが始まった時点でもう決まっているのよね。
そこからがいよいよ静かな対決が始まる。
ヒロインが選択をミスる度に、攻略対象が何らかの処断をされるわけよ。
良くて国外追放。悪ければ一家全員晒し首ね。
おそらくここまでえげつない乙女ゲームは無いと思うけど、それもまた魅力だったわ。
推しの喪失感という意味では、世にいうネトラレってやつ? まあ知らないけど。
ただ普通の乙女ゲーが大好きな人なら、攻略対象の首が城門に晒されたら発狂ものよ。
SNSはもちろん、会社にも相当な抗議のメールや電話が送られたらしいわ。
でも人って慣れるもので、そういったゲームだと理解されると今度は奥深さが話題になった。
もちろん難しいけど、主要メンバー全員生存の完全なハッピーエンドもある。クラウシェラ以外はだけど。
ある意味、死にゲーね。死ぬのは自分じゃなくて攻略対象だけど。
そんな訳で、最初の非難はともかく徐々に神ゲーとして有名になって行った訳よ。
話が脱線しちゃったけど、あ、そろそろ。
「王子様よ!」
「ああ、マルクス王子!」
「今日も何て素敵なのかしら」
まるでモーゼが通るかのように、人が道を開けていく。
話しかけるのも恐れ多いという感じだ。
マルクス・フレンゼル・カーヴァ・クリーアラント。この国の第1王子。
見るからに高価そうな衣装を身にまとった肉体は、かなり鍛えられていることがその上からでも分かる。
王子たるもの、武芸全般は当然のたしなみだもの。
背は高い。180センチくらいだろうか。美しい黄金の髪。紺色の瞳。まるで彫刻のように美しい顔と均整の取れた体格。
ダンスパーティーなのにただ一人帯剣しているのは王子の特権ね。
宝飾細工が素晴らしい鞘はこの会場にあっても全く違和感がない。
でも中身は至上の宝剣。あれで何度クラウシェラを斬ったかしら。
まさに攻略対象にふさわしいわ。
当然、次期国王。そしてなにより、
「お久しぶりだね、クラウシェラ・ローエス・エルダーブルグ公女」
「こちらこそお久しぶりでございます。1週間ぶりほどでございましたでしょうか、マルクス王子様」
非の打ちどころのない完璧な礼儀作法。まあ外見上はだけどね。
内面はまあ、やっぱり煮えたぎる鍋のよう。
中身は当然、どう利用してやろうかという思考が山積みの書類のようになっている。
読むだけで大変な作業だわ。
この後に、彼女は彼と婚約する事になる。
もちろん他の攻略対象も最初から知り合うのだから何処かで登場するのだけど、もう王子に決まる事は確定済み。
初期設定だものね。
ただ王族と結婚する事は結構大変。
第1王子は無条件で王家を継ぐことになる。
つまり、公爵領に男子の跡継ぎを残るには、男の子を2人産まなくっちゃならない訳。
それでも病弱であったり能力面で不安があれば大変だわ。
予備……というとあたしのいた時代では不謹慎だけど、この世界では絶対に必要。
でも女の子だって産まれるし、こればっかりは努力でどうにかなるものじゃない。
そんな訳で、王子は婚約しながらも他の女性にもちょっかいを出すのよね。
厄介な事というか、ゲームの都合上、その中にヒロインも含まれる。
物語はそこから始まるわけよ。
当然だけど、第1夫人の産んだ男の子が王家を継ぐのだけど、もし他の女性が先に男子を生んだらそちらが王家を継ぐ。
クラウシェラの負担は減るけど、これって結構複雑な立場になるのよね。
ゲーム中の彼女は最初からヒロインに対する当たりが強かったけど、そういったのもあるのかなー。
というか、今は必ず婚約が破棄される事を知っているのだから大問題。
しかもそのきっかけとなるヒロインだけど、必ずしも王子と結ばれるわけじゃないって所が今となっては悲哀を誘うわね。
そこは今後なんとかしていこうと思う。
大丈夫。オーキスの忠誠心は、クラウシェラが思っているよりもずっと強いから。
そんな事がありつつも彼女のお城での生活が始まったわけだけど、最初の内は体調不良という事でお屋敷と同じ生活が始まった。
いつもの礼儀作法や学習、様々な教養を叩きこまれるアレね。
でも次第に体に肉がついて女性らしくなってくると、ドレスを着て社交界に出る事も多くなった。
ただそちらに関しては、あまりクラウシェラは興味ないって感じね。
でも大切なお務めだとも感じているわ。
この頃になると、公爵も戦場から戻って来ていて、彼女の興味はもっぱらそちら。
ただ反乱は鎮圧。協力した町の有力者は全員処刑。だけど首謀者は不明のまま。
……というのがゲームでの過去話。でも少し違う。
やっぱりあたしが来た事で、色々と変化が起きている。
大きな流れは同じだたけど、まだ処刑されていなかった町の有力者は追放したから生きているのよね。もちろん監視付き。
それに首謀者はたしか元アゾール王国の将軍で、戦乱の中で敗死したとなってる。
これも違う。今回の首謀者は不明のまま。
過去話だからと設定の中に押し込んでいたけど、こうして実体験すると納得できないわ。あまりにも理不尽よ!
でもだからと言って、今は何が出来るわけじゃないけど。それはクラウシェラも同じ。
今は大人しい淑女の仮面を被っているって訳。
因みにホールの事はただの火災として片づけられた。権力って怖いわー。
槌のトゼルバッシュは発見されたけどお咎めなし。
彼はまだ神託によって選ばれた5行武典であって、道を踏み外してはいない。
だから教徒であるこの人達にとって手は出せないって訳。
因みに奪われた槌だけど、数回使ったら壊れたから捨てたって。
実際に証言の位置にぶっ壊れた状態っで落ちていたって言うから、さすがと言うべきなのかしら。
とにかく、こうして多少不完全燃焼を残しながらあの事件は終結した。
かくして日常が始まったわけだけど、主にやるのはホールでのダンスパーティーね。
彼女ももう14歳。というかあたしの考えだとまだ14歳なのだけど、そろそろ婚約者を見つける頃なのよね。
大切なお務めって言うのはこの事。
もちろん踊る事がじゃないわ。彼女はこの後結婚し、子を成さなければならない。
好きかどうかは関係ない。大切なのは権力と能力なのね。
エルダーブルグ公爵にはクラウシェラ以外に子供がいない。
だから彼女が誰の子をどう産むかで、今後の公爵領の未来が決まる。
だからかな、クラウシェラはこのお務めに何の疑問も持っていない。
するべき責務……それ以外に何もないわ。
だからほぼ毎晩のように、夕食後はダンスパーティーが開かれる。
当然ながら、ここで決まるのは彼女だけじゃない。近隣の貴族や騎士候の息女たちも、未来のお婿さんを見極めるために盛大に参加するって訳。
世界設定を中世に合わせているからだけど、女性には選択権が無いのよねー。
実際、ゲームが始まった時には彼女は15歳。その時点で、もう既に婚約者がいた。
まあ100パーセント破棄されるのだけどね。
そうなの。彼女はこれから冷酷非道な覇道へと歩み始める。完璧な悪役として。
でもヒロインがらみのイベントが発生して、必ず婚約は破棄される。
それはゲームが始まった時点でもう決まっているのよね。
そこからがいよいよ静かな対決が始まる。
ヒロインが選択をミスる度に、攻略対象が何らかの処断をされるわけよ。
良くて国外追放。悪ければ一家全員晒し首ね。
おそらくここまでえげつない乙女ゲームは無いと思うけど、それもまた魅力だったわ。
推しの喪失感という意味では、世にいうネトラレってやつ? まあ知らないけど。
ただ普通の乙女ゲーが大好きな人なら、攻略対象の首が城門に晒されたら発狂ものよ。
SNSはもちろん、会社にも相当な抗議のメールや電話が送られたらしいわ。
でも人って慣れるもので、そういったゲームだと理解されると今度は奥深さが話題になった。
もちろん難しいけど、主要メンバー全員生存の完全なハッピーエンドもある。クラウシェラ以外はだけど。
ある意味、死にゲーね。死ぬのは自分じゃなくて攻略対象だけど。
そんな訳で、最初の非難はともかく徐々に神ゲーとして有名になって行った訳よ。
話が脱線しちゃったけど、あ、そろそろ。
「王子様よ!」
「ああ、マルクス王子!」
「今日も何て素敵なのかしら」
まるでモーゼが通るかのように、人が道を開けていく。
話しかけるのも恐れ多いという感じだ。
マルクス・フレンゼル・カーヴァ・クリーアラント。この国の第1王子。
見るからに高価そうな衣装を身にまとった肉体は、かなり鍛えられていることがその上からでも分かる。
王子たるもの、武芸全般は当然のたしなみだもの。
背は高い。180センチくらいだろうか。美しい黄金の髪。紺色の瞳。まるで彫刻のように美しい顔と均整の取れた体格。
ダンスパーティーなのにただ一人帯剣しているのは王子の特権ね。
宝飾細工が素晴らしい鞘はこの会場にあっても全く違和感がない。
でも中身は至上の宝剣。あれで何度クラウシェラを斬ったかしら。
まさに攻略対象にふさわしいわ。
当然、次期国王。そしてなにより、
「お久しぶりだね、クラウシェラ・ローエス・エルダーブルグ公女」
「こちらこそお久しぶりでございます。1週間ぶりほどでございましたでしょうか、マルクス王子様」
非の打ちどころのない完璧な礼儀作法。まあ外見上はだけどね。
内面はまあ、やっぱり煮えたぎる鍋のよう。
中身は当然、どう利用してやろうかという思考が山積みの書類のようになっている。
読むだけで大変な作業だわ。
この後に、彼女は彼と婚約する事になる。
もちろん他の攻略対象も最初から知り合うのだから何処かで登場するのだけど、もう王子に決まる事は確定済み。
初期設定だものね。
ただ王族と結婚する事は結構大変。
第1王子は無条件で王家を継ぐことになる。
つまり、公爵領に男子の跡継ぎを残るには、男の子を2人産まなくっちゃならない訳。
それでも病弱であったり能力面で不安があれば大変だわ。
予備……というとあたしのいた時代では不謹慎だけど、この世界では絶対に必要。
でも女の子だって産まれるし、こればっかりは努力でどうにかなるものじゃない。
そんな訳で、王子は婚約しながらも他の女性にもちょっかいを出すのよね。
厄介な事というか、ゲームの都合上、その中にヒロインも含まれる。
物語はそこから始まるわけよ。
当然だけど、第1夫人の産んだ男の子が王家を継ぐのだけど、もし他の女性が先に男子を生んだらそちらが王家を継ぐ。
クラウシェラの負担は減るけど、これって結構複雑な立場になるのよね。
ゲーム中の彼女は最初からヒロインに対する当たりが強かったけど、そういったのもあるのかなー。
というか、今は必ず婚約が破棄される事を知っているのだから大問題。
しかもそのきっかけとなるヒロインだけど、必ずしも王子と結ばれるわけじゃないって所が今となっては悲哀を誘うわね。
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