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エピローグ
エピローグ 4
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「そう言えばさ、守草くんに彼女ができてたって話、聞いてる?」
「はぁ!?」
正に寝耳に水以外の何物でもない情報をいきなりぶち込まれ、俺は店内であることも忘れて馬鹿みたいに大きな
声を上げて立ち止まってしまった。
「いや、ちょっと星咲さん。そういう話はここでしなくてもいいでしょ」
守草も、恥ずかしそうに顔を赤くしながら、慌てたように周囲と俺を見比べ妃夏を非難する。
「は……ちょ、おま……え? マジで? 彼女いんの?」
真横に立つ守草へ向き直り指を差しながら、俺は信じられない気持ちと何故か裏切られたような気持ちを混ぜ合わせた気分になりつつ、真偽を確かめようと問いかける。
「ん……いや、まぁ、うん。今年の春にね、中途採用で入ってきた子なんだけど……先月の頭くらいから、交際を……」
「このぉ……」
「いや、ごめん。別に隠してたとかってわけじゃないよ? 言うタイミングがなかったっていうか、才樹はこういう話されるの嫌かなって思ったりもしたりして……」
「思いっきり気ぃ遣ってんじゃねぇかよ! くそぉ……何だこのモヤモヤした感情は? ぶっちゃけかなりショックだけど、おめでとう!」
友人が先に恋人を作るというシチュエーションが、こんなにも精神的ダメージを与えてくるとは。
想定していなかった事態に戸惑いを膨らませつつも、これも一つの経験が詰めたと無理矢理割り切り、俺はどうにかお祝いの言葉をかけることができた。
「ありがとう。やっぱり、こういうのって照れ臭いね。駄目だなぁ、おれは苦手かも」
俺の祝いの言葉に素直な反応を見せる守草は、はにかむように笑いながら落ち着かなさそうにソワソワと腕を動かす。
「才樹は、そろそろ良い人見つけたりしてないの?」
にゅっと下から覗き込むような動きで俺の顔を見上げ、妃夏がニヤニヤとしながらそんな問いかけを割り込ませてきた。
「あ? してねぇよ。いい年してバイト生活してるような男の所に、そんな奇特な女性が現れると思うか? 今はまだ、自分のことだけで精一杯だよ」
からかわれていることを察して半眼で呻く俺の返答に、妃夏は更ににんまりと笑みを強める。
「……何だよ?」
まさか、こいつまで彼氏ができたとか言うんじゃないだろうなと、不安が胸中に膨らむ。
そんな俺を二秒ほどジッと見つめてから、妃夏は
「……そっか。安心して良いよ。あたしもまだいないから」
と、妙に優しい口調で告げてきた。
「何なんだよお前は。……つーか、それずっと前にも俺に言ったことなかったっけか?」
「さぁ? 気のせいじゃないんじゃない?」
「言ったのか?」
絶妙な既視感に苛まれる俺を更に困惑させて楽しむ妃夏は、面白そうに笑いながら一人歩みを再開する。
「……ずっと思ってたことだけど、どうして才樹と星咲さんって付き合わないの? 高校時代、泉さんも不思議がってたよ。お似合いなのにって」
そんな妃夏の後へ続くように歩きだした俺に歩調を合わせて並びながら、守草はからかう風でもない声音でそんなことを訊いてきた。
「いや、別に。幼馴染だからかな、一緒にいてもそれが普通みたいにしか思えないっつーか。あっちだって俺のことは特に意識してないんじゃないか? そもそも、あんまり気にしたこともなかったな」
「はぁ!?」
正に寝耳に水以外の何物でもない情報をいきなりぶち込まれ、俺は店内であることも忘れて馬鹿みたいに大きな
声を上げて立ち止まってしまった。
「いや、ちょっと星咲さん。そういう話はここでしなくてもいいでしょ」
守草も、恥ずかしそうに顔を赤くしながら、慌てたように周囲と俺を見比べ妃夏を非難する。
「は……ちょ、おま……え? マジで? 彼女いんの?」
真横に立つ守草へ向き直り指を差しながら、俺は信じられない気持ちと何故か裏切られたような気持ちを混ぜ合わせた気分になりつつ、真偽を確かめようと問いかける。
「ん……いや、まぁ、うん。今年の春にね、中途採用で入ってきた子なんだけど……先月の頭くらいから、交際を……」
「このぉ……」
「いや、ごめん。別に隠してたとかってわけじゃないよ? 言うタイミングがなかったっていうか、才樹はこういう話されるの嫌かなって思ったりもしたりして……」
「思いっきり気ぃ遣ってんじゃねぇかよ! くそぉ……何だこのモヤモヤした感情は? ぶっちゃけかなりショックだけど、おめでとう!」
友人が先に恋人を作るというシチュエーションが、こんなにも精神的ダメージを与えてくるとは。
想定していなかった事態に戸惑いを膨らませつつも、これも一つの経験が詰めたと無理矢理割り切り、俺はどうにかお祝いの言葉をかけることができた。
「ありがとう。やっぱり、こういうのって照れ臭いね。駄目だなぁ、おれは苦手かも」
俺の祝いの言葉に素直な反応を見せる守草は、はにかむように笑いながら落ち着かなさそうにソワソワと腕を動かす。
「才樹は、そろそろ良い人見つけたりしてないの?」
にゅっと下から覗き込むような動きで俺の顔を見上げ、妃夏がニヤニヤとしながらそんな問いかけを割り込ませてきた。
「あ? してねぇよ。いい年してバイト生活してるような男の所に、そんな奇特な女性が現れると思うか? 今はまだ、自分のことだけで精一杯だよ」
からかわれていることを察して半眼で呻く俺の返答に、妃夏は更ににんまりと笑みを強める。
「……何だよ?」
まさか、こいつまで彼氏ができたとか言うんじゃないだろうなと、不安が胸中に膨らむ。
そんな俺を二秒ほどジッと見つめてから、妃夏は
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と、妙に優しい口調で告げてきた。
「何なんだよお前は。……つーか、それずっと前にも俺に言ったことなかったっけか?」
「さぁ? 気のせいじゃないんじゃない?」
「言ったのか?」
絶妙な既視感に苛まれる俺を更に困惑させて楽しむ妃夏は、面白そうに笑いながら一人歩みを再開する。
「……ずっと思ってたことだけど、どうして才樹と星咲さんって付き合わないの? 高校時代、泉さんも不思議がってたよ。お似合いなのにって」
そんな妃夏の後へ続くように歩きだした俺に歩調を合わせて並びながら、守草はからかう風でもない声音でそんなことを訊いてきた。
「いや、別に。幼馴染だからかな、一緒にいてもそれが普通みたいにしか思えないっつーか。あっちだって俺のことは特に意識してないんじゃないか? そもそも、あんまり気にしたこともなかったな」
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