33 / 76
第四章:決壊する絆
決壊する絆 4
しおりを挟む
一見すると清楚で華奢な印象がある九条先輩だけど、これまでに貧血はもちろん風邪などの病気に罹った姿すら見たことがない。
もちろん、だからと言って体調を崩すことはないと断言できる話にはならないが、俺は有野先生の憶測にどうにも腑に落ちない感覚を抱いた。
「体調不良か……。先輩も三年だし、勉強も創作もずっとピリピリしてたりするんだろうね。精神的なことが理由で、身体が弱ったりすることがあってもおかしくはないんじゃない?」
逆に、有野先生の言葉に同意を示したのは守草だった。
神妙な顔で読みかけたまま手にしていた文庫本を机に置いて、俺のことを見つめてくる。
「普通なら、三年生は部活なんて引退してる時期なんだしさ、九条先輩のことはそっとしておいてあげてるべきじゃないかな? 落ち着いたら、自分から挨拶には来るだろうし、流石にこのまま音沙汰もなく卒業なんてする人でもないしさ」
「……そうだな。これから先の将来がかかってるこの時期に、部活優先させる方がおかしいか」
有野先生と守草、どちらの見解が正しいにせよ、九条先輩が部活へ顔を出せないのは何かしらの理由があるからというのは間違いない。
「九条先輩が卒業していなくなったら、このメンバーでやっていくことになるんだし、そういう雰囲気に慣れる練習だと思えば良いんじゃない? 人が少なくなるのは悲しいけど」
付け加えるように守草がそう言うと、俺と妃夏は無言のまま同意を示すように頷き合う。
ただ一人、
「え? やっぱり新入部員は入らない前提ですか?」
泉だけは心外な提案だと言いたそうなリアクションをみせたが、「きっと大丈夫だよ」という妃夏の根拠のない軽い一言でサラッと片付けられ、困った顔を浮かべていた。
もちろん、だからと言って体調を崩すことはないと断言できる話にはならないが、俺は有野先生の憶測にどうにも腑に落ちない感覚を抱いた。
「体調不良か……。先輩も三年だし、勉強も創作もずっとピリピリしてたりするんだろうね。精神的なことが理由で、身体が弱ったりすることがあってもおかしくはないんじゃない?」
逆に、有野先生の言葉に同意を示したのは守草だった。
神妙な顔で読みかけたまま手にしていた文庫本を机に置いて、俺のことを見つめてくる。
「普通なら、三年生は部活なんて引退してる時期なんだしさ、九条先輩のことはそっとしておいてあげてるべきじゃないかな? 落ち着いたら、自分から挨拶には来るだろうし、流石にこのまま音沙汰もなく卒業なんてする人でもないしさ」
「……そうだな。これから先の将来がかかってるこの時期に、部活優先させる方がおかしいか」
有野先生と守草、どちらの見解が正しいにせよ、九条先輩が部活へ顔を出せないのは何かしらの理由があるからというのは間違いない。
「九条先輩が卒業していなくなったら、このメンバーでやっていくことになるんだし、そういう雰囲気に慣れる練習だと思えば良いんじゃない? 人が少なくなるのは悲しいけど」
付け加えるように守草がそう言うと、俺と妃夏は無言のまま同意を示すように頷き合う。
ただ一人、
「え? やっぱり新入部員は入らない前提ですか?」
泉だけは心外な提案だと言いたそうなリアクションをみせたが、「きっと大丈夫だよ」という妃夏の根拠のない軽い一言でサラッと片付けられ、困った顔を浮かべていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
おっぱい揉む?と聞かれたので揉んでみたらよくわからない関係になりました
星宮 嶺
青春
週間、24hジャンル別ランキング最高1位!
高校2年生の太郎の青春が、突然加速する!
片想いの美咲、仲の良い女友達の花子、そして謎めいた生徒会長・東雲。
3人の魅力的な女の子たちに囲まれ、太郎の心は翻弄される!
「おっぱい揉む?」という衝撃的な誘いから始まる、
ドキドキの学園生活。
果たして太郎は、運命の相手を見つけ出せるのか?
笑いあり?涙あり?胸キュン必至?の青春ラブコメ、開幕!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる