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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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「どうしたの?」
彼女のその言動に嫌な予感を覚えながら問うと、茜はわたしの腕を潰さんばかりに強く握り絞め、動揺するみたいに瞳を揺らして首を振ってきた。
「わからない……わからないけど、岩沼くんがおかしくなってるの」
「……竜次? え? 竜次と合流したの?」
穴の中に取り残されているかと思っていた仲間の名前が飛び出し、わたしはつい期待するような声をあげてしまう。
「違うの……。私、怖くて無我夢中で逃げてたらいきなり後ろの方から何か近づいて来る音が聞こえて。夏純たちが追いついてきたのかと思いながら隠れて様子を見てたら…………岩沼くんが、穴の中にいた角田くんみたいに全身真っ黒の化物みたいになって私のこと追いかけてきてたの。それで、わたしまた必死に逃げて……」
「……そんな」
ひょっとしたらという予感がなかったわけではないけど、竜次まで既に犠牲になっていた。
きっと、躓いたわたしを助けた直後くらいに何かがあったのかもしれない。
彼女のその言動に嫌な予感を覚えながら問うと、茜はわたしの腕を潰さんばかりに強く握り絞め、動揺するみたいに瞳を揺らして首を振ってきた。
「わからない……わからないけど、岩沼くんがおかしくなってるの」
「……竜次? え? 竜次と合流したの?」
穴の中に取り残されているかと思っていた仲間の名前が飛び出し、わたしはつい期待するような声をあげてしまう。
「違うの……。私、怖くて無我夢中で逃げてたらいきなり後ろの方から何か近づいて来る音が聞こえて。夏純たちが追いついてきたのかと思いながら隠れて様子を見てたら…………岩沼くんが、穴の中にいた角田くんみたいに全身真っ黒の化物みたいになって私のこと追いかけてきてたの。それで、わたしまた必死に逃げて……」
「……そんな」
ひょっとしたらという予感がなかったわけではないけど、竜次まで既に犠牲になっていた。
きっと、躓いたわたしを助けた直後くらいに何かがあったのかもしれない。
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