病み憑き

雪鳴月彦

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第四章:風岡夏純――②

風岡夏純――②

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(貴秀はあの穴から這い登って出てきて、真美の妹はその穴の前で倒れてた。……まさか)

 自分の仮説に、背筋がゾクリとなる。

 そもそも秋本 夢美があの場所へ向かった目的は、貴秀を穴に突き落して殺すつもりだったのではないのか。

 何らかの方法で彼女は儀式の存在とあの場所を知り、貴秀殺害の舞台に選んだ。

(あり得ない話じゃないわ。人目につかないに等しいここなら、死体をうまく隠せるし。貴秀を脅すか騙すかして連れ出せば、ここまで来たことに意味が出てくる)

 奇病を鎮めるための生贄。それに見立てた、陰惨な殺人。

 姉の復讐。

(貴秀は生贄にされてた。となれば、あの妹は残りのメンバーであるわたしたち五人にも復讐を考えていたはず。だけど……)

 だけど、そうなると別の疑問が浮上してくる。

(真美の妹本人は、どうして死んでいたの?)

 彼女の死に様は、どう考えても自殺や他殺には見えなかった。
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