病み憑き

雪鳴月彦

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第四章:風岡夏純――②

風岡夏純――②

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 三人並び、車へと近づく。

「やっぱりそうだ、竜次で間違いない。随分高そうな車乗ってきたみたいだけど、いつもこんなの乗り回してるのかな?」

 周囲のうら寂しい空間に響く、晴樹の声。

 わたしたちがすぐ側まで寄ると、助手席側の窓が開いた。

 運転席に座る竜次が身をのりだし、車内を親指で示してくる。

「とりあえず、さっさと乗れ。ひとまず移動するぞ」

 すぐ近くにある交番を気にしているのか、珍しくソワソワする竜次へ従い、わたしたちは車に乗り込んだ。

 一応、四人の中で一番植染に対する土地勘が強い茜が助手席へと座った。

「もう真っ直ぐ向かって良いんだよな?」

 バックミラー越しにわたしを見て、竜次が問いかけてくる。

 愛がまだ到着していないことに触れないということは、彼もまたニュースを観て事態を把握しているのか。

「……うん。良いよ」

 小さく頷いて了承を示すと、竜次は前方に視線を固定しアクセルを踏み込んだ。
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